東日本橋・浜町エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”
いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。
今回は、東日本橋・浜町エリアをPICKUP。
江戸から続く問屋街に、リノベーションによる新スポットが続々誕生し新旧文化が入り混じるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。
データで見る東日本橋・浜町エリア
最高価格:1億5900万円 最低価格:1450万円
平均価格帯:約6052万円
販売物件数:66
※2024年3月現在
↑ 平均価格と売出戸数
↑ 平均価格と平均平米単価
このエリアを一言で
👉売出物件数は少ない。築10-30年・築40-50年が多め
👉物件面積は40〜50㎡台がメイン
👉平均平米単価は東日本橋アドレスの方が高額
今回は、中央区の東日本橋・浜町エリアをピックアップ。住所としては、隅田川沿いに位置する東日本橋・浜町の2アドレスである。東日本橋は東日本橋駅(都営浅草線)・馬喰横山駅(都営新宿線)が、浜町は浜町駅(都営新宿線)が最寄駅となる。また、マンションの立地によっては馬喰町駅(総武線快速)・人形町駅(都営浅草線・東京メトロ日比谷線)・水天宮前駅(東京メトロ半蔵門線)も利用できる。
◾️この街の歴史・街並み・特色
東日本橋エリアは、江戸時代から東日本橋周辺から日本橋小伝馬町にかけて木綿や布地を販売する問屋、呉服屋や古着屋が集まり繊維問屋街として栄えた。現在も卸商社や店舗が軒を連ねる日本最大級の問屋街となっている。1962年に都営浅草線の東日本橋‐浅草橋間が開通。「東日本橋」はこの駅の命名とともに地名として定着した。浜町エリアは江戸時代には武家屋敷が並んでいたが明治になると、その跡地が料亭や飲食店に変わった。1873年には歌舞伎の劇場「明治座」が開業。2023年には創業150周年を迎えた。近年はマンション建設も活発に行われるほか、卸問屋の空き物件をリノベーションした店舗や事務所が増えるなど、既存の街並みを活かしながら新しい風を吹き込むようなまちづくりが進められている。
◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は少なく築10-30年と築40-50年が多めだ。物件面積は40〜50㎡台の物件が多い。アドレス別の平均平米単価で比較すると東日本橋は約130万円/㎡であるのに対し、浜町は約113万円/㎡と、東日本橋アドレスの方が高額。これは、東日本橋の方が比較的築年数の若い物件が多いためである(東日本橋の売出物件の約9割が築30年以下である一方、浜町は全体の半数以上が築30年超の築古物件)。
◾️今後の発展の見込み、再開発予定
東京駅を中心とした日本橋周辺エリアでは、多数の再開発が同時に進行している。中央区は、「江戸以来の歴史と伝統が息づく文化と最先端の都市活動を融合し、集いとにぎわいがあふれるまち」を実現するため「日本橋川沿いのまちづくりビジョン」を2015年に策定。本ビジョンに基づき日本橋川沿いの5地区で大規模再開発事業が予定されている。また、5つの市街地再開発事業と連携し、首都高速道路株式会社による「首都高速道路日本橋区間地下化事業」が2020年から始動。日本橋川上空を走る首都高速道路の構造物が高齢化している課題を受けて、構造の最適化、交通状況の改善、景観としての向上などを目指し、令和22年度には日本橋上空の高架橋が撤去される予定だ。
日本橋川沿い再開発の第一弾として、三井不動産と野村不動産による「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」が2021年に着工。商業施設・MICE・ビジネス支援施設、オフィス・ホテル・居住施設で構成された地上52階建のビルが2026年に誕生する。同ビル内にはヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」が日本初進出となる予定だ。その他、日本橋川を臨むテラス・デッキや広場、観光バス乗降場の設置もされる。
八重洲1丁目1・2番地区では、東京建物株式会社(代表)など4社を事業主体に「八重洲1丁目北地区市街地再開発事業」が進む。この事業では、日本橋川沿いの水辺空間を活かした広場が整備されるほか、様々なビジネスシーンに利用・滞在できるMICE施設が整備される(2024年に着工・2032年迄に全体完成予定)。
日本橋室町1丁目地区では、三井不動産株式会社による「日本橋室町1丁目地区市街地再開発事業」が進む。東京メトロ三越前駅直結の住宅・オフィス・店舗で構成された地上33階建の超高層ビルが2028年に誕生する予定。江戸時代より薬問屋が多く、現在も製薬会社等が集まるエリア特性を活かし、ライフサイエンス企業の成長を支援するための拠点となることが掲げられている。その他、日本橋駅の東側では、東急不動産など3社が推進する「日本橋1丁目東地区市街地再開発事業」が、日本橋1丁目・2番地区では、三井不動産による「日本橋1丁目1・2番地区市街地再開発事業」が進行中。いずれも2026年に着工予定で、MICE拠点として国際的価値を発揮することを見込んだ文化施設や関連設備がエリア一帯で整えられていく。
