データで見る・東京で子育てしやすい区ランキング

2022.08.08
データで見る・東京で子育てしやすい区ランキング

お子様の将来を見据えてマンション購入を考える場合、出産や子育て、お子様の教育環境を重視する人も多いでしょう。

その際、環境要素の1つとして大きいのが、区の支援制度。東京23区の中でも、区の方針によって子育て環境に関わる条件や支援制度などは大きく異なります。

そこで本記事では東京23区の子育ておよび教育の環境について、
①子育て支援制度
②公園の充実度
③治安の良さ
3つの視点からそれぞれランキング形式でTOP5をご紹介。
後半には、総合得点から「子育てしやすい区ランキング」TOP5を発表します。
※記事内容は2022年6月時点のものです。最新情報は各自治体の公式サイト等でご確認ください。また、各区の施策について優劣を決めることを意図したものではございません。

👉 この記事ではこんな内容が読めます
子育て環境を左右する3つの指標別ランキング
①子育て支援制度ランキング
②公園の充実度ランキング
③治安の良さランキング
【トップ5】東京23区で子育てしやすい区ランキング
「区の中のどこに住むか」も重要!現地で確かめよう

子育て環境を左右する3つの指標別ランキング

①子育て支援制度

出産や子育てにかかる費用が少しでも補助されるのは、家計にとってありがたいもの。各区においてどのような支援制度が実施されているかは、エリアの検討時によく確かめておくといいでしょう。

ここでは、出産や子育てに際して区から給付される一時金、商品券、助成といった経済的な支援制度を集計して、金額でランキング化しました。

順位 支援金額 内容
1位 港区 ¥320,000 ・妊婦面接後の商品券(1万円分)
・出産費用の助成(最大助成額31万円)
2位 江戸川区 ¥195,500 ・妊婦面接後の区内共通商品券(9,500円分)
・ファーストバースデーサポート事業(最大3万円)
・乳児養育手当(ゼロ歳児)(月額:13,000円)
3位 千代田区 ¥105,000 ・誕生準備手当(45,000円)
・次世代育成手当(月額5,000円)
4位 渋谷区 ¥100,000 ・ハッピーマザー出産助成金
4位 練馬区 ¥100,000 ・第3子誕生祝金
5位 大田区 ¥90,000 ・妊婦面接後のこども商品券(1万円分)
・子育て世帯家電購入支援事業(2022年8月1日〜2023年1月16日)
・バースデーサポート事業

※単一年度の合計金額とする。

※区の独自対策のみに限る(国や東京都によるもの、特定範囲に適用されるものは含まない)。

※子供の人数など家庭条件によって額面が代わる制度の場合は、最高金額とする。

※多胎児(双子や三つ子など)に対する支援制度(タクシー代補助など)は含まない。


ここでは額面による比較を行いましたが、その他、育児グッズのプレゼントやソフト面の支援制度が充実している区もあります。ぜひご家庭の状況に合わせて比較検討してみてください。

また、東京都独自の支援制度も多くあります。2023年度より東京都では、高校生まで医療費が無料化される予定です(現在は中学生まで)。これまでは千代田区、北区、品川区など一部の区のみが先駆けて助成制度を用意している状況でしたが、今後は都内在住の子育て家庭にとって医療費負担が大きく変わることになりそうです。なお、厚生労働省の調査(20年4月1日現在)では、都道府県単位で高校生を医療費助成の対象としているのは、福島と茨城、静岡、鳥取の4県とされています。


首都圏など広くエリアを検討している方は、そうした視点でも育児環境をチェックしてみると良いでしょう。

参考:高校生等医療費助成制度(千代田区)
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/teate/kokose.html

②公園の充実度

お子様と親御さん、お子様同士が遊ぶ場所として公園が充実していることは子育てをするうえで大きなメリットです。

のびのび遊べてイベントが行われるような広い公園が居住区内にあれば、休日のお出かけや散歩が充実します。一方で、広さはなくても数が多ければ、それだけ子どもが遊べる場所が身近にあるということ。それぞれの側面を加味するため、区における公園の占める割合を「公園の充実度」として見てみましょう。

