夫婦ともに50歳、今からマンション購入は現実的?|カウルのお悩み相談室

不動産購入にまつわるお悩みは複雑だからこそ、なかなか気軽に人に相談できないもの。
「カウルのお悩み相談室」は、カウルユーザーから届いたリアルなお悩みに、その道のプロがズバリ答える連載企画です。
今回は、50歳のご夫婦からのご相談。ご自身の年齢や金利状況などから購入すべきなのかお悩み中です。果たして、買った方がいいか否か、プロの見解は?
お答えいただくのは、不動産運用にも強いファイナンシャルプランナー 森祐司さんです。
森 祐司

今回のご相談内容
Q:「夫婦ともに50歳、幼い子ども2人。年齢的に焦っているが、金利上昇も気にかかる。今からでも購入したほうがよいか?」
Bさん:
「夫婦ともに50歳、晩婚だったため二人の娘はまだ小学1年生と幼稚園。
これまで住宅を購入した事はなく現在は都内の3LDKの賃貸マンション住まいなのですが、今からでも住宅購入をした方がいいのか悩んでいます。
今は住宅価格(特に都内のマンション価格)は高騰しており、金利の上昇も懸念される中でタイミング的にはあまりよくないと思うのですが、住宅ローンを考えると年齢的にもう猶予はないと思い焦っています(すでに手遅れかもしれませんが)。やはり余裕をもった資金計画が、何より重要だと思っています。
世帯年収は1000万円、貯蓄は2500万円。
現在の賃料は月13万円。
購入物件は4LDK以上の中古マンションか戸建て、東京駅までの通勤が60分以内で考えています。
はたして購入は現実的でしょうか?
それとも賃貸を続ける方が無難でしょうか?
ちなみに私の実家が関東の田舎にあり、定年以降はそちらに引っ越して売却、というのも想定に入れています。
ただ、駅から遠い不便な場所で家自体も老朽化しているのでその時点で住めなくなっているリスクが高いと思っています。
家とは別にして、将来的の夢としては、夫婦で旅行して回るのが理想の老後ですね」
<<Bさんプロフィール>>
■現在のお住まい:賃貸
■ご年収(世帯年収):1,100~1,200万円未満
■家族形態:ファミリー(小学生1年生と幼稚園生)
■今後大切にしていきたいこと(「家族との時間、仕事、交友関係、趣味、学び、経済力」の中から優先順位の高い順に3つ):
1位:家族との時間
2位:仕事
3位:経済力
回答:「買うなら築◯年程度の物件がおすすめ」
編集部:
「Bさんは今回のご相談者のなかで、最も詳しく書いてくださいました。『焦っている』と書かれている通り、かなり悩まれているのかなと・・」
森さん:
「確かに東京のマンションは高騰し、金利も上昇懸念がありますよね。ただ、世界に視野を広げると、先進国の首都の不動産価格としては、まだまだ東京は安いほうだ、という見方もできます。『アメリカの金利上昇で住宅ローン金利が6%に』などとよく聞きますが、日本は残念ながらそこまで劇的に金利をあげられる状況ではないかと思います。詳しく解説するのは別の機会にしますが、日本の場合、仮に大きく金利を上げたとしたら経済への打撃が凄まじいものになるでしょうから」
編集部:
「では、まだしばらくは金利上昇を必要以上に懸念しなくても良いと?」
森さん:
「あくまで個人の意見ですが、金利は上がったとしても小幅なのではないかと思います。それでも、どうしても金利上昇が不安、という方は、固定金利という選択肢を選ぶのも良いでしょう。2023年3月現在、35年の長期ローンでも、1.6%〜2%程度で組める銀行が多く、これでも世界水準から考えたら十分低金利かと思います」
編集部:
「金利を恐れて購入を踏みとどまる必要はないということですね。Bさんは、もしも購入された場合、定年後は売却してご実家に戻られるというプランも考えられています。そこまで含めて考えた場合の、購入へのアドバイスをいただけますか?」
森さん:
「現在50歳ということですので、例えば15年後の65歳のときに売却してご実家に移り住むのであれば、築20年程度経った、価格がこれ以上あまり下がりづらい状態になった物件を買うのはいかがでしょうか。長期保有すれば、15年後の残債よりも売却価格のほうが高くなる可能性があり、ご実家のリフォーム資金に充てられるかもしれません。
もちろん不動産市況が今後どうなるかはわかりませんが、一般的に15年という長期保有期間があれば、残債よりも高く売れることが多いように思います」
編集部:
「15年保有すれば、元が取れる・・ということですか?」
森さん:
「例えば79歳で完済予定の29年ローンにした場合、4000万円のローンを0.5%で組むと、毎月の支払額は12.3万円程度なのですが、この金利であれば、15年後の残債は約2003万円になっています。築年数がある程度経って価格がこなれたマンションが半値になっている、という状況は考えづらいため、残債を下回る可能性は低いからです」
今回のお悩み・回答まとめ
- 購入するなら築20年程度経った、価格が下がりづらい物件を
- 日本では金利は上がったとしても小幅ではないかと考えられる
- 15年以上の長期保有期間があれば、残債よりも高く売れることが多い
今回は、金利状況をどう考えるか、50歳という年齢で今からでも購入すべきか、というご相談でした。
「購入した物件を◯年後に売却した場合、手元にいくら残るのか」については、中古マンション売買専用アプリ「カウル」で簡単に確認することができます。ぜひご参考にしてみてくださいね。
