マンション売却は残債があっても大丈夫?

2015.08.21
マンション売却は残債があっても大丈夫?
まだローンが残っているけど、マンションを売りたい!さて、どうしましょう。そもそも、ローンの残債があるのに売ることができるのでしょうか。売却可能かどうかは、ケースバイケース。でも心配ご無用、大概の場合は売却可能です。ローンが残っているマンションを売却したいと思ったら、まず何から始めれば良いのか。そして、どんなことに注意すべきなのかをご説明します。具体的に売却を考えている方だけではなく、これからマンションを購入しようとしている方にも参考にしていただけると思います。マンション購入後に、売却する立場になる可能性も無いとはいえませんから。>>>マンションを売却するなら知らないと損するサービスとは?

残債を確認する方法

住宅ローンの支払いを口座振替にしている人の中には、いくら残っているのか(残債)がわからない人も多いと思います。

しかし、一体いくらのローンが残っているのか知らなければマンションを売却しようと考えている場合などには困ります。そこで、残債を確認する方法について詳しくみてみましょう。

インターネットバンクサービスを利用

インターネットバンクサービスの登録をしている方は、サービスによって金融機関のサイトから確認ができるようになっています。

融資を受けている銀行に問い合わせる

融資を受けている各金融機関に問い合わせて「証明書」を発行してもらう、という方法もあります。

この際必要になるものは、本人確認の為返済引落口座の口座番号や、契約内容がわかる事項、実印、身分証明書等が必要になります。

また、残高の照会はお客様の個人情報になるため、お借り頂いた契約者本人に限り、回答がされる為注意しましょう。

残高証明書、償還予定表の発行を希望する人は、返済している金融機関へ連絡して依頼しましょう。

融資を受けている銀行によっては、年に12回程度その年の返済スケジュールや残高が記載された書類を送付してくれる場合もあります。

まずは、いくらで売れるのか査定をしてもらう

まず問題になるのは、売却価格とローンの残高の兼ね合いです。基本的に、売却価格がローンの残高を上回っていれば問題ありません。もしローンの残高の方が多ければ、残債をどう決済するかが問題になります。この場合の対処の仕方については後ほど詳しくご説明するとして、まずは物件の査定についてご説明しておきましょう。

マンション売却一括査定サイト

査定の方法は、色々あります。手っ取り早いのは、ネットで不動産物件を一括査定してくれるサイトを利用する方法です。そういったサイトに申し込むと、大手から中小に至る不動産会社の査定が受けられます。ただし、その価格は大まかな数字でしかありません。大体の目安程度と思っておいてください。しかし、この方法にはデメリットがあります。それは査定した不動産業者から、嫌というほど連絡が来るようになるという点です。もっとも、考えようでは多くの業者から連絡が来るということは、それだけあなたの物件に魅力があるということでもあります。とはいえ売却するための現実的な査定額は、実際に物件を見てもらってからということをお忘れなく。>>>マンションを早く、高く売るテクニックとは?

査定価格に要注意

ここで注意すべきなのは、高い査定額を提示した業者が必ずしもベストではないことです。提示した査定額で、その業者があなたのマンションを買ってくれるということではありませんから。あくまでも、このくらいで売れるだろうという予測値でしかないのです。実際には、査定額より低い額でしかマンションが売れないこともあります。業者が高い査定額を提示するのは、あなたの物件を取り扱う権利を得たいという思惑があるからです。業者には査定した金額を保証する義務などありませんから、実際の売買価格が安くなることは珍しいことではありません。媒介契約をした後、売値を下げられて文句を言っても後の祭り。相手はその道のプロですから、上手く言い包められるのが関の山です。なので、安易に高い金額で査定した業者だけに絞るのは賢明ではありません。複数の業者に物件を見せて、実際に売れる価格を査定してもらってください。

媒介契約の形態は3種類

マンションを査定してもらって大体の売値を把握したら、次はその物件を仲介(媒介)してくれる業者を決めなければなりません。この契約を、媒介契約と言います。そして、媒介契約には3種類の形態があります。

1.専属専任媒介契約

  • 売買契約および、客付けを一社が独占する形態
  • 5営業日以内に「不動産指定流通機構」へ物件情報を登録する義務あり
  • 一週間に一回以上、売主へ活動状況の報告義務あり

2.専任媒介契約

  • 売買契約だけを一社が独占する形態
  • 7営業日以内に「不動産指定流通機構」へ物件情報を登録する義務あり
  • 二週間に一回以上、売主へ活動状況の報告義務あり

3.一般媒介契約

  • 媒介契約を複数の業者と契約できる形態
  • 特に義務なし
※不動産指定流通機構は、国土交通大臣が指定した公益法人。宅建業者間で物件情報を共有し、取引を迅速化させるのが目的です。

どの媒介契約がいいか?

