ライオンズマンション麻布十番南の管理組合に取材しました!
2019.10.10
「マンションの管理状態」が重要性を増してきています。
今回、マンションジャーナル編集部ではライオンズマンション麻布十番南の管理組合理事長様にお話を伺いました。
マンションの資産価値向上に向け、どんなことを日々管理組合で議論し実行されているのか。これからのマンション管理のロールモデルになる事例を本記事でご紹介します。
以前は「陸の孤島」麻布十番の魅力
渕ノ上:まずはじめに、麻布十番の魅力について教えていただけますでしょうか。理事長:今でこそ麻布十番はブランドエリアとしての地位を確立していますが、約30年前まではまさに「陸の孤島」でした。大江戸線や南北線の開通によって、街の利便性が飛躍的に高まってきた街と言えます。地下鉄に加え、六本木ヒルズが完成したことで賑やかさも増してきました。ただ、その一方で「古き良き下町」としての一面を保っていることが麻布十番の魅力だと思います。渕ノ上:こちらの「ライオンズマンション麻布十番南」にはどんな魅力がありますか? 理事長:商店街から少し離れており、落ち着いた周辺環境となっていることは魅力です。地下鉄の入り口まで5分ほどで、昔ながらの飲食店やドラッグストアなども充実しています。渕ノ上:生活利便性が高いですね。こちらのマンションにはどのような方々がお住まいなのでしょうか?理事長:53戸の小規模マンションではありますが、所有者の年代構成は様々です。ご年配の方々も多ければ、小さいお子様もいらっしゃいます。専門家の知見を取り入れ、円滑な運営を行う
渕ノ上:日々の管理体制で何かアピールされたいことはありますか?理事長:当マンションも築20年以上が経過しているので、一部不具合は出始めています。例えば、上の階に設置されている給湯管から水漏れが発生しています。理事会は月に1回のペースで行っており、会計報告に加えて設備の点検結果等、報告をメインにしています。不具合の修繕については管理会社から具体的なご提案をいただいており、理事会で適切な頻度で議論ができていると感じます。渕ノ上:理事会の開催頻度は通常のマンションよりも多いですね。ちなみに、大規模修繕は実施済みでしょうか?理事長:築10年ほどのタイミングで第1回目を実施済みです。前回の大規模修繕時は、特に目立った修繕箇所はありませんでした。現在は、第2回目の検討に入る直前の段階です。ただ、次回の大規模修繕では外壁等の不具合箇所を詳細に調査し、不具合の修繕を念頭に計画していく必要があると思います。当マンションでは設備や防災関係に知見のある、過去に管理組合理事を経験された方などにお願いをして、「修繕委員会」と「防災委員会」を設けています。大規模修繕のような大きな工事の場合だけでなく、通常の改修工事なども修繕委員会の専門家の立場から、様々な助言をいただき、第三者の目線を入れた上で判断をしています。資産価値向上に向けて意識している「防災」と「バリアフリー」
渕ノ上:資産価値向上に向けては、どんなお取り組みをされていらっしゃいますでしょうか。理事長:時期によって、資産価値を左右するキーワードがあると思います。例えば、2011年の震災以降、管理組合として「防災に対する取り組み」は、資産価値を保つための重要な要素となっていると考えています。具体的には、防災用品などの備蓄や、防災委員会の協力の下、年に1回ほどのペースで備品の確認や防災訓練を実施しています。もう1つの資産価値向上のためのキーワードが「バリアフリー」です。もともと、当マンションのエントランスには重厚感のある手動扉が設置されていました。しかし、ベビーカーを利用している方や、ご年配の方、車椅子を使っている方にとって手動扉は優しくありません。そこで今年、既存の手動扉を廃止し、自動扉を設置しました。細かい仕様など何度も議論しました。デザインに関しても、修繕委員会の意見も参考にして決めました。また、エントランスに至るまでの階段とスロープに関しても工夫を施しています。雨天時の転倒防止を考慮した滑り止め加工を行いました。今後スロープだけでなく、階段部分にも手すりを設置していく予定です。渕ノ上:素晴らしい取り組みですね。「防災」、「バリアフリー」以外にも何か特別にお取り組みされている事項はございますか?理事長:当マンション居住者の生活導線を綺麗に保つためにエレベータの内装改善として木目調のシートに張り替えることや共用廊下照明のLED化を行いました。また、ゴミ置場に関しましては、衛生面を考慮してウレタン防水塗装を実施しました。マンション館内の綺麗さも資産価値を維持するための重要な課題であると考えております。マンション管理は「コスト」ではなく「投資」という意識の醸成
渕ノ上:これまで資産価値向上のため多くの施策を実行されていると思いますが、なぜ実行できるのでしょうか?理事長:管理組合の役員は輪番制です。みなさんにマンション管理の実務を経験していただくことによって「管理組合の当事者」であるという意識を持っていただけているからだと考えています。管理に対する高い意識を持っているため、資産価値向上のための建設的な議論ができています。渕ノ上:「マンション管理は投資」というお考えがあるのは素晴らしいですね。私はライオンズマンション茅場町の副理事長を勤めていますが、外観デザインの刷新などにより賃料価格も上がるなど、資産価値向上において、一定の成果が出ています。ちなみに、理事会の所要時間は平均してどのくらいでしょうか?理事長:特に問題がなければ、概ね1時間程度で終わるようにしています。渕ノ上:理想的ですね。理事会の長さは不動産流通の観点からも極めて重要だと私は考えています。マンション管理のレベルを見極める1つの指標となります。必要以上に長い場合は運営が悪いか、段取りが悪いかのどちらかです。管理会社(株式会社大京アステージ)との関係はいかがでしょうか。理事長:あくまでも管理組合が存在している以上、管理組合の理事会が主体的に動いて意思決定をしていくべきと思っています。ただ、マンションに関する専門的な知識が必要ですので、その際は管理会社に教えてもらうような関係です。大京アステージさんは大手管理会社なので安心感がありますし、清掃や設備点検など外部の業者への依頼や発注など、日々の管理組合運営において欠かせない存在です。渕ノ上:「管理会社に任せきりにするのではなく、あくまでも主体的に管理組合が活動していく。」私もこれが理想的な管理体制だと思います。ライオンズマンション麻布十番南では、各所有者の管理への意識を高める仕組みを取り入れているという点で稀有なマンションですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
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