また、森さんの所属するFP事務所(Ever Side株式会社)では、「住宅予算診断」サービスを提供しています。年収、今後のパートナーの働き方、お金にまつわる価値観や資産背景、今後の収支予測などの複数要素をヒアリングして総合的に判断し、その人自身に合った20年・30年スパンでの「買っても大丈夫な価格」を算出してくれます。
相談自体は無料なので、どう解決すればいいか糸口を掴みたい方は一度プロに相談してみるといいでしょう。「FP(ファイナンシャルプランナー)への相談は初めて、どんなふうに相談すればいいのかわからない・・」という方は、この記事の後半で解説しているので、参考にしてみてくださいね。
参考:住宅購入FP相談室(Ever Side株式会社)
FPに聞いてみた。FPってどこまで相談できるの?なぜ相談が無料なの?
住宅購入や資産運用、家計管理など暮らしにまつわるお金について検索すれば、必ずといっていいほど出てくる「ファイナンシャルプランナー(FP)」。
「FPって、よく無料の相談窓口を見かけるけれど、強く営業されたり金融商品を売られるのでは・・?」
「聞いてもらいたい悩みはあるけれど、どこまで相談できるの?」など、興味はあるけれどよくわからない、という方も多くいらっしゃるかと思います。
そこで、FPに向いている人や利用のコツ、なぜ無料なのか等々、森さんにズバリ聞いてみました。
FPへの相談、どんな人が向いている?
編集部:
「Ever Sideさんのホームページでは、FPについて『お客さまのマネープランの計画と実行をお手伝いするお金の相談相手』とおっしゃられています。一口に『暮らしのお金の相談』といっても、一体どこからどこまで相談していいのでしょう? どんな方が向いていますか?」
森さん:
「まず、FPへの相談が合っている方は、何より『お悩みを抱える人』です。具体的には、こんな方がお客様には多いですね。
- 時間がなく1つの窓口に、お金まわりの相談をすべてお任せしたい方
- セカンドオピニオンが欲しい方(不動産業者に〇千万円の住宅を提案されているが、価格が適正か診断してほしい、など)
- 悩み事が複合的な方(家と家計管理、保険、投資、税金など複数の要素が絡んでいる)
- ライフプランを一緒に考えて欲しい方
反対に、あまりおすすめしないのはこんな方です。
- ネットや書籍でご自分で情報をかなり調べており、それらに対してしっかり自信を持って自分でライフプランニングをしている方
こうした方はまずはご自分で立てたライフプランを実行されてみて、その過程で適宜修正されていくのがよろしいのではないかと思います」
FPへ相談する時のコツってあるの?
編集部:
「なるほど、相談できるだけの具体的な準備が必要なのかと思っていたのですが、逆に整理されていない状態でいいんですね。では、実際にFPさんに相談する時の上手な相談方法や心構えみたいなものはありますか?」
森さん:
「私がご提案する際には、まずは相談内容をとにかくすべてお聞きします。とにかくしゃべっていただきます。その上で、入るお金、出るお金で何があるかをすべて聞きます。
そこで一旦私の方で持ち帰らせていただき、後日改めて課題、対策、取り組むべきことをご提案する、という流れです。
最初のご相談(※無料)では、『一番今日解決したい優先事項』を聞きますが、ケガに例えると、お客様が気付いていない場所から出血している、というケースもありえます。お話を聞くなかでそれがわかった場合は、そこの対処を最優先にすべき、など対処法をご提案させていただくので、まずはご安心してお話しいただければと思います。
また、弊社では初回相談は無料にしています。これは、まずはお互いのすり合わせを行う必要があるためです。相談者様側は「FPはこういうもの」という経験をし、FP側は相談内容に対応できるかを確認するための場が、初回相談なのです。相談金額を含めて双方で合意形成をとって初めて『ご依頼いただく』という形になりますので、ご安心ください。
住宅に限らずお金に関して何かモヤモヤを抱えていらっしゃる方は、まずはお気軽に初回相談を申し込んでみてください。流れについては、こちらのページで詳しく紹介しておりますので、合わせてご参考になさってください」
参考:ご相談の流れ(Ever Side株式会社)
マンションジャーナル編集部のまとめ:「まずは話すことで解決への道が開ける」
森さんに今回お話を伺うなかで、お金の悩みはまずは解体・整理して、見通しをよくすることが大事だと痛感しました。一人や身内だけでは、なかなかお金にまつわることを棚卸しすると言われても、考えるだけでシンドイもの・・。だからこそ、伴走者や指導役としてFPがいるのですね。
ファイナンシャルプランナー(FP)の初回相談が無料なのは、両者間で合意形成するためであるというのも納得です。もしお金に関して解決したい課題をお持ち方は、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
(PR)

マンションジャーナル編集部
中古マンション売買アプリ「カウル」を提供する「Housmart(ハウスマート)」が、購入や売却に必要な基礎知識・ノウハウ、資産価値の高い中古マンションの物件情報詳細、ディベロッパーや街などの不動産情報をお届けします。