公園の充実度は、東京都建設局が公表している「公園調書」(2021年4月1日版)をもとに、区の総面積において都市公園(国営公園および地方公共団体が設置する公園および緑地)がどれくらいを占めるのかを元にランキング化しました。(※)

順位 主な公園
1位 台東区 ・上野恩賜公園
・隅田公園 など
2位 江戸川区 ・篠崎公園
・宇喜田公園 など
3位 足立区 ・舎人公園
・東綾瀬公園 など
4位 板橋区 ・赤塚公園
・浮間公園 など
5位 中央区 ・浜町公園
・佃公園 など

※区における都市公園の総面積を、各区の総面積で割って算出。

実際に住むことになる物件の近くにも公園があるのか、それはどんな公園か(遊具があるのか、庭園風の公園なのか、グラウンドなのかなど)によっても、生活環境は変わってきます。子育ての観点はもちろん、家族でどのようなライフスタイルを送りたいかを考えてみると、自分にふさわしい緑地環境のバランスが見えてくるでしょう。

③治安の良さ

子育てするうえで治安の良さは最も重要視すべき項目の一つです。安心して出産・育児をするためにも、治安の良し悪しは可能な限りチェックしておきましょう。

本記事では、警視庁が公表している「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」をもとに治安の良さを定量化しました。独自指標として「人口あたりの犯罪発生スコア」(※)を出し、ランキング。数値が少ないほど犯罪に遭遇する確率が低い、つまり治安が良い傾向にあると評価できます。

順位 人口あたりの犯罪発生スコア
1位 文京区 0.36%
2位 杉並区 0.37%
3位 練馬区 0.39%
4位 世田谷区 0.45%
5位 品川区 0.46%

※2021年度の犯罪発生総数を凶悪犯罪=5ポイント/件、それ以外の犯罪=1ポイント/件 として計算し、「犯罪発生ポイント指数」を算出。「犯罪発生ポイント指数」を人口(令和3年12月時点)で割った。

【トップ5】東京23区で子育てしやすい区ランキング

さて、ここまで ①子育て支援制度(金額)、②公園の充実度、③治安の良さ の3つの軸で見てきました。

最後に総合得点として、子育てしやすい区をランキング化してみました。ランキング化に当たっては、以下の方法で定量的に比較をしています。

  • 上記3つの各指標を23区で比較し、1位を23点、23位を1点として点数化
  • それぞれの区における各指標の点数を合計
  • 高い順に5区をピックアップ


その結果、映えある子育てしやすい区TOP5になったのがこちら!

順位 総合得点
1位 江戸川区 (59点/69点)
2位 練馬区 (52点/69点)
3位 足立区 (52点/69点)
4位 板橋区 (50点/69点)
5位 杉並区 (48点/69点)

それぞれ、何が高得点に繋がったのか。「子育てしやすい」評価のポイントについて、1区ずつ見ていきましょう。

【第1位】江戸川区(59点/69点)

江戸川区は、子育て支援制度が2位、公園の充実度が2位、治安の良さが9位、合計得点は59点でした。3つの指標のうち2つが2位にランクインするなど、高い「子育て環境力」が期待できる区です。

公園の充実度で2位となっただけあり、区の公式サイトには江戸川区内の公園・児童遊園が調べられる「えどがわマップ」が用意されています。「ジャブジャブ池」やレクリエーション施設のある公園など、ほしい条件でリサーチできるようになっており、休日のお出かけにも便利です。

葛西臨海・海浜公園のような大規模公園ばかりでなく、野球場やバーベキュー場などがある公園が豊富なのは、川に囲まれ緑地の多い江戸川区ならではです。

江戸川区 マップ
えどがわマップ
http://www.machi-info.jp/machikado/edogawa_city/index.jsp?lon=139.87158203125&lat=35.70361111111111&scale=10000&mode=2

また、子育て関連の支援金が手厚いのも特徴。0歳児をもつ家庭には「乳児養育手当」としてなんと月額13,000円が支払われます。
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e049/kosodate/kosodate/teateshien/youiku.html

