目白エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.09.21
目白エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、目白エリアをPICKUP。
学習院大学のお膝元であり、都内でも有数の歴史と気品漂う高級住宅街であるこのエリアその不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る目白エリア

最高価格:2億8900万円 最低価格:890万円
平均価格帯:約6066万円
販売物件数:93
※2023年9月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件の33%が築40-50年の築古
👉築10-20年は70〜100㎡台の億超え物件が半数以上を占める超高価格帯
👉40〜80㎡の広さの物件が多い

今回は、豊島区の目白エリアをピックアップ。神田川の北側に位置する目白・雑司が谷・高田の3アドレスで見てみた。アドレスによって最寄り駅が異なり、目白は目白駅(JR山手線)、雑司が谷は雑司が谷駅(東京メトロ副都心線)と鬼子母神前駅(都電荒川線)、高田は学習院下駅・面影橋駅・早稲田駅(いずれも都電荒川線)が最寄駅となる。                                        

◾️この街の歴史・街並み・特色
目白エリアは江戸時代から武家屋敷が多く存在していた。明治時代に入るとその跡地を利用して宅地開発が行われ、高級住宅街に。雑司ヶ谷は、江戸時代に安産・子育ての神様である鬼子母神堂の参詣人で賑わっていた。明治時代以降では雑司ヶ谷霊園が開設され、寺社などの文化財が現在も多く残っている。目白駅の西側は新宿区との区境となるが、第1種低層住居専用地域が多く占めることもあり閑静な住宅街が広がっている。対する東側は、学習院大学をはじめ川村学園女子大学、川村学園の幼稚園から高校までが揃うなど、歴史ある教育機関が集まる文教エリアとなっている。目白駅周辺の目白アドレスからさらに東側が同じく高級住宅街として知られる目白台アドレスだが、こちらは文京区となる。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出状況は、築40-50年の物件が市場全体の33%を占め、ほか年代はほとんど同比率となっているのが特徴だ。最も高価価格帯となるのは現在築10-20年レンジの物件であり、70〜100㎡台の1億〜2億円台後半の超高額物件が半数以上を占める。物件面積は40〜80㎡の物件が中心。少数ながら20〜30㎡台、90〜120㎡も売り出しがある。同じ豊島区の巣鴨・駒込エリアでは30〜70㎡の物件を中心に売出が多く、10〜30㎡のシングル向け物件も目白より7件多く売り出されている(本調査6月時点)。目白エリアでは、築30年以上は平均物件価格が3000〜4000万円前半・平均平米単価が65〜81万円とリーズナブルな価格帯となっている。前述の地図を見ると、物件の多くは築40-50年の物件を中心に高田アドレスに集積している(売出全体の約54%)。平均平米単価は目白が約145万円/㎡、高田が約94万円/㎡、雑司ヶ谷が約84万円/㎡と目白アドレスが圧倒的に高く、築20年以下の若め物件が多い。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
今回取り上げた目白エリア(目白・雑司が谷・高田)に隣接する池袋エリアでは大規模な再開発が複数進行中。近年中に池袋駅周辺の街が変貌を遂げる予定になっている。雑司ヶ谷の北側に接する南池袋では住友不動産株式会社・野村不動産株式会社・独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)による「南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業」の再開発が進んでいる。地上52階建の北棟(2022年10月着工)と地上47階建の南棟(2023年5月着工)からなるツインタワーマンションが建設される予定だ。低層部には店舗や事務所、文化・交流施設、子育て支援施設、公共公益施設が入る予定で、ファミリーにも暮らしやすい街が形成される。また、東池袋駅に繋がる地下通路も設けられ、歩行者ネットワークの拡幅も整備される。北棟は2026年、N棟は2027年に竣工する見込み。

