小岩エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”
いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。
今回は、小岩エリアをPICKUP。
江戸川が育む自然豊かな風景と昔ながらの駅前商店街、大規模再開発で新たな風が吹き始めているこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。
データで見る小岩エリア
最高価格:8980万円 最低価格:980万円
平均価格帯:約4486万円
販売物件数:58
※2024年4月現在
↑ 平均価格と売出戸数
↑ 平均価格と平均平米単価
このエリアを一言で
👉売出物件数は少なく、小岩駅北側の西小岩に集中
👉10年未満〜築50年まで偏りなく売り出し
👉60~70㎡台のファミリー向け物件がメイン
👉築10年未満が100万円/㎡を超える他はリーズナブル
今回は、江戸川区の小岩エリアをピックアップ。江戸川と新中川に囲まれた場所に位置する。小岩駅を中心に西小岩・東小岩・南小岩の3アドレスで見てみた。小岩駅(JR中央・総武線)が最寄駅となる。また、マンションの立地によっては、京成小岩駅(京成本線)や江戸川駅(京成本線)も利用できる。
◾️この街の歴史・街並み・特色
小岩エリアは、弥生時代後期(約1800年前)には人が住み始めていた。そのことを示す「上小岩遺跡」が残っている。明治時代には和傘の特産地として知られるようになった。1899年に小岩駅(総武本線)が開業。駅前には商店街が複数集まり、下町らしい賑わいが健在。駅前を離れると住宅地となる。近年は駅を中心に大規模な再開発が進み、タワーマンションが立ち並ぶ街に生まれかわりつつある(後述)。江戸川沿いは緑地となっており、50000本の花菖蒲が咲き誇る小岩菖蒲園など、緑や水辺といった広大な自然と触れ合うことができる穏やかな立地だ。
◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は少ない。売出物件の築年数は、築10年未満〜築50年まで、大きな偏りはない。物件面積は60~70㎡台がメインで、特に60㎡台が全体の36%を占める。価格帯としては、築10年未満は平均平米単価100万円を超えるが、築10~20年で一気に70万円/㎡台前半に下がる。以降は大きな下落はないものの築50-60年年代は40万円/㎡台になるなど、都内ではかなり抑えた価格帯になっている。物件はほとんど小岩駅周辺に寄っており、特に駅北側の西小岩に集中している。街の再開発予定はあるため、今後の街の資産性向上には期待がもてるものの、築古物件はよく確認してから購入の意思決定をしたい。
◾️今後の発展の見込み、再開発予定
本エリアでは、小岩駅の北側と南側で3つの再開発事業が進行中だ。小岩駅の北口地区では、三井不動産レジデンシャル株式会社・日鉄興和不動産株式会社の3社が推進する「JR小岩北口地区第一種市街地再開発事業」が進められている。商業施設と住宅棟で構成される地上30階建の大規模な複合施設が建設予定。保育施設・交流施設の整備に加えて、小岩駅の北口通りでは歩いて楽しめるゆとりある歩道の整備も行われる。駅前には、「共に」「共通の」「相互の」意味を持つ「CO-」に込めた駅前広場「COIWA PARKs」を設ける。歩行者・自転車・車が移動しやすい交通整備を行い、路線バスやタクシーが乗り入れやすいようにする。イベントスペースも設置し、賑わいのある街並みになりそうだ。
小岩駅の南口に位置する南小岩6〜7丁目地区では、野村不動産株式会社を中心に手掛ける「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業」が2019年5月に着工している。3街区に分かれており、このうち1街区には地上10階建の商業施設「ファスタ小岩」が2021年に竣工。2街区には、22階建ての高層マンション「プラウドタワー小岩ファースト」が2022年3月に竣工している。3街区には、地上33階建の高層マンションが2025年に竣工予定だ。
同じく小岩駅の南口側では、日鉄興和不動産株式会社を含め4社が、2023年10月に「南小岩七丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」の都市計画が決定。「昭和通り商店街」をまたいで「サンロード商店街」付近までの約1.5haを対象地区に、地上44階建の東棟と地上18階建の西棟に分かれた住宅等を建設する。また、子育て支援施設や店舗等の整備を小岩駅南口の交通広場の整備と一体的に行い、ファミリーにとっても暮らしやすい環境づくりを形成する。
◾️この街の住みやすさ
小岩駅(JR中央・総武線)から新宿駅まで約35分(乗り換えなし)、JR山手線に乗り換えれば渋谷駅まで約43分(乗り換え1回)でアクセスできる。また、商業施設が揃う秋葉原駅まで約17分、錦糸町駅まで約10分の乗り換えなしで行くことができるため便利だ。千葉駅まで乗り換えなしで約35分と千葉方面までのアクセスも良好だ。