金銭面ばかりでなく、ソフトサービスも大変充実しています。区から認定を受けた「保育ママ」が保護者に代わって赤ちゃんのお世話をしてくれる「保育ママ」制度や、1時間あたり500円から利用できて家事や育児の補助を依頼できる「えどがわママパパ応援隊」など、地域住民を巻き込んだ江戸川区の独自制度が豊富です。

困った時には区のホームページの子育て関連ページを覗いてみましょう。他の区と比較しても、その充実度やわかりやすさはピカイチです。

江戸川区 子育て応援サイト
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/kosodate/kosodate_ouen/index.html

【第2位】練馬区(52点/69点)

練馬区は、子育て支援制度が5位、公園の充実度が12位、治安の良さが3位、合計得点は52点でした。治安の良さが特に光っていますが、その他の要素も含めて安定したバランスで2位につけました。特に治安面に重きをおきながら、育児環境に対してバランスよく高い水準を求めたい人におすすめです。

練馬区の子育て関連の支援金を押し上げているのは、「第3子誕生祝金」。第3子以降の出生した児童1人につき10万円が支給されます。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/shussan/iwaikin.html

また、多胎児がいる世帯にはタクシーなどで使用できる「こども商品券」が1世帯あたり24,000円相当交付されます(他の区でも同様の仕組みを用意しているところもあります)。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/hoken/sukoyaka/tataijisetaiidouhiho.html

育児支援ヘルパーや乳幼児一時預かりなどの関連サービスに利用できる「子育てスタート応援券」、妊娠中に妊娠・子育て相談員と面談した妊婦さんには、妊娠・育児応援品(育児パッケージ)がプレゼントされるなど、ランキングの算出には含まれていない部分での支援策も。

区内のカフェで育児のプロに相談できたり保護者同士で交流できる「練馬こどもカフェ」、子育て中の親同士の交流・仲間作りの場として子どもたちがいない時間に学童クラブ室を開放する「にこにこ」など、子どもも親も孤立せずに繋がれるための活動が活発なのも練馬区の特徴。地域や個人に任されるのではなく、区が積極的に場づくりを行っています。

地域一体となって子育てを行いたいファミリーにおすすめです。

【第3位】足立区(52点/69点)

練馬区と同率2位となった足立区は、子育て支援制度が10位、公園の充実度が3位、治安の良さが7位、合計得点は52点でした。公園の充実度が23区内で3番目に高く、お子様と遊びに出かける際に近場で広い公園に行きやすいエリアといえそうです。

経済的な子育て応援として特徴的なのが、「ファーストバースデーサポート」。令和3年4月1日から始まった制度で、区内在住の1歳を迎えるお子さんがいるご家庭に、育児パッケージ(こども商品券)が配付されるもの。第1子の場合10,000円分、第2子の場合20,000円分、第3子以降の場合30,000円分・・と、お子さんの人数が多い家庭ほど嬉しい応援制度になっています。

ファーストバースデーサポート
https://www.city.adachi.tokyo.jp/hoken/firstbirthday.html

出産前後のサポート制度も揃えられています。出産予定日の6週間前から出産後3か月までの妊婦さんのいるご家庭に、食事の準備や洗濯などを行ってくれる家事支援ヘルパーを派遣する「産前・産後家事支援事業」。地域で一時的にお子さんを預かる「子ども預かり・送迎支援事業」や保育園・こども園を利用していない就学前のお子さんをもつ家庭の方が子育て相談などのサポートを無料で受けられる「あだちマイ保育園」、子育て経験者などのサポーターに育児の悩みを相談できる「きかせて子育て訪問事業」など・・ぜひ区のサイトで細かくチェックして活用するようにしましょう。

舎人公園駅には、23区で3番目に面積の広い舎人公園があります。公園内には、ガマやアシが自生する大池があり、カルガモなどの鳥類や魚、昆虫などが生息しています。ソリゲレンデや水遊びができる池などの遊び場に加えて、野球場やテニスコート、陸上競技場、キャンプ広場などの施設もあるため、幅広くレジャーを満喫できるでしょう。

