池袋エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2024.05.18
池袋エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、池袋エリアをPICKUP。
ターミナル駅東西の百貨店、サンシャインなどの商業ビルを拠点にユースカルチャーが花開いてきたこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る池袋エリア

最高価格:6億円 最低価格:950万円
平均価格帯:8320万円
販売物件数:119
※2024年4月現在



↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は多い
👉物件面積は40〜50㎡台を中心としながら偏りなく揃う
👉築10年未満は平均平米単価280万/㎡超、築30年以上で100万円/㎡以下に
👉西池袋と東池袋に売り出しが集まる

今回は、豊島区の池袋エリアをピックアップ。池袋駅を中心に、池袋・西池袋・東池袋・南池袋の4アドレスで見てみた。8路線が乗り入れる池袋駅(JR山手線・JR埼京線・湘南新宿ライン・東京メトロ副都心線・有楽町線・丸の内線・西武池袋線・東武東上線)が最寄駅となる。池袋は要町駅(副都心線・有楽町線)、西池袋は椎名町駅(西武池袋線)、東池袋は大塚駅・向原駅・東池袋四丁目駅(都電荒川線)・東池袋駅(有楽町線)が利用できる。南池袋は都電雑司ヶ谷駅(都電荒川線)も利用できる。
 
◾️この街の歴史・街並み・特色
池袋エリアは、明治時代までは農村地帯であった。1903年に池袋駅が開業。1914年に東武東上線が、1915年に西武池袋線が開通。1958年の「首都圏整備計画」によって渋谷、新宿と並び三大副都心として再開発する方針が示された。現在では、一日平均乗降者数が新宿、渋谷に次いで3位となるほどの巨大ターミナル駅である。1900年代初頭に立教大学が池袋に移転したのをはじめ、教育機関が集まったことで学生街としても発展。1940年に「西武池袋本店」、1962年に「東武百貨店本店」、1969年に「池袋PARCO」と、百貨店が相次いで開業。1978年には副都心としての再開発の一環で高層ビル「サンシャイン60」を含む「サンシャインシティ」が完成、当時アジアで最も高いビルの誕生が話題に。サブカルチャー中心のエンターテイメント性も加わり、文教・商業・エンターテイメントが揃う独特の街並みとなった。池袋駅周辺が商業施設などで賑わう一方、南池袋エリアは、同じく豊島区で高級住宅街である目白エリアに近く、「雑司ヶ谷霊園」の付近には寺院が点在する。そのため、閑静で落ち着きのある住宅街が広がる。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は多め。物件面積は40〜50㎡台が中心(全体の38%)だが、20㎡や70㎡台も多めであり、偏りなく揃う。シングルからDINKs、ファミリーまで、物件探しのニーズには幅広く答えてくれそうだ。価格としては、築10年未満は平均平米単価280万/㎡超で飛び抜けているが、築20〜30年で146万円/㎡、築30年以上でようやく100万円/㎡以下になるなど築古でも価格は安くない。アドレス別に見ると、西池袋と東池袋に売り出しが集まっており、特に東池袋は築40〜50年の築古マンションが多く集積している。


◾️今後の発展の見込み、再開発予定
池袋エリアでは、「池袋駅東口と西口をつなぐウォーカブルなまちづくり」を再開発方針に掲げ、「池袋西口公園(グローバルリング)」「中池袋公園」「南池袋公園」「イケ・サンパーク」の4つの公園を核としたまちづくりが行われている。池袋駅の東西を繋ぐデッキを新設し移動しやすいようにするほか、駅前には歩行者広場を整備する。池袋駅西口(中央)には、サンクガーデンの整備ができる予定(道路や地盤よりも低い位置に造られる公園、広場のこと)。

池袋駅の西口・東口それぞれで大規模再開発事業が複数進行中だ。池袋駅の西口側では2021年8月に閉店した「池袋マルイ」の跡地に、清水建設株式会社が手掛ける「(仮称)池袋西口プロジェクト」が進んでいる。地上27階建の超高層オフィスビルを建設する(具体的な施設は未定)。2023年5月着工、2025年12月竣工予定。西池袋1丁目地区内では、三菱地所株式会社・三菱地所レジデンスの2社が参画する「池袋駅西口地区再開発計画」が2024年度内に都市計画決定する見通しだ。A〜D街区の4つに分かれ、事務所・商業施設・宿泊施設で構成された高層ビルを建設する。地上50階建のB棟には、グローバルブランドホテル、地上33階建のツインビルであるC棟には、ライフスタイルホテルと住宅等を建設する計画だ。D街区では、既存の池袋西口公園を再整備する(工事期間は解体を含め、2027年度から2043年度を予定)。

池袋駅の東口側では、2つの再開発事業が進む。ミュージカルやアニメ・サブカルチャーが楽しめる複合施設「ハレザ池袋」(2020年7月に開業)の近くでは、「東池袋一丁目地区市街地再開発事業」が進められている。住友不動産株式会社を事業主体として、事務所・文化体験施設・イベントホールを備えた地上33階の新複合施設が建設される。建物内には、豊島区が運行する「イケバス」の運行拠点を整備し、駅周辺を移動しやすいようにする。東池袋駅近くの南池袋エリアでは、住友不動産株式会社・野村不動産株式会社・独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)による「南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業」の再開発が進んでいる。地上52階建の北棟(2022年10月着工)と地上47階建の南棟(2023年5月着工)からなるツインタワーマンションが建設される予定だ。低層部には店舗や事務所、文化・交流施設、子育て支援施設、公共公益施設が入り、ファミリーにも暮らしやすい街が形成される。また、東池袋駅につながる地下通路を新設し、歩行者ネットワークの拡幅も整備される。北棟は2026年、N棟は2027年に竣工する見込み。

