大山エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2024.01.19
大山エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、大山エリアをPICKUP。
1日約3万人もの買い物客が訪れる「ハッピーロード大山商店街」を中心に平日も休日も賑わうこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る大山エリア

最高価格:1億1480万円 最低価格:850万円
平均価格帯:約4330万円
販売物件数:56
※2024年1月現在


大山_平均価格と売出戸数


↑ 平均価格と売出戸数



大山_平均価格と平均平米単価


↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件は少ない。築20-30年が市場全体の32%を占める
👉平米数は30〜40㎡台、60〜70㎡台の売り出しが多め
👉アドレス別で比較すると大山町が最も高値

今回は、板橋区の大山エリアをピックアップ。大山駅を中心とした大山町・大山東町・大山金井町・熊野町の4アドレスで見てみた。最寄駅は大山駅(東武東上線)だが、大山東町の一部は板橋区役所前駅(三田線)が最寄りとなる。
                                           
◾️この街の歴史・街並み・特色
大山エリアは江戸時代、川越街道の第1番目の宿場だった「上板橋宿」がおかれていた。1931年に大山駅(東武東上線)が開業し、高度経済成長期になると東武東上線沿線の宅地化が進行。現在は大山駅から川越街道の道路沿いに約560mのアーケードを有する「ハッピ-ロ-ド大山商店街」があり、平日休日問わず多くの買い物客で賑わう。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件は少なめ。築20-30年の物件が市場全体の32%を占める。物件面積は30〜40㎡台と60〜70㎡台の売り出しが多く、10〜20㎡台のシングル向け物件は少ない。売出物件全体をアドレス別に見ると、売出物件数にはさほど差がない。一方で、平米単価は大山町が98万円/㎡、熊野町が79万円/㎡、大山東町が72万円/㎡、大山金井町が70万円/㎡と、大山町が最も高い。これは60〜70㎡台の物件の割合が高いことが主要因である。築30-40年は大山金井町アドレスと熊野町アドレスに売り出されており、築40-50年は首都高速5号線(山手通り)沿い中心に集まっている。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
大山エリアでは現在、2つの再開発と大山駅周辺の整備事業が進行中。大山駅からハッピーロード大山商店街の区域を中心に住友不動産株式会社と株式会社フージャースコーポレーションを参加組合とする「大山町クロスポイント周辺地区第一種市街地再開発事業」が進行中。2017年10月に都市計画が決定し、2021年9月に着工。補助第26号線を挟んだ4街区にファミリー向けの都市型住宅「シティタワーズ板橋大山」がノースタワーとサウスタワーに分かれて2024年に竣工予定。低階層には総延床面積約40,000㎡超の商業区画が設けられる大規模再開発となっている。この再開発に伴い、老朽化した木造住宅が密集している課題に対処するため建物の不燃化・耐震化を図り、地域の防災性向上も推進される。この再開発と隣接した場所には、積水ハウス株式会社を中心に「大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業」が進行中。A街区・B街区に分かれ、それぞれ共同住宅・商業施設・駐車場で構成された地上28階建の高層ツインタワーが2025年に着工、2028年に竣工する。
大山駅では踏切での交通渋滞の解消、道路・鉄道の安全性の向上を図るために、鉄道を高架化し道路と鉄道を立体交差する工事「東武東上本線(大山駅付近)連続立体交差事業」が2022年に着工、2030年に完成予定。また、板橋区は2014年に「大山まちづくり総合計画」を策定。この総合計画に基づき、乗り換え利便性の向上等のため大山駅前に駅前広場が整備される予定だ。

◾️この街の住みやすさ
大山町駅(東武東上線)から巨大ターミナルである池袋駅までは乗り換えなしで3駅、約5分で行くことができる。8路線が通る池袋駅を利用すれば渋谷駅・新宿駅・東京駅・横浜駅など多方面にアクセスできるため交通利便性は高い。
大山駅周辺にはスーパーや商店街が多く揃う。大山駅南口を出ると、川越街道まで560mもの長さが続くアーケード商店街「ハッピーロード大山」があり、飲食店やカフェ、100円ショップなど約200店舗が軒を連ねる。大山駅から山手通りに広がる場所には「遊座大山商店街」があり、24時間営業のチェーン店や昔ながらの飲食店が揃い、食べ歩きなど散策が楽しめる。大山駅北口からすぐある場所には「まいばすけっと大山金井町店」や精肉店の「ニュー・クイック 大山ミート店」がある。大山金井町では、大山駅から徒歩2分の場所に「まいばすけっと大山金井町店」が、熊野町では大山駅東口から徒歩7分の場所に「まいばすけっと板橋熊野町店」があり、アドレス別にスーパーが揃うため日頃の買い物も便利だ。大山東町では大山駅から徒歩4分の場所に「板橋区立文化会館」があり、イベントや演奏会が行われている。子どもが身体を動かして遊べる公園も揃う。大山駅から徒歩2分の場所には遊具が備わった「大山東町児童遊園」や「東山はたけ公園」がある。また、熊野町には「熊野町公園」があり、ペットと散歩もできる。
板橋区では、子育て世帯を支援する取り組みの一環として、子育て支援制度が充実している。板橋区内に住所を有する妊娠中から3歳未満の子どもを持つ保護者に「すくすくカード」を配布。これと引き換えに、育児支援ヘルパーの派遣や一時保育、産後プログラムの利用など子育て関連のサービスが受けられる(詳細:「すくすくカード事業」板橋区HP)。保護者が乳幼児を連れて外出先で困った際には、保育園で外出中にオムツ替えや授乳などに立ち寄ることができるよう保育園を中心にした施設を「赤ちゃんの駅」に指定している。また、子どもが保育園等の施設で体調不良となった際に病児・病後児保育室の看護師が保護者に代わってタクシーで迎えに行く制度「お迎えサービス付病児保育事業」もあるため、保護者が子どもを迎えに行けなくなった場合でも安心だ。
池袋を生活圏にできる立地、遊具や運動施設を備えた公園や駅前を中心に買い物施設や商店街が揃う大山エリアは、ファミリーを中心に人気のある街だ。大山駅周辺で進行中の「大山町ピッコロ・スクエア周辺地区」の再開発や、東武東上線の立体交差事業により安全で快適な街づくりへの期待ができる。現段階ではまだ価格は割安感があり、今が「買い時」と言えるエリアだ。物件数は少ないため売り出し状況をこまめにチェックするなどして買い逃さないようにしたい。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築20年のルピナス大山グランドタワー・jステージは、2023年8月に76万円/㎡から2023年9月に80万円/㎡まで上昇。2023年11月は77万円/㎡まで下落し、2024年1月現在は平米単価78万円/㎡台に。築32年のライオンズマンション大山第6は、2023年6月に66万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年9月に62万円/㎡まで下落。2023年12月まで62万円/㎡台を維持。2024年1月現在は平米単価58万円/㎡台に。築48年の三田大山コーポは、2021年12月に61万円/㎡から緩やかに下落、2023年2月に47万円/㎡に。その後、2023年5月から2023年8月までに55万円/㎡まで上昇。2023年10月には再び47万円/㎡まで下落し、2024年1月現在は平米単価49万円/㎡台で推移しています。

👉ルピナス大山グランドタワー・jステージ(総戸数77、2003年竣工)
👉 ライオンズマンション大山第6(総戸数49、1991年竣工)
👉 三田大山コーポ(総戸数56、1975年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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