親御さんの通勤利便性の側面としては、足立区には北千住駅や綾瀬駅、西新井駅といった主要駅があります。いずれも日比谷線や千代田線の停車駅であるため、大手町や銀座、六本木、日本橋エリアなど都心部への通勤や通学にも便利なエリアです。

【第4位】板橋区(50点/69点)

板橋区は、子育て支援制度が12位、公園の充実度が4位、治安の良さが6位、合計得点は50点でした。各指標でバランスよく上位につけた、総合的に「子育てしやすい」区といえます。

お子さんがいる家庭に嬉しい特徴的な公園としては、板橋こども動物園が挙げられます。ヤギやヒツジ、モルモットなどと触れ合えるほか、乗馬体験も可能。乗り物好きのお子さん向けには、板橋交通公園がおすすめ。バスなどの実物展示があったり、三輪車や自転車、ゴーカートを借りて乗ることもできます。自然に触れ合うのであれば赤塚植物園など、公園のバリエーションも豊富なので休日のお出かけ先選びにも助かります。

注目の公共施設として筆頭に挙げられるのが、中央図書館。板橋区平和公園内にある、緑に囲まれた居心地のよい図書館です。1階にはカフェが入り、館内にはテラス席やブース席など自習したりくつろいで本を読める席が多く設けられています。世界約100か国・70言語・3万冊の絵本の蔵書を誇る「いたばしボローニャ絵本館」など児童書も大変充実しており、子育て世帯はもちろん区民に人気のスポットです。

また子育て家庭には、育児支援ヘルパーや乳児ショートステイなど区内の育児・保育・子育てサービスに使える「すくすくカード」が配布されます。令和4年度には物価高騰に伴う生活支援の観点から、子育て世帯に対して区独自で「いたばし子育て支援臨時給付金」を支給(対象児童1人につき2万円)。支援サービスとしては一時的にお子さんを預けられる「乳児ショートステイ」事業(有料)のほか、イオンの店舗では保育マイスターによる「子育て出張相談」のほか、24時間365日気軽に電話相談できる「子どもなんでも相談」も整備。

オンライン相談ができたり、地域の子育てイベントの検索・予約ができる「いたばし子育て応援アプリ」も用意しています。

いたばし子育て情報ブック
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/606/r3book.pdf

【第5位】杉並区(48点/69点)

杉並区は、子育て支援制度が8位、公園の充実度が14位、治安の良さが2位、合計得点は48点でした。とりわけ治安の良さが光っており、穏やかな環境で伸び伸び育ってほしいと考える親御さんにはぴったりな区といえそうです。

杉並区には荻窪駅や西荻窪駅、高円寺駅、八幡山駅といった主要駅があります。中央線や丸ノ内線、京王線などの路線が通っており、新宿駅や東京駅といった主要駅に直通アクセスができます。

公園の充実度は上位層には入ってはいませんが、公園(都市公園)の数で見ると、23区中7位。善福寺川に沿って緑地整備されている緑豊かな和田堀公園のほか、杉並区にはお子様の教育のためにもなるユニークな公園があります。京王井の頭線「浜田山駅」徒歩12分の場所にある「杉並児童交通公園」は、交通教室や信号や標識、横断歩道など、交通ルールを学び、実践する場として優れた公園です。遊びながら交通ルールを習得することもできるという点は、一石二鳥で親御さんにも嬉しいでしょう。

お子さんの安全面としてはもちろんのこと、治安の良さは落ち着いた環境を好む人には一つの指標になります。都心部の賑やかさよりも、ゆったり過ごせる空気感を望むファミリーには馴染みやすい環境です。

「区の中のどこに住むか」も重要!現地で確かめよう

今回は、区ごとのサービス内容や環境を測る指数でランキング分けしてみました。ただ、公園や教育環境に関しては、区のどのエリアに住むのかによっても大きく変わります。駅や繁華街の近くなのか、公園が自宅の近くにあるかなど、「その区の中でどのエリアの・どの立地のマンションを選ぶか」もポイントです。

今回ご紹介したデータを一つの参考値としていただきながら、ぜひ現地に足を運ぶなどしてご自身で確認し、最終的な判断をするようにしましょう。

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マンションジャーナル編集部

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