蔵前エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.05.31
蔵前エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、蔵前エリアをPICKUP。
おしゃれなカフェや雑貨店が並び「東京のブルックリン」とも言われるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る蔵前エリア

最高価格:1億2300万円 最低価格:1080万円
平均価格帯:約4310万円
販売物件数:82
※2023年5月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件は少なめで、全体の約7割が築10年以内か築30-50年
👉築30年以上は40㎡台の物件が多く、リーズナブルな物件あり
👉20㎡以下から90㎡台まで揃う

今回は、台東区の蔵前エリアをピックアップ。隅田川に接する蔵前とその西部にある三筋、北部にある寿の3アドレスで見てみた。本エリアにおける最寄駅は、蔵前駅(都営地下鉄浅草線・大江戸線)、三筋は新御徒町駅(都営大江戸線・つくばエクスプレス線)、そして寿は蔵前駅を含め田原町駅(東京メトロ銀座線)が最寄になる。蔵前の端から田原町駅まで徒歩15分ほどなので、3駅4路線が使え、交通利便性も高い。

「蔵前」の地名は、江戸時代に年貢米を貯蔵するための米蔵が隅田川沿いに作られたことに由来し、明治時代以降は官公庁関連の施設が立地するようになった。本エリアは大正時代以降、関東大震災に被災した日本橋の人形職人たちが集うようになり、玩具問屋街として発展。川沿いに位置し、モノづくりの街という側面ももっていることがアメリカのブルックリンと似ていることから、巷では「東京のブルックリン」と称されている。江戸通り沿いには問屋など昔ながらの店舗が軒を連ねる中、器や家具、皮小物などのショップやカフェが点在し、おしゃれな雰囲気と懐かしさが同居する独特の街並みで近年人気が高まっているエリアだ。

本エリアは、築10年以下と築30-40年、築40-50年の物件が多く、全体の7割を占める。築年数10年以下は平米単価が130万円を超えるが、これは1億円超え物件が全体を引き上げている形。一方、築30年以上は平米単価約80万円と比較的リーズナブルではあるが、平均40㎡台の物件が多く、50平米以上の広さを持つ物件は僅少でシングルやDINKsに適した物件が多い傾向。近年人気のエリアであり元々物件数も多くないため、特にファミリーサイズの物件狙いの人は、売り出しを見逃さないようウォッチしたい。

下町風景とおしゃれな雰囲気が残る蔵前エリアでは、2023年3月、日本郵政不動産による「蔵前JPテラス」が台東区蔵前一丁目に完成した。住宅棟、物流施設、オフィス棟で構成され、住宅棟の9階から17階にはシニアレジデンスの「ブランシエール蔵前」が入居する。住宅棟の18階から23階は、三井不動産レジデンシャルリースによる賃貸住戸「JP noie 蔵前」(総戸数128戸)。窓から隅田川の景観を楽しめる眺望が魅力の物件だ。蔵前JPテラス内にあるオフィス棟の1階には、「くらまえ橋郵便局」や、ベーカリー、保育園など、生活利便施設も整備され、居住者ばかりでなく当エリアに住む人々の暮らしの向上にも寄与しそうだ。また「蔵前JPテラス」にはテニスコート11面半の広さを有する屋上庭園があり、一部は「貸し菜園」として野菜づくりを体験できるようになっている(貸し菜園の契約者のみ)。

蔵前駅は、都営浅草線と大江戸線の2路線が通っており、浅草線を使えば新橋駅まで約12分、東銀座駅まで約10分で行くことができる。また、大江戸線を使えば新宿方面まで直通で約30分弱で行けるため、都内への移動がスムーズであり通学や通勤にも大変便利だ。ノスタルジックな雰囲気と新しい文化が混在する蔵前エリアは、足元の街並みはもちろん、隅田川や浅草も散歩圏内になる観光エリア。街の生活利便性が充実したことで、今後ますます当エリアの居住ニーズが高まりそうだ。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築14年の​​日神デュオステージ浅草三筋は、2022年12月に95万円/㎡から2023年1月には108万円/㎡まで上昇し、2023年1月から2023年5月時点では平米単価100万/㎡〜108万/㎡前後で推移。築38年のパレドール浅草は、2022年11月から2023年5月現時点において平米単価73万円/㎡台で安定。築42年のたのもきシャルムは、2022年7月以降平米単価70万円/㎡から徐々に上昇しており2023年3月に約78万円/㎡台に到達、現在は74万円/㎡台に落ち着いています。

👉日神デュオステージ浅草三筋(総戸数87、2009年竣工)
👉パレドール浅草(総戸数26、1985年竣工)
👉たのもきシャルム(総戸数27、1981年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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