定年退職後のマンション購入、現金購入以外に手段はないか?|カウルのお悩み相談室

2023.04.07
定年退職後のマンション購入、現金購入以外に手段はないか?|カウルのお悩み相談室

不動産購入にまつわるお悩みは複雑だからこそ、なかなか気軽に人に相談できないもの。
「カウルのお悩み相談室」は、カウルユーザーから届いたリアルなお悩みに、その道のプロがズバリ答える連載企画です。

今回は、定年退職後にマンション購入を検討されている方からのご相談。なるべく良い物件を手にしたいけれども住宅ローンを使わず現金購入しか手がないのか、こうした話を不動産屋に相談してもいいものか?・・とお悩み中です。果たして、プロの見解は?

お答えいただくのは、不動産運用にも強いファイナンシャルプランナー 森祐司さんです。

森 祐司

森祐司氏プロフィール画像

Ever Side株式会社 執行役員
不動産総合デベロッパーにて収益不動産運用のコンサルティング、生命保険会社でのライフプランナーを経て、独立系FP事務所に移籍、現職。ライフプランニング実績は800世帯超、20年30年以上先まで見据えた長期人生設計を得意分野としている
https://www.everside.life

今回のご相談内容

Q:現在は賃貸。マンションを買いたいが定年退職済み。やはり現金購入しかない?

Cさん:
「現在賃貸物件に住んでいるのですが、持ち家(中古マンション)を購入したいと思っています。ただ定年退職をしておりますので、2000万円以下の物件で現金購入しかないと思っていますが、それ以外に選択肢はあるのでしょうか? なるべく良質な物件を手にしたい、と思っています。

また、自治会等の煩わしさも懸念しています。まったく想像がつきません。

購入に関しては友人の不動産屋さんにお願いするつもりなのですが、その場合にどの程度、こういった相談ができるのでしょう。相談先にメリットがないと対応してくれないのでしょうか?

将来的にはいろいろな身辺整理を進めていき、経済状況が好転すれば海外移住もいいなと思っています」


<<Cさんプロフィール>>
■現在のお住まい:賃貸
■ご年収(世帯年収):300万円未満
■家族形態:単身
■今後大切にしていきたいこと(「家族との時間、仕事、交友関係、趣味、学び、経済力」の中から優先順位の高い順に3つ):
 1位:経済力
 2位:交友関係
 3位:趣味


回答:「現金購入するなら〇〇〇〇〇〇の確保を」

編集部:
「今回のご相談者さんは悩みをいくつも抱えていらっしゃるようですね。まずは定年退職をされているということですが、この場合の購入はいかがでしょう?」

森さん:
「ご定年を迎えられているとなると、確かにローン利用はなかなか難しいかもしれません。気になるのは毎月の収支(キャッシュフロー)です。現金で購入した場合、十分な老後生活資金は確保できますでしょうか。住宅を現金で買ってしまったら貯蓄をほとんど使ってしまった、といった状況はできれば避けたいところです。介護など、想定していなかった問題に直面することもあり得ますので、ある程度のキャッシュは手元に持っておきましょう

編集部:
「住宅ローン利用での購入はハードルが高い、さらには現金購入するなら、十分な老後生活資金はキャッシュで確保すべき、ということですね。自治会(マンション管理組合など)についても不安要素を抱えていらっしゃるようです・・」

森さん:
「煩わしく思うお気持ちはよく分かります。ただ自治会(管理組合)は、ご自身の不動産という財産の価値を保つための重要な組織です。数か月に一度など、会合があるかと思いますが、ぜひ積極的に参加してください。

また、お知り合いの不動産屋さんへこうしたご相談ができるのか、という点については、購入を真剣に検討されているのであれば、十分相談にのってくれると思われます。不動産会社様は基本的に成果報酬型ですので、そのお知り合いの方を通して買うことを検討しよう、というお気持ちがあれば十分かと思います」

編集部:
「将来的には、経済状況に応じて海外移住も視野に入れてらっしゃいます」

森さん:
「そうですね、その際には改めて資金が必要になるでしょうから、やはり現金一括購入した後の、手元余裕資金次第かと思います。先ほどお伝えしたように、現金で購入した場合、十分な老後生活資金は確保できるのかという点と、海外移住など夢の実現や趣味にかける出費などが捻出できるのかという点。これらを合わせて考えたうえで、マンション購入をすべきなのかご判断されるのがよいでしょう。

また、手段のひとつとしてですが、海外に移住する際に、お持ちのマンションを賃貸物件として貸し出す、という方法もあります。この場合は、お持ちのマンションにすぐ借りたい人が見つかるか、というポイントも不動産屋さんに相談すると良いかもしれませんね。まずはなぜマンションを買いたいと思われたのか、改めてそこから整理されてみてください。弊社のホームページでも、住宅を購入する理由やメリットについて解説しているので、よろしければぜひご参考になさってください」

参考:住宅を購入する理由、住宅購入3つのメリットについて(Ever Side株式会社)

今回のお悩み・回答まとめ

  • 現金購入するなら、十分な老後生活資金の確保を。しっかり試算しよう
  • 定年退職後のマンション購入は住宅ローン利用は難しい
  • マンションの管理組合は自身の資産を保つための大事な組織。ぜひ積極的に参加を

