池尻エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.07.06
池尻エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、池尻エリアをPICKUP。
渋谷駅から一駅でありながら落ち着いた住宅地が広がるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る池尻エリア

最高価格:1億6750万円 最低価格:790万円
平均価格帯:約5420万円
販売物件数:54
※2023年6月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は少なめ、市場の63%が築10-20年と築50-60年
👉築古がメインで、築30年前後の物件の価格差が大きい
👉20㎡台と50㎡台の物件がメイン

今回は、世田谷区の池尻エリアをピックアップ。西側の世田谷区と東側の目黒区にまたがる池尻大橋駅(田園都市線)を中心に、池尻1丁目〜4丁目のアドレスで見てみた。渋谷駅からは田園都市線で一駅。中目黒駅(東横線・日比谷線)まで自転車で約6分の距離だ。

「池尻」という名は、かつて目黒川沿いに大きな池があったことに由来するとされる。明治時代の中頃まで池尻周辺には、陸軍の兵営や練兵場が存在しており、その跡地は現在病院や公園、学校として利用されている。そのため東京都立駒場高等学校や筑波大学付属駒場中学校・高等学校、駒場東邦中学校・高等学校など教育機関も多いエリアとなっている。本エリアは、築10-20年と築50-60年の物件が多く、市場全体で63%を占める。また、築20〜30年を中央値として、その前後の価格差が大きい。これは、築20年以内の物件においては70㎡以上の億ションが平均価格を押し上げているため。また、築30〜40年・築50年以上の築古マンションに関しては、面積が20㎡台とシングル向けの物件が多い点も価格差の要因となっている。

池尻エリア周辺では、東急・東急電鉄が主体となった再開発案件が複数進行中だ。池尻大橋駅を含め、三軒茶屋駅・駒沢大学駅・桜新町駅・用賀駅の東急田園都市線地下区間5駅でリニューアルプロジェクト「Green UNDER GROUND」が進んでいる。「サステナブルな地下駅」を目指したプロジェクトで、駅内外の改装に加えてトイレの改修やバリアフリー化の整備、旅客トイレでベビーカーが入る個室が設置される予定だ。本プロジェクトの第一弾である駒沢大学駅のリニューアル工事が2021年7月30日から着工されており、第二弾の桜新町駅も現在工事が進んでいる。また、最寄駅から徒歩5分のところでは、築48年の施設「大橋会館」をフルリノベーションした新たな複合施設が今年の初夏に開業する予定。東急株式会社を事業主に池尻大橋エリアのクリエイターと協業して取り組まれているこのプロジェクトでは、カフェ・レストラン、バーに加えてプライベートサウナ、シェアオフィスやホテルが誕生する。元々渋谷に近い立地柄、クリエイティブな職種の人々が集うエリアであったが、その流れに新たな動きが生まれるかもしれない。

渋谷駅まで一駅という立地ながら、暮らしやすい住環境を得られるのがこのエリアの特徴。駅から徒歩1分のところには懐かしさと新しさが共存する池尻大橋商店街があり、日々の買い物や散歩コースとして楽しめるまた、池尻大橋駅から徒歩3分には品川と新宿を結ぶ首都高速大橋ジャンクションの屋上を緑化庭園にした目黒天空庭園徒歩10分には屋外プールやテニスコートなどのスポーツ施設が充実している世田谷公園があり、周辺には緑地も多い。公園ではフリーマーケットなどイベントも開催されており、大人も子どもも憩える公園として親しまれている。単身者からDINKs、ファミリーまで、都心の利便性やカルチャーなどに触れつつ、暮らしやすさも諦めたくない層に幅広く人気のあるエリアだ。物件数は多くないうえに築年数・広さともに大きな偏りがないため、自分の条件に合致する物件を探すのは簡単ではない。腰を据えて粘り強く売り出し情報をウォッチし続け、チャンスは確実に逃さない覚悟で臨みたい。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築16年のグレンパーク駒場WESTは、2021年から比較して2023年6月現在までに平米単価98万円/㎡から143万円/㎡まで上昇。築39年のグレイス池尻大橋は、2022年11月に平米単価69万円から2023年3月には59万円まで下降。その後、2023年5月に61万円まで上昇し、2023年6月現在は平米単価60万円/㎡台に。築52年のニュー池尻マンションは2022年2月から緩やかに上昇し、平米単価60万円台前半から後半までに伸長。2023年2月には72万円まで上がったものの、その後下落に転じ、2023年6月現在は平米単価66万円/㎡に落ち着いています。

👉グレンパーク駒場WEST(総戸数199、2007年竣工)
👉グレイス池尻大橋(総戸数48、1984年竣工)
👉ニュー池尻マンション(総戸数122、1971年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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