大井町エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2024.03.01
大井町エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、大井町エリアをPICKUP。
工業のまちとして栄えた歴史をもち、ディープな商店街や飲み屋街で賑わうこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る大井町エリア

最高価格:1億6800万円 最低価格:1298万円
平均価格帯:約6130万円
販売物件数:80
※2024年2月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は少ない。築20-30年と築40-50年が多め
👉物件面積は30㎡台と50〜60㎡台がメイン
👉平均平米単価は東大井より大井のほうが高額

今回は、品川区の大井町エリアをピックアップ。大井町駅を中心に大井・東大井の2アドレスで見てみた。大井町駅(JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線)に加えてマンションの立地によっては、大井は下神明駅(東急大井町線)、東大井は鮫洲駅・立川駅(京浜急行電鉄)と品川シーサイド駅(りんかい線)が最寄駅となる。                                      
                                          
◾️この街の歴史・街並み・特色
大井町エリアは、実業家である後藤恕作によって1982年に日本初の民間紡績工場である「後藤毛織物製造所」が建設され、工業地帯として発展した。紡績工場は幾度かの買収や合併を経て「鐘淵紡績」(後の「カネボウ」)の経営に変わり、1965年に完全閉鎖。跡地は段階的に転用され、「阪急百貨店」からショッピングセンター「阪急大井町デイリーショッパーズ」、2011年から現在は複合商業施設「阪急大井町ガーデン」となっている。大井町駅(JR京浜東北線)は1914年に開業、1927年に大井町線(東急大井町線)が開通した。大井町駅の周辺は複合商業施設や商店街が広がる商業エリア。一方、大井駅の東口側・大井銀座商店街から北東に伸びるゼームス坂通り周辺は、マンションを中心とした閑静な住宅街となっている。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件は少なめで、東大井アドレスに売出物件数が多め。築20-30年と築40-50年が多め。物件面積は10〜80㎡台まで揃うが、30㎡台と50〜60㎡台が中心。アドレス別の平均平米単価を見ると、大井が136万円/㎡、東大井が100万円/㎡と大井アドレスの方が高額。売出物件数は東大井の方が多く大井の2倍ほどあり、東大井1丁目には勝島・京浜運河近くに100〜400戸以上の大規模マンションが建っている(中古マンション売出物件MAPを参照)。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
2020年11月に策定された「大井町駅周辺地域まちづくり方針」に基づいて大井1丁目と大井町駅の北側に位置する広町2丁目の各地区では、JR東日本旅客鉄道株式会社を事業主体とした大規模再開発「大井町駅周辺広町地区開発(仮称)」が進行中。2つの地区に分かれており、A-1地区は地上26階建のオフィス・ホテル・アウトレットモール型の商業施設・賃貸住宅が、A-2 地区は商業施設を中心に構成されたツインタワーが2023年4月着工、2025年末に開業予定だ。駅の歩行者空間と一体となったオープンなショッピングモール式の商業施設や地域に開かれたラウンジやルーフトップバーを備えたホテル、東京南エリア最大規模のオフィス、災害時には広域避難場所としても機能する約4,600㎡の緑豊かな広場・・と、住む人・働く人・訪れる人のための施設が整えられる。大井町駅周辺の風景はここ2年ほどで大きく様変わりし、今は静かな駅の東側にまで人の流れが生まれるはずだ。

品川区は2023年1月に「品川区新庁舎整備基本計画」を策定。1968年に竣工した品川区本庁舎・第三庁舎が老朽化のため2027年を目指して新庁舎に建て替えられる。ICT(情報通信技術)を活用した窓口の設置をはじめ区民によって手続きがスムーズに行える利用しやすい窓口機能の整備のほか、駅からしながわ中央公園までを繋げる歩行者デッキや通路の建築設計など、より市民にとって身近でひらかれた役所となるようなプランとなっている。

