防災面で不安ありのマンションは資産価値が低下する!? 2人に1人が「購入をやめた」経験あり

2023.08.31
防災面で不安ありのマンションは資産価値が低下する!? 2人に1人が「購入をやめた」経験あり

中古マンションを選ぶ上で、気になるのがその「資産価値」です。将来、その物件を売却する際に適切な価格で売れるのか、それとも価格が極端に低下してしまう可能性はないのか。資産価値は、需要の有無や程度を示す重要な指標と言えます。

今回新たな調査から、防災の観点で懸念があるマンションは、将来的な資産価値の低下が懸念されることがわかりました。中古マンションを検討する人々のうち、半数以上が防災の観点から不安を感じた物件の購入を見送った経験がある、と答えたのです。

今後中古マンションを購入する際には、どのような点に注意すべきなのでしょうか? この記事では、調査結果とともに詳しく解説していきます。

「買う・買わない」の意思決定に、ハザードマップが大きく影響

株式会社Housmartは、2023年8月マンション購入に関心を持つ161名を対象に「マンション購入における防災意識アンケート」を実施。アンケート結果から、マンション購入を検討している人にとって、防災関連要素が非常に大きな意味をもち、買う・買わないの意思決定を左右していることがわかりました。

「物件価格・間取り・徒歩分数など、好条件が揃ってはいるが、防災観点で懸念がある物件(※)に対して、購入または検討を見送った経験があるか」という質問に対して、「防災観点で懸念がある物件の購入を見送ったことがある」と答えた人は、51%。2人に1人が「買うか買わないか」をハザードマップなどの情報を元に意思決定していることになります。
(※「防災観点で懸念がある物件」=ハザードマップにかかっている、地盤に不安がある、浸水マップにかかっているなど)



さらに、「マンション購入時に、重視する条件の上位3つ」を回答する質問に対しては、重視する条件として1位「アクセス」、2位「物件価格」に続けて、3位に「ハザードマップ」がランクイン。約半数の人が重視する項目のトップ3に「ハザードマップ」を挙げたことからも、ハザードマップなどの防災リスクへの関心度の高さが伺えます。

こうした結果から、防災観点でネガティブ要素を持つ物件は、購入検討者から敬遠されて売却に苦労したり、価値が下がる可能性があるといえるでしょう。

防災関連情報を自ら調べる人が9割!でも活用できていない実態も・・

検討している物件に対して、防災関連情報を自ら集めにいく消費者像も見えてきました。「マンション購入時に防災関連情報を調べる」人はなんと、約97%。購入検討者の多くが積極的に、なんらかのアクションをとっています。

情報収集の方法について、最も多かったのは「該当エリアの自治体の公式情報を確認する」。アンケート回答者の7割以上が自治体の情報を自ら確認していることがわかります。

にも関わらず、マンション選びに対する防災関連情報を「十分である」と考える人は1割程度にとどまる、という結果に。防災に関する情報への関心が高く、自ら調べもするものの、実際には十分に活用できていない消費者の実態が浮き彫りになりました。


各自治体は、自治体HPやパンフレット、区報などの定期発行物等を通して情報提供を行なっています。ただ残念ながら、それが十分に周知されておらず、消費者に届いていない状況があると考えられます。

また、そうした情報をどう活用すべきかが明示されていないことも、消費者から「十分ではない」と捉えられてしまっている背景にはありそうです。

防災関連情報をマンション購入に役立てていくためにすべきことは?

連日続く台風や大雨。突如防災アラームが鳴って直後に訪れる地震・・。私たちは日常的に災害と背中合わせで生活しています。いつ起こるかわからないリスクに対して、私たち個々人が日頃から真剣に対策を考えるべきタイミングがきています。

マンション購入において防災関連情報を調べることは、日頃から防災を心がけるための大事な一歩です。ですが、せっかく調べたにも関わらず、「調べたけれど情報が見つからなかった」「見たけれどよくわからなかった」「集めた情報からどう判断すればいいかわからない」で止まってしまっていることは、大変もったいないことといえます。

今回のアンケートでは、防災に対して具体的なアクションを起こせていない人が、6割弱もいることがわかりました。そしてそのうちの半数以上が、「防災に対して、何をしていいのかわからない」ことがネックとなっています。


情報が正しく伝わらず活用されない状況は、国全体での防災意識を高めていくためにも大きな障壁になるに違いありません。

自治体・ディベロッパー・仲介会社など不動産関係者は、消費者ニーズに合わせて、

①必要な防災関連情報の集め方(どんな情報を、どこで手にいれることができるか)
②(①の情報を集めた上での)選び方の基準や判断軸(個人で判断していくための考え方)

を伝えていくことが、今後より必要とされていくでしょう。

今後30年以内の発生確率が70%と推定される「首都直下地震」。都心南部直下地震においては、約8万棟の全壊被害が発生すると予想されていますが、その約8割が、旧耐震基準の建物です。中古マンションにおける老朽化や住民の高年齢化によって管理が行き届かないマンションの増加が社会問題となっている今、国土交通省をはじめ政府も対策に乗り出しています。また、近年台風や大雨といった自然災害やそれに夜被害が増加傾向にあることを受けて、国土交通省は2020年8月に水害ハザードマップの説明を義務化しました。地震に対しても水害に対しても、リスク回避のために対策をしておくことが、マンションも自分たちの生活も、そして命も守ることに繋がります。

「不測の事態」に備える用意ができているか否かが、そのマンションの将来的な明暗を分けていく・・この流れが今後強まっていくことは確実でしょう。マンションによって「損をしない」だけでなく、自分や家族の身を守るという意味でも、正しい情報を適切に収集する情報収集スキルがより問われていくことにもなります。

では、マンション購入を検討する上で、具体的にどんな行動をとるべきなのか。
すぐに使える実践ステップをまとめました。ぜひマンション購入時のToDoリストとしてご活用ください。

>>「防災に強いマンション選びのためのチェックリスト【資産価値を守る】」

マンションジャーナルでは、今後本アンケートに関連した防災対策コンテンツをお届けする予定です。乞うご期待ください。

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株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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