入谷エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.10.13
入谷エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、入谷エリアをPICKUP。
鬼子母神や朝顔市、江戸の歴史文化を今も感じられるこのエリアその不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る入谷エリア

最高価格:8900万円 最低価格:1100万円
平均価格帯:約3820万円
販売物件数:74
※2023年9月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉築10-30年と築40-50年がメイン
👉平米数は築20〜50㎡が中心、広め物件は少ない
👉築30年以上は平均平米単価が72~62万円/㎡台とリーズナブル

今回は、台東区の入谷エリアをピックアップ。入谷駅を中心に入谷、下谷、北上野の3アドレスで見てみた。最寄駅は入谷駅(東京メトロ日比谷線)、下谷は鶯谷駅(京浜東北線・JR山手線)もエリア内にある。                                                

◾️この街の歴史・街並み・特色
「おそれ入谷の鬼子母神・・」という洒落言葉でも知られる入谷一帯は、かつて「千束池」という沼地があった土地。江戸の頃に埋め立てられ現在の地形となった。江戸末期から明治にかけては朝顔の名産地として一大ブームを巻き起こし、入谷鬼子母神を中心に行われる「入谷朝顔まつり(朝顔市)」は今も100軒を超す朝顔業者が集まる夏の風物詩(一度は途絶えたものの戦後に復活)である。

◾️中古マンションの売り出し状況
築40-50年が物件の売り出しが多く全体の約34%を占める。築10-30年も市場全体で約43%と多めだ。物件面積は20〜50㎡台が中心に売り出されており、70㎡以上の広め物件は僅少。平均平米単価をアドレス別に見ると、入谷が92万円/㎡、下谷が75万円/㎡、北上野が89万円/㎡と入谷アドレスが他の2つと比べて高めだ。入谷の平米単価が高い理由としては、築20年以内の若め物件が多いことが挙げられる。対して下谷は、築40-50年の売り出しが多くなっている。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
入谷エリアでは現在、具体的な再開発が行われる予定はないが、近接エリアである上野駅で再開発が進行中。JR東日本株式会社が推進する「Beyond Stations構想」ビジョンのもと、デジタル技術を活用した駅空間の再開発として「上野駅広小路口駅前広場」と上野駅13番線「PLATFORM 13」 の2箇所で大規模サイネージを設置した駅型ショールーミングスペースが誕生する予定だ。「上野駅広小路口駅前広場」は、1932年に落成した2代目上野駅舎のファサードをそのままに、映像技術を駆使した大規模サイネージの設置とイベントスペースが整備され、体験型メディアが楽しめる駅広場が2023年の冬に開業予定。上野駅13番線「PLATFORM 13」 は、列車が始発着する上野駅特有のホーム形状でプロジェクターなどを利用した100mの壁面が整備される。また、山手線の駅が利用できる上野駅を含め、JR 東日本株式会社が推進する「Yamanote Line Museum」の一環としてアートに触れることができるスペースを高田馬場駅、新橋駅、中野駅、四ツ谷駅で展開している。

◾️この街の住みやすさ
日比谷線が利用できる入谷駅では六本木・銀座・秋葉原まで乗り換えなしで行くことができる。入谷駅から鶯谷駅までは徒歩約10分で行くことができるため、JR山手線も利用できる好立地だ。また、台東区内を循環するコミュニティバス「めぐりん」も運行している。1日300円と手頃な価格で台東区周辺を乗り放題できるため、観光地である上野・浅草までの移動手段として利用することもできる。入谷周辺には買い物施設も豊富に揃っている。入谷駅からすぐの場所には食品スーパーの「ココスナカムラ 入谷店」や駅から金美館通り沿いに向かって約4分のところには「いなげや 入谷店」があり、日々の買い物場所として重宝できる。下谷アドレス方面では、駅から徒歩約4分の場所に小規模スーパー「まいばすけっと 台東下谷1丁目店」もある。さらに、入谷駅から金美館通り沿いを歩いて約4分のところには「入谷金美館通り商店会」があり、飲食店に加えて昔ながらのスイーツやパン屋さんが軒を連ねている。入谷駅から徒歩約8分のところには食品サンプルが多彩に揃ったお店や調理器具・食器など道具専門の問屋街「かっぱ橋道具街」があり、散策としても最適だ。駅から徒歩約2分の場所には、入谷鬼子母神として有名な神社「真源寺」があり、初夏には「入谷朝顔祭り」の開催で賑わう。駅から徒歩約7分の場所には遊具が豊富に揃った「入谷南公園」があり、子どもたちが思う存分身体を動かして遊ぶことができる。隣駅である上野駅まで行けば、花見の名所でもありボート池が楽しめる「上野恩賜公園」があり、単身者から子連れのファミリーまでがリラックスできる休日のお散歩スポットが近いことも嬉しい。上野駅というターミナル駅をはじめとする交通アクセス、浅草という日本を代表する観光名所、それらを手にいれることができる都内の立地が、築30年以上となれば驚きの価格帯で手に入る。物件の見極めは必要だが、文化や歴史の香りのする賑やかなエリアに住みたい人は一度見てみても良いだろう。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築2年のリビオレゾン上野入谷ザ・テラスは、2023年3月の136万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年8月には125万円/㎡まで下落。2023年9月以降は平米単価130万円/㎡台に戻っている。築9年のレアライズ入谷は、2022年11月の89万円/㎡から2023年2月に84万円/㎡まで下落。その後も88〜82万円/㎡の間で80万円/㎡台を維持し、2023年9月現在は平米単価86万円/㎡に。築48年の下谷サニーハイツは、2022年4月から12月まで40万円/㎡台で維持。その後2023年2月までに64万円/㎡まで上昇。以降、緩やかにくだり始めたものの2023年10月現在は平米単価54万円/㎡となり、2022年4月時点よりも約14万円上昇した平米単価に落ち着いています。

👉リビオレゾン上野入谷ザ・テラス(総戸数98、2021年竣工)
👉レアライズ入谷(総戸数21、2014年竣工)
👉下谷サニーハイツ(総戸数50、1975年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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