二子玉川エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2024.01.12
二子玉川エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、二子玉川エリアをPICKUP。
多摩川沿いの水辺と緑地、「二子玉川ライズ」などショッピングスポットが同居する人気住宅地であるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る二子玉川エリア

最高価格:3億3900万円 最低価格:8300万円
平均価格帯:約9050万円
販売物件数:65
※2024年1月現在



↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は少ない。築10-20年が市場全体の34%を占める
👉築10-20年はタワーマンションが価格を押し上げ
👉平米数は60〜80㎡台の売り出しが多め
👉売出物件は小・中規模マンションが主軸

今回は、世田谷区の二子玉川エリアをピックアップ。世田谷区と神奈川県川崎市を隔てる多摩川沿いに位置する玉川と瀬田の2アドレスで見てみた。最寄駅は二子玉川駅(東急田園都市線・東急大井町線)、瀬田の一部は用賀駅(東急田園都市線)と上野毛駅(東急大井町線)が最寄り駅となる。
                                           
◾️この街の歴史・街並み・特色
「二子玉川」(ふたこたまがわ)とは二子玉川駅を中心とした周辺を指す俗称であり、地名はない。「ふたこ」「にこたま」など略称が使われることもある。本エリアでは、多摩川で採取された砂利を運搬することを目的に1907年に玉川電気鉄道(玉電)が開通。その後、玉川電気鉄道は1969年に廃止され、2000年に新玉川線と田園都市線が統合し、現在の二子玉川駅に至る。1954年に東急不動産株式会社によって遊園地である「二子玉川園」が開園し、当時は行楽地として発展した。二子玉川園は1985年に閉園し、跡地には1982年から始まった第一種市街地再開発事業により商業施設とタワーマンションで構成された「二子玉川ライズ」が2015年に竣工。また、1969年には日本初の郊外型デパートとして「玉川髙島屋S・C」が開業。商業地としての発展とともに洗練された住みやすい街として変貌を遂げた。二子玉川駅周辺はタワーマンション、駅から離れると閑静な住宅街となる。特に瀬田は第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域に定められた土地が多く占めていることから、戸建ての多い街並みになっている。よってマンションの売り出しは駅周辺と国道246号線沿い、環八通り沿いがメインになる。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件は少なめ。築10-20年が市場全体の34%を占めており、築30-40年の物件はほとんどない。物件面積は60〜80㎡台の売り出しが多く、30㎡以下のシングル向け物件の売り出しは少ない。築10-20年の平均価格が1.4億円超えと高い理由は、3つのタワーマンションと2つの低層マンションで構成される「二子玉川ライズタワー&レジデンス」が現時点での最高売り出し価格である110㎡超・3億超の物件をはじめ売出物件数の大部分を占めており、平均価格を押し上げているため。本エリアの売り出し物件は小・中規模マンションが主軸だ。築20-30年と築40-50年の物件は国道246号線の玉川通り周辺に集積しており、築20-30年は瀬田1丁目・2丁目に売り出しが多い。売出物件全体をアドレス別に見ると、それぞれ平均平米単価は玉川が162万円/㎡に対し、瀬田は99万円/㎡で瀬田の方が割安。これは玉川アドレスでは、先述の「二子玉川ライズタワー&レジデンス」が売り出し数を多く占めており、平米単価を高くしているためである。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
本エリアは、駅前商業施設を中心に街の開発が進められてきた。その端緒は、1969年に完成した日本初のショッピングセンター(郊外型デパート)「玉川高島屋S・C」である。この開業によって、二子玉川は高級ショッピングエリアとして人が集まる街になった。その後1987年に「二子玉川東地区再開発準備組合」が設立されて以降、東急電鉄株式会社と東急不動産株式会社により総面積約11.2haもの商・住・職エリア開発が行われてきた。2011年〜2015年の間に街区を分ける形で段階的に「二子玉川ライズ」が完成、2015年に30年近くにわたる二子玉川東地区市街地再開発事業は完了となった

再開発が完了した二子玉川エリアだが、新築マンションの供給は続いている。二子玉川駅から徒歩約4分の場所には、住友不動産による低層マンション「シティハウス二子玉川 ザ・グランド」が現在販売中であるほか、二子玉川駅徒歩2分の立地には野村不動産が「プラウド二子玉川」を建設予定(2024年2月販売開始予定)。また、気になる水害対策についても取り組みが進められている。世田谷区では、多摩川沿いに位置する用賀・二子玉川エリアにおける水害などの被害に対し地区の防災力向上を図るための「用賀・二子玉川地区防災計画」が策定されている。国土交通省では、多摩川流域における今後の治水対策として「多摩川緊急治水対策プロジェクト」を形成。国・都・県・市区等が連携し、堤防整備の取り組みが進んでいる。