どの契約形態を選択するかは、売主のあなた次第です。上記の契約形態には、それぞれメリットとデメリットがあります。専属専任媒介であれば、一社にすべてお任せになります。売主が自分で買手を見つけてきても契約できません。つまり専属専任媒介契約の場合だと、媒介業者が見つけてきた買手にしか売ることができないということです。ですので、それより高い金額で買ってくれる人をあなたが見つけてきても、その人には売れません。もし売主が勝手に売買契約を結んだら契約違反になり、媒介業者から損害賠償を請求されることになります。専任媒介契約なら、そういった心配はありません。何の縛りもなく、自由度が高いのが一般媒介契約です。一方、業者にしてみれば仲介手数料を得るチャンスが少ないので、営業に力が入らないケースもあるかもしれません。どの契約形態においても、特段の理由もなく途中で解約すれば違約になります。専任専属もしくは専任の媒介契約であれば、契約後直ちに販売活動を開始します。そこで売主の都合で中途解約ということになると、それまでの営業経費が無駄になるので違約金を請求されることがありますから注意してください。

売り急ぐと足元を見られて買い叩かれる

売ると決めたら、一刻も早く売りたいと思うのが人の常。しかし、焦りは禁物です。早く売りたいと焦れば、その分だけ足元を見られます。つまり、買い叩かれてしまうということです。媒介業者の側で考えると、多少安くても早い時点で仲介手数料を手にしたいという思惑があります。ですので、媒介業者は早く売るために売主に値引きに応じるよう説得するケースが多いのです。買手にしてみれば、安く買えるに越したことはありません。交渉上手な買手なら、査定額より低い金額で指値をしてくるでしょう。買手が購入金額を記載した買付け証明を出して売主が売渡承諾書を交付すれば、後は売買契約書に署名捺印してめでたく契約成立ということになります。ですので、買付け証明が出ると媒介業者は売主の承諾を得ようと執拗に催促してきます。媒介業者と買手の利害が一致しているのですから、両者に責め立てられるわけですね。ということで、焦って売り急ぐと買手と媒介業者に足元を見られ、査定価格を下回る指値で契約させられる流れになってしまうのです。

売却価格よりローン残高が多かったら?

どんな形態の媒介契約であれ、査定額より安かろうと売却価格がローン残高を上回っていれば一安心です。しかし、買付け証明に記された売買価格がローンの残高より低かったらどうなるか。つまりそれは、売却代金ではローンを決済して金融機関の抵当権を抹消できないということになります。抵当権が抹消されなければ、正常な所有権の移転ができません。それでは買主に物件を引き渡すことができず、売買契約そのものが成立しないということになってしまいます。この場合、抵当権を抹消するにはローン残金の不足分を自己資金で決済する必要があります。もしローンの残金を自己資金で決済できなければ、買主に物件を引き渡すことができなくなります。売買契約を結んだ後にそういった事態になると、違約金を払って契約を解除しなければならなくなります。そうなると、多大な損失を被ることになりますので、売りたい一心で後先考えずに売買契約を結ばないように注意してください。

住み替えなら、新たなローンで残金の不足分を処理できる

ただし、今のマンションを売って新たに住宅を購入する「住み替え」であれば、残金の不足分込みで新たなローンを組むことが可能です。とはいえ、ローンを組む以上は金融機関の審査に通らなければなりません。年齢や職業、年収などの属性にもよりますが、仮に属性が良くても返済比率が40%を超える融資額になると難しくなります。ただし40%と言うのはマックスですので、通常の返済率は30%が目安です。

時間と資金計画は余裕を持って

住み替えの場合は、住宅の購入と売却が同時進行になりますので、時間的に余裕を持って取り組む必要があります。時間的な余裕が無いと、売却予定価格を下回ってでも売却を急がなければならなくなりますから。それと、時間だけではなく資金計画にも余裕が必要です。先程申し上げたように、新規の住宅ローンの融資額は返済率の30%を超えない範囲でなければなりません。

返済率とは

返済率とは、年収に対してローン返済額が占める割合のことです。例えば年収500万円だとすると、その30%である150万円が年間返済額の目安ということです。通常の住宅ローンの場合、返済率の上限を融資条件として設定しています。なので、返済比率が30%を超えない範囲で資金計画を建てる必要があるのです。マンションの売却価格がローン残高を下回った場合、マンション売却時のローン残金と、住み替える住宅の購入費用を合わせた額でローンを組むことになります。その融資に対する返済が、年間で150万円を超えないようにしなければなりません。もしローンの残高を上回る前提で査定額ギリギリの資金計画を立て、実際の売却価格が査定額を下回ると資金不足になってしまいます。そうなると新たなローンの希望融資額が膨らみ、結果として審査に通らなくなる恐れがあります。

まとめ

ローンが残っていても、マンションを売却するのはそれほど難しいことではありません。しかし、注意すべきことが沢山あります。特に、売却価格でローンの残金が賄えない場合は要注意です。それと、売却する際には仲介手数料の他にも諸経費が必要になります。一括繰り上げ返済の事務手数料などは、ローンを組んでいる金融会社によって違いがありますので事前の確認をしておく必要があります。何れにしろ、売却価格のすべてが手元に残るのではないということを知っておいてください。こういったマンション売却における重大ポイントを認識することがのちの成功につながります。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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