本エリアの小岩駅前には、買い物施設や商店街、飲食店が揃う。小岩駅の北口には「イトーヨーカドー小岩店」があり、食品や日用品の買い出しに便利だ。小岩駅の北口と南口それぞれには夜遅くまで営業するスーパーが揃う。小岩駅の北口側には24時まで営業のスーパー「ライフ小岩店」が、小岩駅の南口側には25時まで営業の「サミットストア小岩駅南口店」があり、夜の買い物にも困らない。小岩駅の南口直結には、ショッピング施設の「シャポー(Shapo)小岩」がある。地下1階にはスーパーの「成城石井 シャポー小岩店」やドラッグストアも揃うため、駅で買い物を済ませることができる。小岩駅の南口の近くには、2021年5月に開業した商業施設「ファスタ小岩」がある。カフェや飲食店が豊富に揃うため外食する際にも利用できる。小岩駅の周辺には商店街が多く揃う。小岩駅の北口側にある「イトーヨーカドー小岩店」の東側の路地にある場所には、飲食店が中心の「小岩北口仲通り商店会」がある。「小岩北口仲通り商店会」を超えた場所には居酒屋や韓国の食料品店が揃った「小岩北口栄通り会」がある。小岩駅の南口から伸びる「フラワーロード商店街」では、全長1733mと江戸川区最大のアーケード商店街となっており、八百屋や食品店、衣料品店などが軒を連ねる。雨に悩まされず、散策しながら買い物が楽しめる。また、花壇の美しさを競う「花壇コンクール」やパレード、サンバカーニバルなど地元民で賑わうイベントも開催される。小岩駅の南口から昭和通り沿いに向かって歩いた場所には「南小岩昭和通り商店街」があり、昭和の香りを感じる個人商店が点在する。
本エリアには公園や自然スポットも点在する。東小岩には国指定天然記念物である影向の松が見どころの江戸川区のパワースポット「善養寺」がある。本エリアでは毎年7月に開催される「小岩阿波踊り」や、江戸川河川敷で行われる「江戸川区花火大会」などお祭りの雰囲気を満喫することができる。京成小岩駅から少し歩いた場所には遊具やテニスコートが備わった「小岩公園」がある。公園内には純日本風建築の「甲和亭」があり、お茶会や琴の演奏会など憩いの場所として利用できる。本エリアの公共施設も揃う。小岩駅の近くには、「小岩図書館」があり様々な行事や展示も行われている。江戸川区は子育て支援も手厚い。第2子保育料が支給される「愛情たっぷり保育ママ」や、小学校の放課後や学校休業日に校庭・体育館などの施設を利用して児童が自由に活動できる「すくすくスクール」など、江戸川区独自の子育て支援が充実している。京成小岩駅の近くと小岩駅の南口側には、子育て支援に関する相談や情報交換ができる「共育プラザ小岩 子育てひろば」「共育プラザ南小岩 子育てひろば」が揃うため、子育てしやすい環境が整っている。
飲食店や老舗専門店が豊富に揃った昔ながらの商店街や子育て支援が充実した小岩エリア。3つの市街地再開発事業による駅前整備で街並みも綺麗になり、子連れファミリーにとっても住みやすい街として人気が高まりそうだ。古き良き商店街のイベントや、夏には地域のお祭りを楽しみ、休日は江戸川河川敷に広がる緑地でリラックスしたい・・・そんな居心地の良さを求めたライフスタイルが欲しいという方におすすめできるエリアだ。
エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移
現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。
築2年のプラウドタワー小岩ファーストは、2023年11月に120万円/㎡から2023年12月に122万円/㎡まで上昇。2024年2月に125万円/㎡まで上昇したものの、2024年3月には121万円/㎡まで下落。2024年4月現在は平米単価123万円/㎡に。築19年のライオンズガーデン小岩は、2023年8月に58万円/㎡から下落傾向に転じ、2024年1月に56万円/㎡まで下落。2024年3月は57万円/㎡まで上昇したものの再び下落し始め、2024年4月現在は平米単価55万円/㎡に。築37年のグローリア初穂小岩は、2023年8月56.9万円/㎡から2023年10月に61万円/㎡まで上昇。その後、2023年12月には53万円/㎡まで下落。2024年1月以降から再び上昇し始め、2024年2月は57万円/㎡に。2024年4月現在は平米単価57.1万円/㎡で推移しています。
👉プラウドタワー小岩ファースト(総戸数233、2022年竣工)
👉ライオンズガーデン小岩(総戸数59、2005年竣工)
👉グローリア初穂小岩(総戸数58、1987年竣工)
気になるあのエリアの最新市況データを見る方法
連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。
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マンションジャーナル編集部
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