◾️この街の住みやすさ
3路線が利用できる大井町駅は、品川駅(約3分・京浜東北線)・東京駅(約17分・京浜東北線)・渋谷駅(約10分・りんかい線)・池袋駅(約23分・りんかい線)に乗り換えなしでアクセスできる。また、神奈川方面の横浜駅までも直通約25分(京浜東北線・乗り換えなし)で行くことができ、交通利便は抜群だ。大井町駅から羽田空港駅までのリムジンバスも出ているため出張が頻繁にある人にとってはありがたい。ほかにも、しながわ水族館行きの無料シャトルバスも出ており子連れファミリーのお出かけの際にも便利だ

大井町駅周辺では西口側と東口側で買い物施設が充実している。大井町駅西口側には「アトレ大井町」があり、ユニクロ、生活雑貨店やスーパーの「成城石井 大井町店」が揃う。「アトレ」の隣には複合施設の「阪急大井町ガーデン」があり飲食店から「大井町百貨店」「大井町食品館」、テニス・ゴルフスクールなど食品から生活雑貨店、スポーツ施設が揃う。施設内には温泉施設の「おふろの王様 大井町店」が駅近にあるのも嬉しい。また、大井町駅の近くには2棟からなる家電量販店「ヤマダデンキ LABI LIFE SELECT 品川大井町」があり、家電用品だけでなくインテリア用品・日用品も揃う。大井町駅から徒歩1分すぐの場所には「イトーヨーカドー 大井町店」が、大井町駅の東口側にはカフェ・レストラン・保育園が入った小規模の「アトレ大井町2」があり、駅周辺で買い物を済ませることができる。大井町駅から徒歩2分の場所には24時間営業の「肉のハナマサ大井町店」や深夜1時まで営業しているスーパー「西友大井町店」があり、帰りが遅くなった日でも気軽に買い物ができる。大井町駅の東口側は飲食店や個人店が軒を連ねる「大井銀座商店街」が広がっている。昭和のディープな雰囲気が漂う飲み屋街「東小路飲食店街」もあり、仕事帰りなどに立ち寄りお酒や料理が楽しむことも。外食が多いDINKsや単身者には嬉しいスポットだ。

品川区役所前の「しながわ中央公園」はテニスコート・多目的広場・ボルダリングウォール(有料)等のスポーツ施設が揃っており、子どもから大人までが楽しめる。東大井の鮫洲駅から徒歩3分の場所にある「鮫洲運動公園」では、遊具や広場で思い切り遊ぶことができる。品川では都心部の共働き子育て世帯でも子育てしやすいよう、子育て支援に関わる情報やイベント情報などをスマートフォンで確認できる公式アプリ「しながわこどもぽけっと」のほか、妊娠から就学前まで関係機関が連携しながら相談やサポートを受けることができる「しながわネウボラネットワーク」など、子育て支援策の整備が進められている。

電車と空の便が使いこなせるアクセス利便性の高さに加えて、駅周辺で買い物・娯楽まで何でも揃い、昔ながらの飲食店や商店街での食事も楽しめる大井町エリア。休日に遊ばせるのにぴったりの広い公園・緑地も身近であり、ファミリーにとっても安心して暮らせる街だ。大井町駅周辺で進む大規模再開発により行政機関・商業施設・交通機関含めた生活利便性がさらに高まるため、街としての資産価値が上昇することにも期待できる。何よりも交通アクセスの良い立地を重視し、買い物にも不自由せず、昭和の雰囲気が残るディープな飲み屋街で外食や路地歩きなどが楽しめる街に住みたい・・そんな方におすすめなエリアだ。

エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築5年のシティタワー大井町は、2023年7月に189万円/㎡から徐々に上昇し始め、2023年12月には197万円/㎡まで上昇。2024年1月には206万円/㎡まで達し、2024年2月現在は平米単価209万円/㎡に。築16年のクレストタワー品川シーサイドは、2023年4月に131万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年10月には116万円/㎡と、約半年で約15万円/㎡下落。その後2023年11月には127万円/㎡まで上昇、2024年2月現在は平米単価128万円/㎡に。築41年のアイビハイツ南品川は、2023年8月に75万円/㎡から2023年10月に77万円/㎡まで上昇。2024年1月以降79万円/㎡台で維持しています。

👉シティタワー大井町(総戸数635、2019年竣工)
👉クレストタワー品川シーサイド(総戸数404、2008年竣工)
👉アイビハイツ南品川(総戸数192、1983年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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