◾️この街の住みやすさ
本エリアでは、二子玉川駅から田園都市線(各駅)を利用すれば、渋谷駅まで約15分、用賀駅(田園都市線)からは約13分と乗り換えなしでアクセスできる。東京駅や品川駅などのターミナル駅までも乗り換え1回で約30分前後で行くことができるため、都内への通勤はもちろん新幹線等での移動が多い人にも便利な立地だ。

当エリアには高品質なスーパーに百貨店、ブランドショップや個人店まで買い物施設が豊富に揃う。駅の西口と東口で異なるのも特徴だ。食料品の購入であれば、「東急ストアフードステーションミニ二子玉川駅構内店」「成城石井 二子玉川東急フードショー店」、24時まで営業している「二子玉川ライズ 東急ストア」がある。二子玉川駅の西口から徒歩4分の場所には百貨店の「玉川高島屋S.C」があり、地下1階には惣菜をはじめ食材が多彩に揃う「明治屋 玉川ストアー」もあるため日常の買い物からおもてなしまで幅広く対応可能。また、高島屋通りの向かいにはアウトドア店やカフェが入る商業施設「キュープラザ二子玉川」がある。高島屋の裏路地に入ると、京都風の街並みをイメージして設計された「柳小路」があり、モダンな飲食店やカフェが並ぶ。また、二子玉川駅の東口側は、商業施設・オフィス・マンションなどから構成される複合型商業タウン「二子玉川ライズ」に直結。「ライフスタイルを買う家電店」をコンセプトにした「二子玉川 蔦屋家電」など、近隣住民はもちろん遠方から人が訪れる旗艦店やブランドショップが多数入店している。オープンスペースではマルシェなどのイベントも開催され、特に休日は多くの人で賑わう。隣には二子玉川公園が隣接しているため、公園での散歩や子どもと遊びにきたついでに買い物、といった利用も可能だ。二子玉川駅から徒歩7分の場所には、昔ながらの「二子玉川商店街」も健在だ

二子玉川エリアに住む大きなメリットは、多摩川沿いの立地ならではの豊かな自然環境。広々とした芝生が広がり、緑豊かな環境で水遊びやピクニック、ランニングやスポーツを楽しんだりと、年代問わず幅広い過ごし方ができる環境が整備されている。二子玉川駅から徒歩9分、上野毛駅から徒歩8分の場所には遊具が設置された自然豊かな公園「二子玉川公園」があり、子どもは思う存分に身体を動かして遊ぶことができるうえ、大人の憩いの場所ともなっている。公園内には日本庭園の「帰真園」があり、日本の伝統文化様式に触れることもできる。二子玉川駅から徒歩約5分の場所には、多摩川と野川の河川敷を利用した「兵庫島公園」、二子玉川駅から徒歩6分の場所には、野球場とサッカーコートが備わった「二子玉川緑地」がある。

渋谷をはじめとする都内主要駅までの交通利便の良さに加えて、上質なショッピングエリアとして発展を続けてきた二子玉川エリアは、人気ブランド住宅地の一つとなった。自然環境がすぐそばにある贅沢さを享受できる立地だからこそ、今後水害を中心とした災害対策が街全体としていかに進められていくかは注視したい。また、物件ごとの防災対策や被災時へのリスクは購入検討時に要チェック。そしてもちろん本エリアに限らないが、自身や家族としての個々の備えは万全にしておきたい。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築6年のステージグランデ用賀アジールコートは2023年5月に113万円/㎡から下落傾向に転じ、2023年7月には111万円/㎡まで下落。2023年8月には112万円/㎡まで上昇したものの、2023年9月には110万円/㎡まで下落。その後2024年1月現在まで平米単価110万円/㎡台で維持しています。築13年の二子玉川ライズタワー&レジデンス タワーウエストは、2023年8月に184万円/㎡から2023年10月には170万円/㎡まで下落。2023年11月には188万円/㎡まで上昇。その後も上昇を続け、2024年1月現在は平米単価194万円/㎡台に。築53年のガーデンハウスは、2022年5月に87万円/㎡から2023年1月に77万円/㎡とゆるやかに下落。その後、2023年2月から2023年5月まで80万円/㎡台を維持。2023年6月は78万円/㎡、2023年10月には69万円/㎡まで下落。2023年12月は72万円/㎡、2024年1月現在は平米単価89万円/㎡台に。

👉 ステージグランデ用賀アジールコート(総戸数52、2017年竣工)
👉二子玉川ライズタワー&レジデンス タワーウエスト(総戸数283、2010年竣工)
👉 ガーデンハウス(総戸数119、1970年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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