巨大ターミナルである池袋駅の西口と東でも再開発が進んでいる。西側が「(仮称)池袋西プロジェクト」「池袋駅西口地区市街地再開発」と東側が「東池袋一丁目地区第一種市街地再開発事業」の3つ。西側の「(仮称)池袋西口プロジェクト」では、池袋マルイの跡地に地上28階建ての超高層オフィスビルが2023年1月に着工、2025年12月に竣工予定。「池袋駅西口地区市街地再開発」では、 清水建設株式会社を事業者として東武百貨店・池袋駅西口公園・池袋駅西口バスターミナル周辺のエリア一帯で超高層ビル3棟が建設される。東側の「東池袋一丁目地区第一種市街地再開発事業」では住友不動産株式会社を事業者として、文化施設、事務所、イベントホールを含めた地上33階建の複合施設が2023年に着工、2027年に竣工を見込んでいる。この再開発では緑豊かなプロムナードや「イケバス」運行拠点の整備も行われる。

◾️この街の住みやすさ
JR山手線が通る目白エリアは、交通利便性も高い。JR山手線を使えば池袋駅・渋谷駅・新宿駅・東京駅などの主要駅まで乗り換えなしで移動できる。目白駅直結には「トラッド目白」があり、カフェ・レストラン、スーパーの「クイーンズ伊勢丹」があり駅近で買い物を済ませることができるほか、ピラティススタジオやバレエスクールなど趣味として楽しめる施設も揃っている。目白駅から徒歩3分の場所には「目白切手博物館」があり、世界各地の珍しい切手を鑑賞することができる。目白駅から目白通り沿いに向かって歩くところには「目白銀座商店会」があり、食品店や洋菓子店など個性的な商店が並ぶ。目白駅から徒歩5分の場所には「目白庭園」があり、自然と触れられる場所でゆったりする時間が過ごせる。高田エリアには五色不動の「目白不動尊」が有名。雑司が谷駅周辺には、24時間営業のスーパー「miniピアゴ 豊島雑司が谷2丁目店」「マルエツプチ 雑司が谷二丁目店」があり、雑司が谷エリアでも食品スーパーが揃っている。鬼子母神堂駅から徒歩5分のところには法名寺鬼子母神堂がパワースポットであり、散策も楽しめる。雑司が谷駅から徒歩10分のところには、区内最古の木造建築である「雑司が谷旧宣教師館」があり、豊島区で登録有形文化財に指定されている。

古くから緑多い高級住宅街としてステータスを保ち続けてきた目白エリアだが、同じ豊島区でほど近い巨大ターミナル・池袋駅周辺では街の大変革が進む。駅ビルや地下鉄駅構内で留まっていた機能を街に広げ、流動性を高めることを念頭においている開発内容だけに、開発が完了した暁には活気が街全体に波及することが考えられる。池袋まで距離が近い目白エリアでも従来のブランド立地に加え、より広域視点でみても資産価値の維持・上昇に期待ができそうだ。なお、本エリアは豊島区、新宿区、文京区の区境にあたるので、希望のマンションがどの区にあたるか確認しながら探すのが良いだろう。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築17年の目白ガーデンヒルズは、2022年9月に247万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年2月までに187万円/㎡に。2023年3月には215万円/㎡に戻り、その後は下落することなく2023年9月現在は平米単価235万円/㎡まで回復しています。築23年のルネス高田馬場は2022年9月から12月まで平米単価100万円/㎡台で維持。その後緩やかな右肩下がりに転じ、2023年9月現在は平米単価75万円/㎡まで下落。築56年の目白武蔵野マンションは、2021年5月から2022年11月まで平米単価70万円/㎡台で安定、一時は79万円/まで上昇したもののその後ゆるやかに下落を続け、2023年2月には64万円/㎡に。2023年3月に70万円/㎡台まで一時戻ったものの、2023年9月現在は平米単価64万円/㎡まで下落。

👉目白ガーデンヒルズ(総戸数396、2006年竣工)
👉ルネス高田馬場(総戸数40、2000年竣工)
👉目白武蔵野マンション(総戸数126、1967年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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