スープの冷めない距離ってどんな距離?今時の近距離別居とは

2016.02.05
スープの冷めない距離ってどんな距離?今時の近距離別居とは
「スープの冷めない距離に住む」と言いますが、これってどのくらいの距離なんでしょう?親世帯、子世帯が近くに住む“近距離別居”によく使いますね。日本でできた言葉なのでしょうか?日本ですと「味噌汁の冷めない距離」って言いそうなものですよね。今回はスープの冷めない距離の意味と、現代の親世帯、子世帯にちょうどいい近距離別居を考えてみました。

スープの冷めない距離の語源

この言葉はやはり日本で生まれた言葉ではないようで、1960年代にオーストリアで提唱されたものを意訳したものだとか、1940年代にイギリスで提唱されていたものだとか、諸説あるようです。成長した子どもが独立した際、親世帯と近すぎず、といって遠すぎない、適当な距離で住むのが良く、作った料理を冷めないうちに届けられる距離がちょうど良いと言っているのです。具体的には歩いて5分位の距離のことを表しているそうですが、不動産広告の表記は徒歩1分を80mと計算するので、徒歩5分は400mといったところでしょうか。

現代の子世帯には親世帯近居が重要

昨今、私自身の周りを見ても、スープの冷めない距離にお住いの親世帯と子世帯が思いのほか多いです。私の自宅のあるマンションにも、旦那さんの実家が同じ町内とか、奥さんの実家が同じ区内という子世帯が何軒もあります。親世帯と完全同居は大変だし、ゆくゆくは親の土地に住もうとは思っていても最初からはつらい・・。それなら近居で慣れてから、という考えで実家の近くの中古マンションを購入する子世帯が多いのかな?と思って様子をうかがうと、意外や意外、積極的に子世帯が親世帯の側に越してくるケースも多いのです。「夫の実家のそばなんていや!」と妻側が拒否するかと思ったら、妻側の実家が地方で遠い場合、妻の方が積極的に夫の実家のそばに転居を計画したという例も少なからずあります。親世帯にしてみたら近くに子どもが居てくれる安心感がありますが、子世帯にとっても願ったりかなったりの部分があるようです。

近距離別居が選ばれるわけ

今、結婚、出産で離職する女性はかつてと比較して少なくなっており、子世帯では共働きの家庭が多くなっています。出産後の育児休暇明け、保育園に預けて仕事を再開する妻たちには、夫の協力がとても大切ですが、いくら夫の協力があったとしてもそれだけでは間に合わない場合が多々あります。急な残業でどうしても保育園のお迎えに間に合わない場合、近居の親が迎えに行ってくれてついでに夕飯も食べさせてくれ、お風呂も入れておいてくれたら本当に助かります。子どもが小学生になって学童保育に入ったとしても、学童保育から帰宅するタイミングで親が帰宅できない場合、その隙間時間を親世帯が面倒みてくれれば安心です。習い事に行かせるにしても、中学受験を念頭に小学校4年位から進学塾に通わせる場合でも、慣れるまでの送迎をしてもらえるのはありがたいですよね。病気の子どもが学校を休んだが、どうしても仕事を休めないという場合も親が来てくれたら大助かりです。また、専業主婦の家庭でも、上の子の保護者会の間、下の子の面倒を頼むなど、親の手助けを受けられるのはありがたいものです。子世帯としてもスープの冷めない距離に親世帯がいることが安心材料となるのですね。

どの位の距離がいいの?

「スープの冷めない距離=徒歩5分」は昔の話で、今は親世帯も子世帯も車を所有している場合が多いし、ちょっと離れていてもいいんじゃない?そう思いがちですが、やはり近い方が便利のようです。おじいちゃんが車で送迎してくれるから大丈夫と思っていても、最近は高齢者の車の運転ミスによる事故などが問題となっています。今は大丈夫でもいつかは運転が危険になる、そうなった時のことを考えると車をあまり頼りにしない方がいいかもしれません。少し距離が離れていたとしても、バス路線があるとか、一駅隣の駅だが駅のすぐ前とか、アクセスが良い場所ですと、小学生になれば子どもがひとりで自宅と祖父母の家を行き来できるようになり便利でしょう。ゆくゆくは親の家に同居、あるいは親の土地を受け継いで家を建てるという場合は、中古マンションで立地などの条件が良く売却のしやすい物件を選ぶといいでしょう。近い将来の売却が見込まれる場合、新築マンションですと資産価値の目減りが激しいので良質の中古物件の方がおすすめです。次は、近距離別居で気をつけたいことを関係性ごとにご紹介しましょう。

夫の親と近居で注意すること

「日曜日、久しぶりの休日でゆっくり寝ていたら、朝7時に突然義父母がやって来て家庭菜園の野菜をどっさり置いて行かれた」「万が一のために鍵を預けていたら、仕事で留守の間に勝手に入られて、掃除しておいたと言われてもすごく困る」こんな愚痴を子世帯の奥さんから聞くことがあります。親切心とはいえ、ありがた迷惑なこともあります。息子の家とはいえ別世帯なのですから、配慮することが必要です。

妻の親と近居で注意すること

「残業して家に帰ったら、義父母と妻がソファで寛いでお笑い番組見て大声で笑っていた。僕がいない間、いつもこんな感じなんだなと思ったら、虚しくなった」これは旦那さんの愚痴です。娘の家だからとついつい遠慮がなくなってしまいますが、働く夫を立てることも忘れないようにしたいものです。平日、夫の留守中に訪問したら、遅くなる前に帰るようにしたいですね。

親世帯への配慮も忘れずに

孫の世話をする気満々のおじいちゃん、おばあちゃんならいいのですが、今は現役を引退してもまだまだ元気な方が多いです。リタイアしたら夫婦二人で旅行を楽しみたいとか、趣味を活かして第二の人生を楽しみたいと考えている方も多いのです。3歳と2歳の年子のお子さんがいるAさん夫妻は揃って小学校の教師です。奥さんは続けて2人出産、産休中に旦那さんの実家の近くの中古マンションを購入して近距離別居を実現しました。「義父母は春の花粉症がひどい時期は東南アジアへロングステイしています。その間はベビーシッターを頼んだり夫婦で頑張って、夏に義父母が帰ってきてからは保育園のお迎えから私たちが帰宅するまでの間のお守りをお願いしています」子世帯も親世帯が旅行中の留守宅の管理を引き受けており、また月々の謝礼を少しばかりですが親に渡して旅行の足しにしてもらっているそうです。 このように、子世帯の都合で振り回すのではなく、親世帯の老後の充実を応援しつつ、子世帯の共働き家庭を助けてもらえるような関係ができたら素敵ですね。
株式会社Housmart
株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部

「Housmart(ハウスマート)」が、購入や売却に必要な基礎知識・ノウハウ、資産価値の高い中古マンションの物件情報詳細、ディベロッパーや街などの不動産情報をお届けします。