住宅ローン返済中に離婚!?養育費としてローン返済するリスクとは

2015.12.27
住宅ローン返済中に離婚!?養育費としてローン返済するリスクとは
婚姻カップルの3組に1組が離婚する時代。子どもを転校させたくない、環境も変えたくない、かといって妻の収入では、住宅ローンを支払えない…。「妻子はそのまま今の家に済み、子どもが成人するまで夫が養育費として住宅ローンを支払う」。住宅ローン返済中に離婚する夫婦の、よくある妻側の望みです。いっそのこと離婚時に売却してしまう、という考え方もあります。ただ今回は、夫が養育費として住宅ローン返済を続ける場合をみていきます。一体どのような点に気をつけたらよいのでしょうか。

監修者:針山昌幸

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
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妻の不安のタネ

夫が住宅ローンの債務者、かつ住居の名義人であるとして、妻側からのリスクを考えてみます。
  • 毎月、きちんと支払ってくれるのか。夫が滞納、破産しないか。
  • 子どもが成人したとき、妻子は退去しなければならないのか。
  • 夫に住宅を勝手に売却されないか。
  • 養育費が減額される可能性etc.
いくら約束をしたとしても、実際に夫が住宅ローンの支払いを続けるかどうかはわかりません。厚生労働省の調査によると、実際に養育費を受け取っている母子世帯は2割ほど。年数が長くなるにつれて、支給が途絶える確率が高くなっていきます。別れた夫が養育費として住宅ローンの返済を続けることについても、年数がたつほどリスクが高まるのは間違いなさそうです。養育費の状況・全国母子世帯等調査2011|厚生労働省夫が破産する、もしくは滞納が続き、期限の利益を失うようなこととなれば、一括返済をせまられます。返済がままならければ、債権者である金融機関の申立てにより競売手続きがなされます。または、相談によっては任意売却に(住居名義が妻でも同じ)。妻子は退去せざるをえません。約束どおり夫が住宅ローンの返済を続け完済した場合には、そのまま妻子が住み続けるのか、出ていくのか、という問題も出てきます。また、住居名義が夫だと、あくまで妻は他人所有の不動産に住まわせてもらっているというかたちに。夫の意志で任意売却されてしまう可能性もあります。当然新たなオーナーからは、退去を求められるでしょう。夫が再婚し、扶養家族ができる、または夫の収入が減るようなことがあれば、養育費減額を請求されるかもしれません。

夫の不安のタネ

夫側からもリスクを考えてみます。
  • 経済的な圧迫
  • 住宅ローンとは別に養育費を請求される?
  • 子どもが成人したら、妻子は退去するのか?
  • 妻が再婚するとき
  • 契約者と別人物の居住が発覚すれば、一括返済を迫られる可能性もetc.
家を出て賃貸に住んでいる場合、夫には住宅ローンと賃借料の支払いがのしかかります。養育費は子どもの正当な権利とはいえ、経済的に苦しいものがありますよね。養育費と住宅ローン返済の線引きがあいまいだと、住宅ローンの支払いとは別に養育費を請求される可能性もあるかもしれません。なので、妻もしくは子ども名義の口座に、養育費名目で住宅ローン返済額と同じ額を振り込み、妻が住宅ローンに振り替える、という方法も。ですが、こちらもまた別のリスクが。妻が養育費を住宅ローン返済にあてるとは限りません。滞納が発生したら請求を受けるのは債務者である夫。また、子どもが成人するまで返済を続けたとき、夫名義の住居に妻子がそのまま住み続けるのか、退去を求めたときに出て行ってくれるのかどうか、という問題も。将来的に妻が再婚することももちろんあるでしょう。子どもが経済力のある養父の扶養に入れば、養育費減額請求ができる可能性もありますが、もしかしたら妻子と妻の再婚相手が、そのまま夫名義の住居に住み続けるかもしれません。名目上は養育費の支払いだとはいえ、元夫がローン返済を続ける住居に、妻の再婚相手が住む…。厳密なリスクではありませんが、ローンを返済する側としては複雑な心境かもしれません。

養育費としての住宅ローン返済についてのチェックポイント

事態が複雑となりがちな離婚後の住宅ローン返済。チェックするポイントをざっと挙げます。
債務関係
  • 住宅ローンの債務者は?
  • 連帯債務者の有無
  • 連帯保証人の有無
  • 担保の有無
  • 売却するなら、債権者の了承が得られるのか?
  • オーバーローンかアンダーローンか?etc.
住居の所有権等
  • 土地、建物の名義は?
  • 共有名義かどうか。
  • 名義を妻に変えるのか?
  • 固定資産税、メンテナンス費用はどちらが負担するのか?etc.
当然ですが、住宅ローンは借金です。債権者がいるので、夫婦間だけの問題では済みません。連帯債務者や連帯保証人をつけている場合や、該当物件以外の担保を差し入れている場合、より事態は複雑になります。また、所有名義は夫のみなのか、夫婦共有なのかでも状況は変わってきます。土地は妻の親名義で建物は夫名義などという場合も、もめる原因となるかもしれません。離婚時に、妻名義への変更も検討することもあるでしょう。こちらも債権者の了承を得られるのかという問題が発生します。

まとめ

一番のリスクヘッジは、離婚にならないよう日頃から夫婦でコミュニケーションをとることです。おそらく、離婚後に住宅ローン返済のリスク対策への手間をかけるより、よほど建設的です。養育費として住宅ローンの返済を続けるリスクは、夫婦それぞれに長年つきまといます。住宅ローンの返済に困ったら、深く広く状況を見渡せ、将来のリスクについても対策をしてくれる専門家に相談することが望ましいでしょう。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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