吉祥寺エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.11.02
吉祥寺エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、吉祥寺エリアをPICKUP。
井の頭公園に昔ながらの商店街からおしゃれスポットまで、新旧・商業と自然、バランスよく揃うこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る吉祥寺エリア

最高価格:1億9800万円 最低価格:825万円
平均価格帯:約5826万円
販売物件数:72
※2023年10月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は少なめ、築40-50年が全体の約32%を占める
👉物件面積は50〜70㎡台が多く、80㎡以上の物件は僅少
👉築40-60年は30㎡台の小規模物件の売り出しあり
👉売出物件数は吉祥寺本町アドレスが最も多い

今回は、武蔵野市の吉祥寺エリアをピックアップ。吉祥寺駅(JR中央線・JR中央総武線・京王井の頭線)を最寄に、吉祥寺本町・吉祥寺北町・吉祥寺南町・吉祥寺東町の4アドレスで見てみた。 
                                                
◾️この街の歴史・街並み・特色
暦の大火(1657年)と関東大震災(1923年)、2度の災害によって安住の地を求めて逃れてきた人たちにより発展した歴史をを持つ。1917年には日本で最初の郊外公園・井の頭恩賜公園が開園、1934年になると京王井の頭線吉祥寺駅が開業し、交通利便が向上した。その後、高度経済成長期には宅地化が進み、1964年に始まった再開発計画により駅周辺には大型商業施設が進出するなどし、現在のような平日休日問わず賑わう街となった。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は少なめで、築40-50年が市場全体で約32%を占める。平米数は50〜70㎡台を中心に売り出しが多く、80㎡台以上の物件は僅少だ。アドレス別に見ると吉祥寺本町が最も売り出しが多く、また吉祥寺本町と吉祥寺南町には築40-50年の物件が特に多い(前掲の売り出し物件MAPを参照)。平均平米単価をアドレス別に見ると、吉祥寺本町が109万円/㎡、吉祥寺南町が99万円/㎡、吉祥寺東町が95万円/㎡、吉祥寺北町が81万円/㎡と、駅近で中心街であり築浅物件が多い吉祥寺本町アドレスが他の3アドレスと比べて最も価格が高い。本エリアの調査時点での売出物件を見ると、総戸数が100戸に満たない小・中規模マンションが主軸だ。そのため本エリアの売出物件数は多くない。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
当エリアでは、行政・地域住民・事業者等が参加してのまちづくりの策定が進められている。今後30年間を見据えた「吉祥寺グランドデザイン2020」、今後10年で進める取組みを明確にし共有するための「NEXT吉祥寺2021」、令和5(2023)年に築60年を迎える武蔵野公会堂及びその周辺のまちづくりのための「吉祥寺パークエリアまちの将来像立案に向けて~吉祥寺パークエリアまちづくり庁内プロジェクトからの提案~」など、時間軸やエリアごとに区切り、改定委員会やワークショップを通した議論を経たうえで一つずつ計画が進められている。また、駅の南口では「吉祥寺駅南口駅前広場事業」を2000年に都市計画として決定。歩行環境の向上、井ノ頭通りの円滑な交通環境の整備等の課題に対し、駅前広場の整備が進められている。具体的には令和7(2025)年度を目途に交通環境基本方針が策定予定である。

◾️この街の住みやすさ
JR中央線・総武線と京王井の頭線の2路線が利用できる本エリアでは、中央線快速経由で新宿駅まで約15分、東京駅まで約30分でアクセスできる。井の頭線を利用すれば始発駅である吉祥寺駅から渋谷駅まで約23分と混雑を避けて都心に行くことができるほか、山手線エリアまで30分でアクセスできるため交通利便性は良好だ。本エリアには中央線の吉祥寺駅~東小金井駅の4駅周辺をつなぐ武蔵野市の「コミュニティバス・ムーバス」が運行しており、武蔵野市内の移動手段としても利用できる。

吉祥寺駅の北口側は商業施設やスーパーの買い物施設が多く、南口側は井の頭公園や周辺にある閑静な住宅街であるのが特徴だ。駅直結には「キラリナ 吉祥寺」「アトレ吉祥寺」の2つの大型商業施設があり、日頃の買い出しも駅で済ませることができる。駅から徒歩2分のところには子育て世帯をターゲットにした複合施設「コピス吉祥寺」があり、子ども向けから家族までが楽しめるアパレルショップが揃っておりファミリーと一緒に買い物が楽しめる。駅から徒歩約3分の場所には「東急百貨店 吉祥寺店」や飲食店や生活雑貨店が揃った「吉祥寺PARCO」がある。パルコの地下2階にはミニシアター「アップリンク吉祥寺」があり、映画ファン向け作品からファミリー向け作品まで多種多様な映画が楽しめる。「サンロード商店街」では、飲食店から雑貨屋、お菓子屋、ドラッグストアまでが並び、買い物先には事欠かない。北口駅前に広がる「ハモニカ横丁」では、狭い通路に飲食店が軒を連ねており、レトロな雰囲気の中でお店巡りができるのも楽しい。駅の北口には「ヨドバシ吉祥寺」、南口には「ヤマダデンキLABI吉祥寺」の2つの大型家電量販店がある。駅の南口から出てすぐの場所には、「井の頭恩賜公園」がありスワンボートでボート遊びができるほか、公園周辺には野球場やテニスコートなどのスポーツ施設が備わっており子どもから大人までが自然と触れ合いながら楽しく散歩や運動ができる。また、園内には「井の頭自然文化園」があり動物と触れ合えるほか、公園の奥には「三鷹の森ジブリ美術館」があり日本国内外からの観光客で賑わう。

主要駅までのアクセスの良さ、豊富に揃った買い物施設、広々とした公園など単身者層からファミリーまでが暮らすための条件が全て揃った吉祥寺エリア。程よく発展して緑が多くゆったり過ごせて個性的でセンスの良い店も揃う・・すでにシングルからカップル、ファミリーまで人気のエリアだが、今後の街の動向には注視したいところ。具体的な建設計画などの見通しは現時点ではないが、市民も関与しながらのまちづくりプランが実現されることで今後より一層居住性に磨きがかかれば、街の活気や人気は維持される。物件数は限られるため、特に広さのある物件を探している人はこまめに売り出し状況をチェックするようにしよう。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築4年のザ・ロアハウス吉祥寺は、2023年の142万円/㎡から2023年3月には136万円/㎡まで下落し、2023年7月まで136万円/㎡台を維持。その後右肩下がりに転じ、2023年10月現在は平米単価127万円/㎡に。築45年のルネ吉祥寺は、2022年6月時点では120万円/㎡だったが2023年4月には110万円/㎡まで下落。2023年8月は143万円/㎡まで戻り2023年10月現在は平米単価147万円/㎡台に。築50年の三田吉祥寺コーポは、2022年1月に61万円/㎡から徐々に下落傾向に転じ、2022年11月には50万円/㎡まで下落。その後、2023年3月まで50万円/㎡〜53万円/㎡台の間で維持、2023年4月は59万円/㎡まで上昇。2023年10月現在は平米単価531万円/㎡で推移しています。

👉ザ・ロアハウス吉祥寺(総戸数18、2019年竣工)
👉 ルネ吉祥寺(総戸数155、1978年竣工)
👉三田吉祥寺コーポ(総戸数38、1973年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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