家族名義のマンションを売却するときの注意点をご紹介

2017.06.03
家族名義のマンションを売却するときの注意点をご紹介
不動産の売却は、所有者本人しか行うことができません。 たとえ家族であっても、他人名義のマンションを勝手に売却することはできないのです。 売買契約に必要な実印や印鑑証明をそろえても、必ず所有者本人の意思の確認が必要です。 それでは、諸事情によりどうしても所有者本人が売却を行えない場合はどうすれば良いのでしょうか。>>>マンションを売却するなら知らないと損するサービスとは?

家族名義のマンションを売却する3つの方法

家族がマンションを処分するには、次の3つの方法があります。 1.名義変更して売却する 2.売却手続きの代理人を立てる 3.成年後見人制度を利用して売却する それぞれ注意しなければならないポイントがあります。順番に見ていきましょう。

名義変更して売却する場合の注意点

家族名義のマンションを売却する1つの方法として、所有権移転登記を行い所有者名義を変更する方法があります。 この時、「贈与税」「不動産取得税」「登録免許税」の3つの税金がかかります。

贈与税

形だけの金銭の授受を行い「売買」の形をとったとしても、相場とかけ離れた安い金額であると「贈与」と見なされ課税されます。 贈与税は最低でも10%、1,500万円を超えると50%以上の税金がかかります。ただし夫婦間・親子間の贈与の場合は条件によって特例措置が受けられます。

不動産取得税

売買・贈与などで不動産を取得した人に課される税金が不動産取得税です。相続の場合は非課税で、贈与を受けたマンションに居住する場合には税額が軽減されます。これらの軽減が受けられないケースでの標準税率は、固定資産税評価額の3%です。

登録免許税

登録免許税は、所有者移転登記に必要な税金です。贈与・売買の場合ともに固定資産税評価額の2%が標準の課税率です。 売却のためだけに名義変更するケースは、居住用不動産の特例や相続登記の軽減税率が適用されないので注意しましょう。

売却手続きの代理人を立てる場合の注意点

代理で売却するには委任状が必要

マンションの名義を変更せずに売却する方法に、所有者の代理人を立てて売却の手続きを進めるやり方があります。 所有者が代理人に実務を委任している証明として、委任状を作成し提示することが必要です。

委任状は詳しく記載する

委任状は特に形式は定められていませんが、トラブルを避けるため内容を詳細に記載することが理想です。 「白紙委任状」は委任の範囲が特定されていないため、トラブルの元になります。家族間であっても安易に作成してはいけません。【委任状に記載しておくべきことの例】
  • 日付
  • 委任者の住所・氏名・押印
  • 受任者の住所・氏名
  • 受任者を代理人と定める旨
  • 該当する不動産の売買契約についての権限
  • 所有権の移転登記の権限
  • 売買代金受領の権限
  • 該当する不動産の概要
代理人は委任状の内容にある法律行為の事務手続きしか行うことができず、売却不動産の権利を譲り受けるわけではありません。 売却代金は全て所有者のものとなるのが代理制度なので、売却代金を代理人に分け与えると贈与税が課税されます。>>>マンションを早く、高く売るテクニックとは?

成年後見制度を利用して売却する場合の注意点

成年後見制度とは、判断能力が十分ない成年者の財産管理と身上配慮を行う人物を選任する制度です。意識不明や認知症などによって本人の判断能力が欠けると、名義変更も代理人を立てることもできません。このような場合には成年後見制度の利用を検討しましょう。成年後見人の選定は家庭裁判所を通して行います。家族が成年後見人となることで、不動産の売却も可能になります。

居住用不動産の処分には裁判所の許可が必要

成年後見制度は、判断能力の欠ける被後見人を保護するための制度です。判断能力が欠けている被後見人が住んでいるマンションを売却するには、被後見人のためとなる理由が必要です。たとえば売却代金で被後見人に必要な医療費や介護費用をまかなう、といった場合でなければ裁判所の許可がおりません。これまで住んでいたマンションから介護施設などに移り住む場合も同じです。

最後に

家族名義のマンション売却の流れを解説いたしました。通常のマンション売却の流れと異なる注意点も多いですが、確実に押さえておきましょう。 どの方法でも家族間で良く話し合い、勝手に手続きを進めず必要なことは書面にして残しておくことをおすすめします。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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