◾️この街の住みやすさ
8路線が乗り入れる池袋駅の交通利便性は都内でも有数と言える。新宿駅まで約5分(JR埼京線)、渋谷駅まで約15分、東京駅まで約16分(丸の内線)と乗り換えなしでアクセス可能。JR湘南新宿ラインを利用すれば、神奈川方面の横浜駅までも約45分と乗り換えなしだ。JR埼京線・東武東上線・西武池袋線を利用すれば埼玉方面までスムーズにアクセスできるため、埼玉に実家がある人にとっても行き来しやすい。

本エリアには駅前に百貨店や大型商業施設が並ぶ。池袋駅直結の西口には「東武百貨店 池袋店」が、東口には「西武池袋本店」が揃う。「ルミネ池袋」「池袋パルコ本館」などの商業施設も駅のすぐ近くにあるため、日常に必要なものは全て駅周辺で完結することができる。池袋駅の東口側には、「ビックカメラ池袋本店」「ヤマダ電機LABI 日本総本店池袋」の大型家電量販店が集まる。夜遅くまで営業するスーパーも駅近くに揃う。池袋駅の西口側には「スーパーマーケット リコス 池袋2丁目店」が、東口側の南池袋には「肉のハナマサ池袋店」が24時間営業しているため、夜遅くの買い物にも困らない。池袋駅の東口からサンシャイン60通りに向かって歩いた場所には、ショッピング施設や水族館などのレジャー施設が揃った複合商業施設の「サンシャインシティ」がある。1階には24時間営業のスーパー「サンシャイン西友」が揃う。池袋駅の西口側には、商店街や文化施設が揃う。池袋駅の西口を出てすぐある場所には商店街の「西一番街商店街」があり、飲食店や居酒屋、カラオケ店が軒を連ねる。歴史ある「池袋平和通り商店街」には、昔ながらの飲食店や個人商店、クリニックが揃う。商店街の一角には、1997年に開園した「区民の森」がある。日本を代表する林政学者・島田錦蔵氏の屋敷跡を公園にしたもので、木々や緑が多くリラックスできる空間が広がる。また、池袋駅の西口側には中国食品スーパーや飲食店が並ぶ「池袋チャイナタウン」があり、日本にいながら中華文化に触れることができる。西口のすぐ近くには芸術文化施設の「東京芸術劇場」があり、音楽・演劇・歌劇などが鑑賞できる。

池袋駅の東側には、劇場・映画館・水族館が集まる娯楽施設や世界最大規模のアニメショップが集まる。池袋駅の東口側には、2019年に開業した約2500席からなる国内最大級の映画館「グランドシネマサンシャイン」がある。体感型アトラクションシアターと巨大スクリーンを備えた映画館で映画鑑賞を最大限に楽しむことができる。映画館の隣には、世界最大規模のアニメショップで有名な「アニメイト池袋本店」が2023年にグランドオープンしている。「アニメイト池袋本店」のすぐ近くには8つの劇場を備えた劇場ホールの「Hareza池袋」がありミュージカルや演劇が楽しめるほか、飲食店の揃うため外食も楽しめる。1階には「としま区民センター」がある。1〜3階には誰でも利用可能なキッズ施設やカフェなどが揃い、子育てしやすい環境が整う。高層ビル「サンシャインシティ」の屋上には「サンシャインシティ水族館」があり、子連れファミリー揃ってお出かけスポットとしてもおすすめだ。

本エリアには広々とした公園も点在する。「東京芸術劇場」の目の前には噴水や照明が演出する「池袋西口公園」があり、開放的な雰囲気となっている。東池袋にある「サンシャインシティ」の真横には緑広がる「東池袋中央公園」があり、散策にも良い。池袋駅の東口側、「Hareza池袋」の隣には広場のような「中池袋公園」がある。「アニメイトカフェスタンドHareza池袋」が併設されており、ドリンクを飲みながら休憩場所としても利用できる。南池袋には、芝生広場が備わった「南池袋公園」がある。公園内にはカフェやデッキも併設されており憩いの場所であるほか、春にはお花見も楽しめる。東池袋駅から徒歩約10分の場所には、小説家・音楽家などの文化人が眠る「雑司ヶ谷霊園」がある。自然も多く、秋にはイチョウ並木など黄葉を見ることができる。

4つの公園を起点に、巨大ターミナル・池袋駅内の移動しやすさを考慮したまちづくりや、新たな高層ビルの建設ラッシュが進む池袋エリア。子育て支援施設も増えるなどファミリーにとってもより暮らしやすい街へと発展し、街全体の雰囲気も大きく変わりそうだ。都内に加えて埼玉方面へも出やすい交通アクセスを最優先条件としながら、芸術・文化・サブカルチャーを堪能できる街に住みたいという方にぴったりなエリアだ。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築9年のBrillia Tower池袋は、2023年7月に372万円/㎡から2023年12月に308万円/㎡まで下落。その後、徐々に上昇傾向に転じ、2024年4月現在は平米単価336万円/㎡に。築14年のアウルタワーは、2023年8月に196万円/㎡から徐々に下落し始め、2024年1月に185万円/㎡まで下落。2024年2月に187万円/㎡まで上昇。2024年3月に再び185万円/㎡に戻り、2024年4月現在は平米単価188万円/㎡に。築35年のアゼリア東池袋は、2023年7月から2023年11月まで92万円/㎡台を維持。2024年1月に95万円/㎡台まで上昇したものの、2024年2月に90万円/㎡まで下落。2024年4月現在は平米単価91万円/㎡に。

👉Brillia Tower池袋(総戸数432、2015年竣工)
👉 アウルタワー(総戸数608、2010年竣工)
👉アゼリア東池袋(総戸数20、1989年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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