代々木上原エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2024.02.14
代々木上原エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、代々木上原エリアをPICKUP。
昔ながらの商店が並ぶ住宅街に、洗練された飲食店やスポットが誕生し続けるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る代々木上原エリア

最高価格:4億8000万円 最低価格:1200万円
平均価格帯:約1億1993万円
販売物件数:48
※2024年2月現在



↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は少ない。築20-30年と築40−50年が多め
👉物件面積は40〜60㎡台がメイン
👉築40-50年は4億円超の物件が平均価格を押し上げ
👉低層・小規模マンションが多め

今回は、渋谷区の代々木上原エリアをピックアップ。代々木上原駅を中心に上原・西原・元代々木町の3アドレスで見てみた。上原は代々木上原駅(東京メトロ千代田線・小田急小田原線)、代々木八幡駅(小田急小田原線)、代々木公園駅(東京メトロ千代田線)の3駅が利用できる。西原は代々木上原駅、幡ヶ谷駅(京王電鉄京王線)、元代々木町は代々木八幡駅と代々木公園駅が最寄駅となる。                                      
                                          
◾️この街の歴史・街並み・特色
代々木上原エリアは、明治時代まで牧場・農村が広がる長閑なエリアだった。1923年に起こった関東大震災を契機に高台に位置している代々木上原周辺の宅地化が進んだ。1927年に新宿〜小田原を結ぶ小田急小田原線が開通。1978年には代々木公園〜代々木上原間の開通に伴い、東京メトロ千代田線代々木上原駅が開設。西原3丁目、上原2・3丁目と元代々木町は、第1種低層住居専用地域に指定されており、低層マンションや戸建住宅が主軸だ。都内有数の高級住宅街となっている。緑も多く、おしゃれな飲食店・カフェや在日大使館が点在しているほか、昔ながらの情緒を残した商店街も多く洗練された落ち着きのある街並みであるのが特徴的だ。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件は少なめ。築20-30年(市場全体の27%)と築40-50年(23%)が多め。物件面積は40〜60㎡台が中心。築40-50年の物件平均価格が1.5億円と高額である理由は、4億円超の売り出し物件(「プラウド上原フォレス」)が平均価格を押し上げているため。先述した通り、西原3丁目、上原2・3丁目、元代々木町は、第1種低層住居専用地域に指定されているため低層マンションが主軸だ。低層・戸数の少ないマンションが多いため、エリア全体での売り出し物件数は多くない。アドレス別の平均平米単価を見ると、上原は171万円/㎡、元代々木町は165万円/㎡、西原は127万円/㎡と、上原アドレスが最も高い。上原アドレスの平均平米単価が高い理由は、上原は他2アドレスと比べて1〜4億円超の物件が13件と多く含まれているため。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
代々木上原駅高架下の商業施設「アコルデ代々木上原」(運営:株式会社小田急SCディベロップメント)が開業30周年を迎え、大規模リニューアル新たに加わった店舗を含めた合計16店舗で2023年7月にリニューアルオープンしている。代々木上原駅南口からすぐある場所には、「職・住・遊の融合」をテーマにした地上5階建の小規模複合施設「CABO」が2023年6月に開業。「結合(co) と発散(ab) の循環」を意味するこの複合施設は、1階に個性的なカフェやバー、2階〜5階はオフィス・レジデンスで構成されており、この建物に住む人・働く人・訪れる人が行き交う空間となっている。

代々木上原周辺では、東京都が実施する都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI)に基づいて推進するプロジェクト「代々木公園Park-PFI計画」が進行中だ。東急不動産株式会社を代表企業として、渋谷・原宿を結ぶファイヤー通りの中間地点に地上3階建の公園施設が誕生する予定。「都市と公園を繋ぐ」をテーマに、公園内にはスケートボードが利用可能な「アーバンスポーツパーク」や学童支援施設、イベント用の「にぎわい広場」、テラス等が整備される(2023年に解体工事着工、2025年2月に供用開始予定)。

◾️この街の住みやすさ
小田急小田原線と東京メトロ千代田線の2路線が利用できる代々木上原駅は、新宿駅まで乗り換えなしで約8分(小田急線)、千代田線を利用すればオフィス街である大手町駅まで約20分(乗り換えなし)でアクセスできるため、交通利便は良好だ。また、代々木上原駅前からは、代々木上原駅と渋谷駅を結ぶ「ハチ公バス」が出ており、渋谷駅へのアクセスも便利だ。