◾️この街の住みやすさ
本エリアは東京駅まで抜群のアクセス利便を誇る。馬喰町駅から総武線快速を使えばたった2駅で5分かからず東京駅までアクセス可能。タクシーで10分程度だ。複数路線が使えることで都内各駅へフットワーク軽く移動できるほか、新幹線を利用して全国各地まで飛び回ることが可能になる。
オフィス街である東日本橋・浜町エリアだが、買い物施設や飲食店にも事欠かない。東日本橋駅の西側には、スーパーの「まいばすけっと 日本橋横山町店」や、「マルマンストア 日本橋馬喰町店」など小規模スーパーが揃う。馬喰横山駅の近くには「mellow green 国内オーガニック専門店」があり、国産オーガニック食品や日用品、スキンケア製品が手に入る。浜等エリアには、「成城石井日本橋浜町店」や「ピーコックストア・トルナーレ日本橋浜町店」などのスーパーが利用できる。コーヒーショップやカフェ、レストランも多く、問屋街の空き物件をリノベーションした新スポットも近年増えている。また、地元商店街や日本各地から30店舗以上が出店し、旬の野菜や野菜や果物のほか、ジャム等の加工品、雑貨、花が購入できる「浜町マルシェ」が年4回開催され、地域住民に親しまれている。
浜町エリアに隣接する日本橋人形町は、1908年から続く歴史ある「人形町商店街」や「甘酒横丁」など、下町の賑わいを感じさせる街並み。「人形町 今半」や「玉ひで」、人形焼や和菓子屋、豆腐屋など、100年をゆうに超える老舗もめずらしくない。日々の気取らない食事から特別な日の一席、食べ歩きまで幅広く、自宅から徒歩圏内で歴史的観光地が楽しめる。また、商業エリアながら緑地や水辺などの自然が身近にできる点も、このエリアに住む大きな魅力の一つ。浜町駅前には遊具・芝生広場が備わった「浜町公園」があり、春には桜並木の下で散歩が楽しめるほか、8月には「大江戸まつり盆踊り」が開催される。園内には「中央区立総合スポーツセンター」が併設されており、大人から子どもまで身体を動かせる。浜町と日本橋人形町の境を南北に延びる「浜町緑道」は春には桜、夏には水の流れが楽しめるなど、散歩にピッタリ。隅田川沿いの「隅田川テラス」は朝のウォーキングやランニングにも最適だ。
複数の駅が利用できる交通利便性に加えて、駅周辺に揃う飲食店や買い物施設、水辺の景観が楽しめる浜町公園が揃う東日本橋・浜町エリア。人形町エリアまで徒歩圏内であり、グルメや歴史スポットなど街歩きも楽しめ、職住遊を満喫できる。また東京駅という交通要衝を生活圏にできる点は、多忙なビジネスパーソンには大きなメリットだ。今後の再開発によって江戸から続く歴史背景も基盤にしながら、MICE拠点が整備されて国際都市としての存在を示していくことが期待される。長期的な計画とはなるが資産性としての手堅さはピカイチであり、日々の生活においても特にビジネス側面のアドバンテージを重視し、アグレッシブに日本全国、世界を見据えて動き回りたい人におすすめのエリアだ。
エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移
現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。
築18年のスカイコートヴァンテアン東日本橋は、2023年7月に121万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年10月に116万円/㎡まで下落。2024年3月現在は平米単価115万円/㎡に。築20年のガレリアマーレ日本橋は、2023年11月に129万円/㎡から2024年1月に143万円/㎡まで約14万円/㎡上昇。その後、2024年2月から2024年3月現在は平米単価142.5万円/㎡に。築45年のニューハウス浜町は、2023年6月に95万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年11月に83万円/㎡と約12万円/㎡下落。その後も下落が続き、2024年1月に82万円/㎡、2024年3月現在は81万円/㎡に。
👉スカイコートヴァンテアン東日本橋(総戸数35、2006年竣工)
👉ガレリアマーレ日本橋(総戸数100、2004年竣工)
👉ニューハウス浜町(総戸数24、1979年竣工)
気になるあのエリアの最新市況データを見る方法
連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。
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マンションジャーナル編集部
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