王子エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2024.02.01
王子エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、王子エリアをPICKUP。
王子神社や王子稲荷神社、飛鳥山の桜など江戸期から行楽地として親しまれてきたこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る王子エリア

最高価格:1億6500万円 最低価格:1290万円
平均価格帯:約5100万円
販売物件数:114
※2024年1月現在



↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は築10年から築60年まで幅広く揃う
👉平米数は50〜70㎡台が多い
👉平均平米単価は西ヶ原アドレスが最も高い
👉築10-20年は滝野川アドレスに売り出しが多め

今回は、北区の王子エリアをピックアップ。JR王子駅を中心に北から王子・岸町・王子本町・滝野川・西ヶ原の計5アドレスで見てみた。王子駅ではJR京浜東北線・東京メトロ南北線の2路線が使え、隣接する都電荒川線の王子駅前駅も利用可能。当エリア内では、マンションの立地によっては三田線(西巣鴨駅・新板橋駅)と埼京線(板橋駅)も利用可能だ。                                       
                                          
◾️この街の歴史・街並み・特色
王子エリアの地名は、「王子神社」に由来している。江戸時代には王子神社や王子稲荷神社、飛鳥山の桜などの名所があったことで行楽地として繁栄。明治時代以降になると、日本で最初の洋紙会社である「抄紙会社」(現・王子ホールディングス)が1873年に創業し、製紙産業によって街が発展した。1883年に「王子停車場」(現:王子駅)が開業、1928年には京浜線(現:JR京浜東北線)が赤羽駅まで延伸したと同時に王子駅の停車駅となった。1915年には都電荒川線の前身・王子電気軌道の王子駅間が開通し、1940年代に都電に。1991年には南北線が開業した。石神井川の下流に位置する滝野川は江戸期から名勝地として知られ、夏には水遊び、秋には紅葉の名所として賑わっていた。都内有数の桜の名所である緑豊かな「飛鳥山公園」があり、浅草公園・上野公園・芝公園・深川公園とともに日本初の公園として指定されている(浅草公園は現存せず)。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は少ないが、築10年から築60年まで偏りなく売り出されている。物件面積は50〜70㎡台を中心に売り出しが多く、30㎡未満のシングル向け物件は僅少。都内では比較的リーズナブルな価格帯に入るが、平均平米単価を見ると築30年以降は築年数を経ても大きく下落することなく安定している。築40-50年の平均物件価格が築30〜40年よりも高い理由は、1億円超・166㎡台の物件が平均価格を押し上げているため。アドレス別の平均平米単価で見ると王子が83万円/㎡、王子本町が92万円/㎡、岸町が67万円/㎡、滝野川が88万円/㎡、西ヶ原が96万円/㎡と、西ヶ原アドレスが最も高い。西ヶ原の平均平米単価が他アドレスと比べて高い理由は、先述した166㎡台・1億円超の物件と、総戸数126戸・1億円物件の「ASUKAYAMA RESIDENCE」が平米単価を高くしているため。築10-20年物件は滝野川アドレスに売り出しが多い。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
本エリアでは、平成29年7月に策定した「王子駅周辺まちづくりグランドデザイン」で掲げる「東京の北の交流地点」と「水と緑豊かな王子」の実現に向けて、2023年3月に「王子駅周辺まちづくりガイドライン」を新たに策定。王子駅を中心に王子駅北口・中央口での歩行者・自転車の交錯解消や、水害時の高台避難ルートの確保など、整備計画が進む予定だ。また、北区役所庁舎の老朽化が著しく、耐震基準を満たしていないという課題を受けて国立印刷局王子工場用地の一部を北区新庁舎建設予定地にすることが決定されている。新築物件としては、北区王子本町1丁目では、積水ハウス株式会社が手掛ける「  (仮称)北区王子本町1丁目計画新築工事」が進行中。店舗を含む12階建・全39戸の共同住宅が2025年1月に竣工予定。

◾️この街の住みやすさ
JR京浜東北線・東京メトロ南北線・都電荒川線の3路線が利用できる王子駅は、都内主要駅まで30分前後でアクセスできる。JR京浜東北線を利用すれば東京駅まで約20分、品川駅まで約35分と乗り換えなしで行くことができる。王子駅(JR京浜東北線)から渋谷駅(乗り換え1回)まで約31分、池袋駅まで約16分と交通利便も良い。JR王子駅南口ターミナルからは羽田空港行きのリムジンバスも出ているため、出張や旅行時に便利だ。

