災害リスク・学区・成約価格まで、これ1つで調べられる!国交省「不動産情報ライブラリ」基本の使い方
高額な買い物である住宅購入。毎日の暮らしの基盤になるだけに、少なくとも数年先までの人生を左右するといって過言ではありません。それだけに、個別物件の情報以外に、マンション周辺の生活利便性や土地の災害リスクなどまで広く調べておきたいもの。
・・とはいえ、そうした各種情報は提供先が異なり、インターネットで調べるにも個別に検索をかける必要がありました。実際には、情報リサーチにあまりに時間がかかりすぎて途中で諦めたり、なかなか意思決定まで進めない・・というケースも少なくありません。
そんなお悩みを解決する新たなサイトが、「不動産情報ライブラリ」です。2024年4月1日から国土交通省が公開開始した本サイトなら、これまで面倒だった不動産関連の情報収集が網羅的に調べられるように。この記事では、具体的にどんな情報が調べられるのか、また基本的な使い方を解説します。
「不動産情報ライブラリ」とは?
2024年4月1日から国土交通省が公開を開始したインターネット上のシステム。不動産の取引価格、地価公示等の価格情報や防災情報、都市計画情報、周辺施設情報等、不動産に関する情報を誰でも閲覧できます。前身の「土地総合情報システム」(2006年から提供)が不動産取引価格がベースだったのに対して、ハザードマップや学区情報、医療機関や図書館などの施設情報までが追加されており、住まい探しから意思決定までに必要な諸情報が一つに集約されています。
具体的に何が調べられる?
「不動産情報ライブラリ」で調べられる情報は、下記です。なお、こちらは2024年5月時点の情報であり、国交省は「掲載情報の追加・変更等を検討する予定」とのことから、今後も拡充される可能性が大いにあります。
価格情報
- 国土交通省地価公示
- 都道府県地価調査
- 不動産取引価格情報
- 成約価格情報
地形情報
- 陰影起伏図
- 土地条件図
- 大規模盛土造成地マップ
防災情報
- 洪水浸水想定区域(想定最大規模)
- 土砂災害警戒区域
- 津波浸水想定
- 高潮浸水想定区域
- 避難施設
- 災害危険区域
- 急傾斜地崩壊危険区域
- 地すべり防止地区
周辺施設情報
- 保育園・幼稚園等
- 小学校区
- 中学校区
- 市区町村村役場及び集会施設等
- 図書館
- 医療機関
- 福祉施設
- 自然公園地域
都市計画情報
- 都市計画区域
- 用途地域
- 高度利用地区
- 防火・準防火地域
- 地区計画
- 立地適正化計画
人口情報
- 国勢調査
- 将来推計人口
- 駅別乗降客数
基本の使い方
まずは、https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ にアクセス。
トップで「地図から探す」か「地域から探す」か選択できます。
「地図から探したい方へ」を選択すると、日本全国の地図から任意の場所にクローズアップしていくことで見たいエリアにアクセスできます。
マクロ視点で該当エリアの概要を捉えたい場合や、広域から希望エリアを検討している人向きです。
「地域から探したい方へ」は、固定の市区町村内で細かく指定したい人に向いています。
「住所から」探したい場合は、丁目単位まで指定可能。路線・駅名からも検索できます。
任意のエリアが開いたら、あとは上部に並んだ情報の種別から、自分が見たい情報を選択。チェックボックスにチェックすると、その情報だけピックアップして表示されます。地図上に複数の情報を重ねて一度に見ることも可能です。
使い方に迷った場合は、右上に「マニュアル」が用意されているので、ここをクリック。詳細な利用方法が確認できます。
例えばこんな時に便利、シーン別活用術
内覧時に
スマートフォンでも閲覧可能。サクサク確認できるので、内覧に出かけた先の現地で「物件と街の雰囲気は気に入った。災害リスクはどうだろう?」と思ったらすぐに調べる・・という場合にも便利です。
自宅で
