豊洲エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”
いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。
今回は、豊洲エリアをPICKUP。
豊洲市場の新スポットでも話題、住みやすさを追及したまちづくりが続くこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。
データで見る豊洲エリア
最高価格:4億円 最低価格:4280万円
平均価格帯:約1億3384万円
販売物件数:97
※2024年3月現在
↑ 平均価格と売出戸数
↑ 平均価格と平均平米単価
このエリアを一言で
👉売出物件数は多め。築10~20年が75%を占める
👉物件面積は50〜80㎡台がメインで70㎡台が最も多い
👉築10-20年の75%が億超え物件
今回は、江東区の豊洲エリアをピックアップ。ゆりかもめ(東京臨海新交通臨海線)と東京メトロ有楽町線が通り、豊洲駅(ゆりかもめ・東京メトロ有楽町線)、新豊洲駅(ゆりかもめ)の2駅が最寄駅となる。
◾️この街の歴史・街並み・特色
豊洲エリアは、1923年に起こった関東大震災後に瓦礫の処理場所として埋め立てられ、完成した土地。その後、1980年代までは造船や東京へのエネルギー供給の要所として役割を果たし、工業地帯として発展。1988年に有楽町線の豊洲駅が開業。石川島播磨重工業(IHI)の工場跡地を再開発した「豊洲二丁目土地区画整理事業」によって2006年にはゆりかもめ線の豊洲駅のほか、大規模商業施設の「アーバンドック ららぽーと豊洲」が開業するなど住宅街としての再開発が本格化。2000年以降は「THE TOYOSU TOWER」「シティタワーズ豊洲ザ・ツイン」「ブランズタワー豊洲」が竣工するなど、オフィス・商業施設・タワーマンションが並ぶ街へと変貌。
◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は多め。全体の75%が築10〜20年のマンション。当エリアは大規模タワーマンションが多いことが特徴。現時点での売り出し物件数のうち、全体の97%が総戸数100戸以上の大規模マンションだ。物件面積はDINKs・ファミリー向けが多く50〜80㎡台が中心で、特に70〜80㎡台が全体の半数以上を占める。最も多い築10〜20年は、億超え物件が約75%を占め、平米単価で見ると頂点が300万円/㎡、最低値でも120万円/㎡という高価格帯である。売り出し物件の多くは豊洲アドレス全体で見て北東にあたる豊洲3〜5丁目に集積している。
◾️今後の発展の見込み、再開発予定
本エリアでは、万葉倶楽部株式会社による「豊洲 千客万来」が2024年2月に開業。豊洲市場に隣接した場所に位置し、商業施設「豊洲場外 江戸前市場」と温泉施設「東京豊洲 万葉倶楽部」の2棟で構成されており、宿泊施設も備わる。「豊洲場外 江戸前市場」は、外観・内観ともに江戸の街並みを再現した建物となっており江戸時代の市場を再現した内部空間には寿司・海鮮丼などの飲食店が並ぶ。「東京豊洲 万葉倶楽部」は東京湾を一望できる露天風呂や展望足湯庭園があり、温泉を楽しみながら日頃の疲れを癒すことができる。24時間営業なのも地域住民にとっては嬉しい。
現在も複数の再開発が進行中だ。豊洲二・三丁目地区(「アーバンドック ららぽーと豊洲」に隣接する街区)では、三菱地所株式会社・株式会社 IHIが推進する「(仮称)豊洲 4-2 街区開発計画」が2022年7月から進められている。A棟とB棟からなる2棟の複合施設で構成されており、A棟は地上18階建のオフィスビル、B棟は地上15階建のオフィスでスタートアップ企業の誘致を目的としたインキュベーション施設と店舗等を設ける。街区の中心部には、大屋根を有した広場の設置や、緑化空間が計画されており、両ビルの2階には2棟を繋ぐデッキを設置し、オフィス間の移動がしやすいようにする(2025年6月竣工予定)。
新豊洲エリアでは東京ガス不動産株式会社が“TOYOSU22”をビジョンに掲げ、「スマートエネルギー」「スマートグリーン」「スマートコミュニティ」をコンセプトに豊洲埠頭に約18haの土地を所有し、まちづくりに取り組んでいる。「スマートグリーン」では、本格的な森となるように植えられた「自然の緑」と、建物とともに植えられる人工的な「都市の緑」を組み合わせ、都市の利便性と自然景観の両立を目指す。「スマートコミュニティ」では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを活かし、コミュニティ育成のためのイベント等をつくるなど、豊洲というエリア特性を生かしたまちづくりが推進されていく予定だ。