当エリアには最寄駅ごとに買い物施設や商店街も揃っており、生活利便にも困らない。王子駅の北口側には商業施設「サンスクエア」があり、深夜24時まで営業しているスーパーの「東武ストア王子店」やドラッグストアの「ココカラファイン ドラッグセガミ王子駅前店」「キャン・ドゥ サンスクエア王子店」などが揃う。ボウリング場やテニスコート等のスポーツ施設もあるため、大人から子どもまでが楽しく運動できる。王子駅から徒歩4分の場所には「ヨークフーズ 王子店」「まいばすけっと 王子店」、王子本町にも「まいばすけっと王子本町1丁目店」がありスーパーが豊富に揃う。滝野川では、西ヶ原四丁目駅から徒歩4分の場所に「まいばすけっと滝野川1丁目店」が、西巣鴨駅から徒歩7分の場所には「肉のハナマサPLUS 滝野川店」がある。王子駅から徒歩7分の場所には、飲食店に加えてスーパー、書店や生活雑貨店などの店舗が並ぶ「王子銀座商店街」がある。王子駅の西側には歴史・文化が香る観光スポットも点在する。王子本町には開運除災と子育大願で有名な「王子神社」が、岸町には「王子稲荷神社」があり江戸時代から続くお祭りも開催される。王子駅から徒歩4分の場所には文化複合施設の「北とぴあ」がありコンサートやイベントが行われているほか、徒歩8分の場所には「北区役所」がある。子どもが遊べる公園も多く揃う。王子駅(JR京浜東北線)からすぐある場所には桜の名所としても有名な「飛鳥山公園」があり、秋には紅葉など四季の自然が楽しめる。公園内には遊具・水遊び場が揃うほか、ベビーカー利用者や高齢者も気軽に乗車できる自走式モノレール「あすかパークレール(アスカルゴ)が無料で利用できる。飛鳥山公園の近くには石神井川の旧流路に整備された​​「音無親水公園」があり、リラックスしながら散策が楽しめる癒しスポットとなっている。西ヶ原では最寄駅の上中里駅から徒歩7分の場所には日本庭園と洋風庭園が調和した「旧古河庭園」や、徒歩5分の場所には壁泉が特徴的な「滝野川公園」があり、「滝野川体育館」「北区防災センター(地震の科学館)」が隣接している。西ヶ原四丁目駅から徒歩4分の場所には、複合遊具が備わった「西ヶ原みんなの公園」がある。

王子駅の交通利便性や豊富な買い物施設、神社仏閣や公園、文化施設までが揃う。王子エリアは、単身者からファミリーまでが暮らしやすい街だ。近年、大雨や大風などによる水害が多発する中、北区では荒川・石神井川の氾濫と土砂災害に応じて水害対応避難場所の設置が開設されるなど水害対策に取り組んでいる。さらに、避難行動のあり方を整理した「大規模水害を想定した避難行動の基本方針」が2020年3月に策定されているため、水害に対する備えや避難行動について理解を深めるためにぜひ参考にしたい。また、特に王子駅の東側は低地であるため、大雨の際に洪水の影響を受けやすい。ハザードマップを必ず確認するようにしよう。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築25年のライオンズステーションプラザ板橋滝野川は、2023年9月に158万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年11月に120万円/㎡台まで下落。2024年1月現在は平米単価116万円/㎡に。築42年の王子サンハイツは、2023年5月に59万円/㎡から徐々に下落し始め、2023年8月から2023年10月まで56万円/㎡台を維持。2023年12月には45万円万円/㎡台まで下落し、2024年1月現在は平米単価50万円/㎡に。築51年の霜降橋マンションは、2023年8月に68万円/㎡から2023年9月に72万円/㎡と上昇。その後、2023年10月に49.8万円/㎡まで下落し、2024年1月現在は平米単価49.2万円/㎡に。

👉ライオンズステーションプラザ板橋滝野川(総戸数86、1998年竣工)
👉王子サンハイツ(総戸数107、1981年竣工)
👉霜降橋マンション(総戸数40、1972年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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