駅周辺には普段使いできる買い物施設や商店街も揃う。代々木上原駅には複合商業施設「アコルデ代々木上原」があり、飲食店、生活雑貨店やドラッグストアに加えて1階には「Odakyu OX 代々木上原店」が揃う。代々木八幡駅から徒歩3分の場所には「まいばすけっと 代々木八幡駅西店」もあり、日頃の買い物には困らない。当エリアには最寄駅を中心に4つの商店街が揃う。西原には幡ヶ谷駅の南口からすぐある場所に「西原商店街」があり、青果店や下町情緒あるレトロなカフェ、インテリアショップのお店が軒を連ねる。代々木上原駅の北口側には昔ながらの飲食店や生活雑貨店が並ぶ「上原駅前商店街」が、駅南口側には​​「マルエツ代々木上原店」「ココカラファイン薬局代々木上原店」が揃った「上原銀座商店街」がある。代々木上原駅の南口から約3分歩いて井の頭通り沿いを渡ったところには、カフェや老舗の飲食店、ヴィンテージショップが並ぶ「上原仲通り商店街」があり、散策しながらカフェ巡りも楽しめる。また、井の頭通り沿いの近くには昭和期の代表的作家、古賀政男氏の自邸の敷地に1997年に一般財団法人古賀政男音楽文化振興財団によって開設された「古賀政男音楽博物館」がある。館内では古賀政男氏の作品や殿堂顕彰者の作品を視聴することができる。音楽博物館から徒歩5分の場所にはイスラム礼拝堂・日本最大のモスク「東京ジャーミイ・トルコ文化センター」があり、礼拝堂の中を見学することも可能だ。代々木上原駅から徒歩1分の場所にはハトムギ粉を使用した水餃子専門店「按田餃子 代々木上原店」があり、日中から行列が絶えない。

本エリアは緑豊かな公園や歴史的スポットも揃う。代々木公園から徒歩3分の場所には森林公園と陸上競技場がある「代々木公園」があり、四季折々の風景を感じながら子どもから大人までがくつろげる憩いの場所となっている。西原2丁目には玉川上水路に沿って作られた緑道である「玉川上水旧水路 西原緑道」があり、緑豊かな空間で気分転換に散歩するのも良い。西原の最寄駅である幡ヶ谷駅から徒歩6分の場所には幼児から高齢者(渋谷区内在住・在勤・在学の人)までが利用できる総合体育館「渋谷区スポーツセンター」があり、運動施設が充実しているため手軽にスポーツが楽しめる。幡ヶ谷駅から徒歩7分の場所には野球場や遊具が備わった「代々木大山公園」があり、子どもたちがいつでも身体を動かして遊ぶことができる。代々木八幡駅から徒歩6分の場所には出世運・商売繁盛・仕事運のご利益が得られることで有名な「代々木八幡宮」があり、周辺は緑が多く自然で癒される場所となっている。

個性的なカフェ・飲食店が次々にでき話題の絶えないエリアでありながらも、昔ながらの商店街も残り、代々木公園などの緑地を庭にできる代々木上原エリア。再開発が進行中の「代々木公園Park-PFI計画」では、代々木公園がスポーツ施設等で備わった新たな公園施設として誕生する予定であるなど、「住・働・遊」が揃った魅力ある街として今後も人気が高まりそうだ。ハイセンスなスポットが次々にできるような刺激的なエリアに住みたい、でもほっとできるような昔ながらの商店街や広い公園などの緑地も手にしたい・・そんな欲張りな東京のライフスタイルを手にしたい方におすすめなエリアだ。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築2年のピアース代々木上原は、2023年8月に223万円/㎡から2023年9月に225万円/㎡まで上昇し、2023年12月まで225万円/㎡台で維持。2024年1月から2024年2月現在は平米単価231万円/㎡に。築7年のパークリュクス渋谷西原は、2023年7月時点の152万円/㎡から2023年10月には166万円/㎡まで徐々に上昇。2023年12月まで166万円/㎡台を維持し、2024年2月現在は平米単価161万円/㎡に。築51年のパラスト西原は、2023年5月に81万円/㎡から2023年7月には91万円/㎡まで上昇。2023年10月まで91万円/㎡台を維持した後、2023年11月に一時89万円/㎡まで下落したが2024年2月現在は平米単価91.3万円/㎡に回復している。

👉ピアース代々木上原(総戸数50、2022年竣工)
👉パークリュクス渋谷西原(総戸数69、2017年竣工)
👉パラスト西原(総戸数55、1973年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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