江東区では「地下鉄8号線(有楽町線)の延伸計画」が進められている。東京メトロ有楽町線豊洲駅から半蔵門線の住吉駅までを繋ぐ中間駅として、(仮称)枝川駅と(仮称)千石駅の2つの中間新駅が設置する計画となっている。東京8号線(有楽町線)の延伸が実現すれば、豊洲駅から住吉駅まで乗り換えなしで約9分と鉄道所要時間が大幅に短縮される。新駅が設置されることにより東西線、半蔵門線、都営新宿線との乗り換えが容易になるほか、臨海地域までアクセスしやすくなるなど交通利便の向上に期待ができる。
◾️この街の住みやすさ
2路線が通る豊洲駅から有楽町線を利用すれば東京駅まで約13分(乗り換え1回)、銀座駅まで約13分(有楽町線・乗り換えなし)、池袋駅まで約27分(乗り換えなし)と都内の主要駅や銀座方面までアクセスしやすい。また、羽田空港駅までのリムジンバスも運行しており便利だ。
豊洲駅の近くには大型商業施設の「アーバンドックららぽーと豊洲」があり、映画館やショッピング施設が揃う。1階には、スーパーの「フードストアあおき 東京豊洲店」があり、食料品も豊富に揃うため買い物にも困らない。豊洲駅の北口側には、家電製品や書店、薬局、100円ショップが入った「スーパービバホーム 豊洲店」があり日用品の買い出しにも便利だ。2階にはスーパーの「文化堂 豊洲店」も揃い手頃な価格で食品が手に入る。豊洲駅からすぐある場所には、図書館、出張所、文化センターを備えた複合施設の「豊洲シビックセンター」がある。
本エリアには、「豊洲公園、豊洲ぐるり公園、豊洲六丁目公園、豊洲六丁目第二公園」の4つの公園からなる総面積が約19.8ha の「豊洲ぐるりパーク」がある。「アーバンドックららぽーと豊洲」の隣にある「豊洲公園」では、芝生広場やじゃぶじゃぶ池が揃う。子どもたちが思い切り身体を動かして遊ぶことができるほか、東京湾を一望できるため水辺のウォーキングにも適している。「豊洲ぐるり公園」には、BBQ広場やランニングコース等が備わっており、休日はファミリーや友人で食事や運動が楽しめる。
駅近くに揃った便利な買い物施設やレジャー施設に加えて、近年の再開発によりますます住みやすい街へと進化が続く豊洲エリア。歩道や道路など街全体がゆとりを持って整備されており、子連れファミリーにとっても快適で暮らしやすい環境が整う。芝生が広がる豊洲公園をはじめ、緑地や水辺を身近に感じながら日頃の散歩やランニングができるため、リゾート地のような気分が味わえそうだ。開放感抜群の立地で、住環境に必要な要素がすべて整えられたエリアに住みたいという方におすすめだ。
エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移
現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。
築3年のブランズタワー豊洲は、2023年7月の190万円/㎡から上昇し始め、2023年11月には201万円/㎡まで到達。2023年12月に198万円/㎡まで下落したものの、2024年2月には208万円/㎡に。2024年3月現在は平米単価206万円/㎡で推移しています。築15年の シティタワーズ豊洲ザ・シンボルは、2023年7月に159万円/㎡から緩やかに上昇、2023年11月には171万円/㎡まで上昇。その後も上昇が続き、2024年2月に188万円/㎡、2024年3月現在は平米単価191.4万円/㎡に。築23年の グランアルト豊洲は、2023年7月に108万円/㎡から2023年9月に104万円/㎡まで下落。2023年10月から2023年2024年1月まで約108.1万円/㎡を維持。その後、上昇し始め2024年3月現在は平米単価113万円/㎡に。
👉ブランズタワー豊洲(総戸数1152、2021年竣工)
👉 シティタワーズ豊洲ザ・シンボル(総戸数850、2009年竣工)
👉 グランアルト豊洲(総戸数293、2001年竣工)
気になるあのエリアの最新市況データを見る方法
連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。
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マンションジャーナル編集部
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