今回は、定年退職後にマンション購入を考えられている方からのご相談でした。

今回のケースに限らず、「なぜマンションを買いたいと思ったのか」を整理しておくことは、非常に大切です。住宅購入は物件探しや契約まわりの完了、引き渡しまで、想像以上に時間や気力が必要になります。「このためにマンションが欲しい」という最初の理由をしっかりご自分やご家族間で見定めておくことで、より良い解決策が見つかったり、本当に欲しいゴールに近づくことができるはずです。

また、初めての住宅購入は、どんな年齢やシチュエーションであってもたくさんの不安が出てくるもの。多くの場合、今回のケースのようにお悩みは複合的に絡み合っているため、それを丁寧に紐解いていき最適なプランを立てることが必要です。行き詰まってしまった場合は、アドバイザーとしてファイナンシャルプランナーに一度ご相談してみるのもよいでしょう。

ファイナンシャルプランナーに相談してみる

森さんの所属するFP事務所(Ever Side株式会社)でも無料相談を受け付けています。行き詰まってしまったり、自力でのリサーチだけでは判断が難しいと感じた場合は、さまざまなケースを見てきたプロに悩みを整理してもらいましょう。解決への最短距離を示してくれるはずです。「FP(ファイナンシャルプランナー)への相談は初めて、どんなふうに相談すればいいのかわからない・・」という方は、この記事の後半で解説しているので、参考にしてみてくださいね。

参考:住宅購入FP相談室(Ever Side株式会社)

FPに聞いてみた。FPってどこまで相談できるの?なぜ相談が無料なの?

住宅購入や資産運用、家計管理など暮らしにまつわるお金について検索すれば、必ずといっていいほど出てくる「ファイナンシャルプランナー(FP)」。

「FPって、よく無料の相談窓口を見かけるけれど、強く営業されたり金融商品を売られるのでは・・?」
「聞いてもらいたい悩みはあるけれど、どこまで相談できるの?」など、興味はあるけれどよくわからない、という方も多くいらっしゃるかと思います。

そこで、FPに向いている人や利用のコツ、なぜ無料なのか等々、森さんにズバリ聞いてみました。

FPへの相談、どんな人が向いている?

編集部:
「Ever Sideさんのホームページでは、FPについて『お客さまのマネープランの計画と実行をお手伝いするお金の相談相手』とおっしゃられています。一口に『暮らしのお金の相談』といっても、一体どこからどこまで相談していいのでしょう? どんな方が向いていますか?

森さん:
「まず、FPへの相談が合っている方は、何より『お悩みを抱える人』です。具体的には、こんな方がお客様には多いですね。

  • 時間がなく1つの窓口に、お金まわりの相談をすべてお任せしたい方
  • セカンドオピニオンが欲しい方(不動産業者に〇千万円の住宅を提案されているが、価格が適正か診断してほしい、など)
  • 悩み事が複合的な方(家と家計管理、保険、投資、税金など複数の要素が絡んでいる)
  • ライフプランを一緒に考えて欲しい方


反対に、あまりおすすめしないのはこんな方です。

  • ネットや書籍でご自分で情報をかなり調べており、それらに対してしっかり自信を持って自分でライフプランニングをしている方

こうした方はまずはご自分で立てたライフプランを実行されてみて、その過程で適宜修正されていくのがよろしいのではないかと思います」

FPへ相談する時のコツってあるの?

編集部:
「なるほど、相談できるだけの具体的な準備が必要なのかと思っていたのですが、逆に整理されていない状態でいいんですね。では、実際にFPさんに相談する時の上手な相談方法や心構えみたいなものはありますか?」

森さん:
「私がご提案する際には、まずは相談内容をとにかくすべてお聞きします。とにかくしゃべっていただきます。その上で、入るお金、出るお金で何があるかをすべて聞きます。

そこで一旦私の方で持ち帰らせていただき、後日改めて課題、対策、取り組むべきことをご提案する、という流れです。

最初のご相談(※無料)では、『一番今日解決したい優先事項』を聞きますが、ケガに例えると、お客様が気付いていない場所から出血している、というケースもありえます。お話を聞くなかでそれがわかった場合は、そこの対処を最優先にすべき、など対処法をご提案させていただくので、まずはご安心してお話しいただければと思います。

また、弊社では初回相談は無料にしています。これは、まずはお互いのすり合わせを行う必要があるためです。相談者様側は「FPはこういうもの」という経験をし、FP側は相談内容に対応できるかを確認するための場が、初回相談なのです。相談金額を含めて双方で合意形成をとって初めて『ご依頼いただく』という形になりますので、ご安心ください。

住宅に限らずお金に関して何かモヤモヤを抱えていらっしゃる方は、まずはお気軽に初回相談を申し込んでみてください。流れについては、こちらのページで詳しく紹介しておりますので、合わせてご参考になさってください

参考:ご相談の流れ(Ever Side株式会社)

マンションジャーナル編集部のまとめ:「まずは話すことで解決への道が開ける」

森さんに今回お話を伺うなかで、お金の悩みはまずは解体・整理して、見通しをよくすることが大事だと痛感しました。一人や身内だけでは、なかなかお金にまつわることを棚卸しすると言われても、考えるだけでシンドイもの・・。だからこそ、伴走者や指導役としてFPがいるのですね。

ファイナンシャルプランナー(FP)の初回相談が無料なのは、両者間で合意形成するためであるというのも納得です。もしお金に関して解決したい課題をお持ち方は、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

ファイナンシャルプランナーに相談してみる

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株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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