PC版なら、より広範囲での地図の閲覧がしやすくなるので、気になる情報を深掘りするのに適しています。広範囲から希望の条件エリアを探す、希望エリアの大まかな状況・傾向を掴む、といった使い方のほか、気になる情報があったら別でウインドウを立ち上げ、「不動産情報ライブラリ」のウィンドウと並べて同時にリサーチするなど、腰を据えて比較検討する時にぴったりです。
ここが推せる!便利なポイント
これまで、インターネット上に公開はされているけれども各公共機関のサイト上にバラバラに存在しているために、ストレス度の高かった不動産関連情報のリサーチ。マンションジャーナルではハザードマップや学区情報、用途地域など、より効率的な不動産関連の情報収集について、さまざまな切り口から記事をお届けしてきました。「不動産情報ライブラリ」は、そんなこれまでの課題を大きく変えてくれた!と思えるほど革新的。一度使ってみたら、その使い勝手は感動ものでした。
まず、情報表示の速さ。重くなりがちな地図からの検索でもスムーズに表示されるので、かなり快適です。エリア移動や、各種データへの切り替え時にも、ローディングに待たされる・・といったストレスがほぼない。病院やクリニックの口コミを合わせて調べる、地形の成り立ちを深掘りする、アタリをつけた場所のマンションをポータルサイトで即探してみる、希望のマンションの駅徒歩分数をGoogleMapで確認する・・・など、「不動産情報ライブラリ」を開きながら、別ウィンドウで情報を調べる、なんていう情報リサーチも、効率よくできます。
凡例や各種データの詳細説明も、別ウィンドウで開くことなく地図上でポップアップ表示されるので、参照しやすいのも地味に嬉しいポイント。別ウィンドウで並べて、わざわざ見比べる面倒がありません。
また、会員登録やログインも不要。立ち上げてすぐに使い始められるので、出先で思い立った時にすぐにスマートフォンで立ち上げて・・というアクションも叶います。
おすすめの使い方
とはいえ、いくつか先に知っておいた方が良い点もあります。より便利に使うためのポイントを挙げてみました。
🚨重ねて見る情報は1項目ごと、あるいは2〜3つまで
重ねて見ることもできるのが、「不動産情報ライブラリ」のメリットでもあります。が、複数色が重なり文字情報が多すぎてわかりづらいので、一つずつ見た方が見落としづらいでしょう。
🚨最新データでないことも。最終検討時には自身で個別チェックを
「不動産情報ライブラリ」をは、地方自治体、国土地理院、国交省などの提供するデータをまとめて見られるようにしたもの。それぞれが最新情報ではないこともあります。ご自身が重要視したいデータについては、必ず最新情報を確認するようにしましょう。
🚨あくまで大まかに状況をつかむためのツール。特に学区情報は必ず自分で確認を
本サイトは、マクロ視点で街や住まいの周辺状況を捉えるのに最も適しています。前述のように、色分けや枠で囲むなど、マップで見るのに大変便利につくられているため、便宜上細かい表示には合致していないことも。特に学区は丁・番地・号レベルで厳密に分かれていることもあるため、大まかな目安として見て、実際に個別マンションごとにどこの学区に該当するのか、確認は必須です。
学区が複雑に入り組んでいる文京区。
例えば白山1丁目の32番地10号の一部は誠之小学校の通学区域とされているが、
この単位ではさすがに表示は困難だ(※2024年5月時点)
これまでは不動産業界外の一般消費者にとっては、調べたくても情報収集にあまりに時間がかかってしまう、欲しい情報がどこにあるか調べるところから始めないといけない・・・という現実がありました。
不動産関係者だけでなく、一般消費者にいかにストレスなく、広く自主的に情報収集をしてもらえるようにするか。国交相の意気込みが垣間見える「不動産情報ライブラリ」があれば、住まい選びはより快適になりそうです。
また提供データには、首都圏よりも郊外や地方により関係の深いデータも多く含まれています。地方移住を検討している方や、実家に戻るかお悩み中の方、突然仕事で地縁のない土地に赴任することになった方などにも、便利に使えそうです。
マンションジャーナル編集部
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