中古マンション購入の必要経費と手続きの流れを把握しよう!

2022.10.07
中古マンション購入の必要経費と手続きの流れを把握しよう!

中古マンション購入は、物件本体の価格以外にも多くの支払いが発生します。
なかには、「現金以外NG」という項目も。契約直前になって「現金が足りない・・!」・・・これ、実はよくあるトラブルの一つです。

この記事では、そうしたトラブルを避けるために、物件購入のプロセスとステップごとに気を付けるべきことについて解説します。お話を伺うのは、マンション購入に必要な資金繰りについての専門家、GOGEN株式会社の和田浩明さんです。

和田浩明

和田浩明 プロフィール写真

GOGEN株式会社 代表取締役CEO
手付金ゼロ円で住宅購入ができるサービス「ゼロテ」を展開する、GOGEN株式会社 代表取締役CEO。いわば「住宅購入費用のプロ」。他にも不動産電子契約サービス「Release(レリーズ)」など、不動産売買のデジタル化を推進し、売買体験をより良いものとするべく躍進を続ける。
https://zerote.info/

まずは全体の流れを把握しよう

マンション購入の流れ
さっそく全体の流れと、各ステップで準備が必要な書類などについてお伝えしましょう。
まずは概要を掴んでいただき、後ほどステップについて解説します。

①物件探し・内覧

■住宅ローン事前審査の準備

  • 本人確認書類(運転免許証もしくはパスポート)
  • 健康保険証
  • 住宅ローン借入申込書(※)
  • 物件情報がわかる資料(物件販売チラシ、間取り図など)
  • 収入証明書類
    • 給与所得者(会社員・公務員)の場合:源泉徴収票(前年分)
    • 個人事業主の場合:確定申告書および付表の写し(直近3年分)
    • 法人代表者の場合:前3期分の決算報告書の写し


■(申込証拠金 ※新築マンションの場合に必要です)

どこでどの書類を手に入れればいいのか、まとめたのがこちらの表です。
それぞれの入手先にあたって、必要な書類を首尾よく用意していきましょう。

住宅ローン事前審査の必要書類

②購入申し込み

  • 買付証明書
  • 住宅ローン事前審査(前述)


③売買契約

  • 仲介手数料の半額
  • 手付金
  • 収入印紙
  • 印鑑(実印)
  • 本人確認書類


④ローン本審査

  • 本人確認書類(運転免許証もしくはパスポート)
  • 健康保険証
  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 住宅ローン借入申込書
  • 物件に関する書類
    • 売買契約書
    • 重要事項説明書
    • 間取図
    • 建築確認済証 など
  • 収入証明書類
    • 給与所得者(会社員・公務員)の場合:源泉徴収票(前年分)、住民税課税決定通知書または住民税課税証明書
    • 個人事業主の場合:確定申告書、納税証明書
    • 法人代表者の場合:決算報告書、納税証明書


事前審査の時以上に、書類の種類が増えますので、一つずつチェックして漏れなく揃えましょう。
どこでどの書類を手に入れればいいのか、まとめたのがこちらの表です。

住宅ローンの本審査の必要書類

⑤決済・引き渡し

  • 本人確認書類
  • 印鑑証明書
  • 物件価格の残金(物件価格から手付金を引いたもの)
  • 固定資産税、管理費、修繕積立金、都市計画税の清算金
  • 仲介手数料の半額
  • 司法書士費用
  • 登記費用
  • ローン保証料
  • ローン事務手数料
  • 火災保険料
  • (その他、引き渡し後にリフォームを行えばその料金など)



非常に多くの準備事項があることがわかるかと思います。
それでは、各ステップで行う事柄と、そこで気をつけるべきことについて詳しく見ていきましょう。

物件探し・内覧の注意点

家を探すカップルの画像
自分(たち)が新居に求める条件などを少しずつ整理しながら探す、もっともワクワクするタイミングです。ただ、油断は禁物。ここでどれだけ進めておけるかで希望の物件を手にできる確率が変わってきます。

中古マンションは近年人気が高まる一方で、物件数は少ないまま。人気エリアや好条件の物件は誰もが狙っているため、問い合わせたらもう買い手がついてた、ということも・・・。ライバルに遅れをとらないためには、ぜひ次のステップで必要となる「住宅ローン事前審査」の準備を進めておきましょう。

事前審査は、その物件を買うために自身が必要とする住宅ローン金額が借りられるかどうかを、金融機関に審査してもらうもの。つまり、事前審査が通っていれば、「私はこの物件を買えます」という証明を売主に示すことができるのです。購入申し込みは他の購入希望者と競ることも多いため、「いかに整った条件をいかに早く示せるか」が勝敗を分けます。

事前審査には購入予定物件の書類提出も必要なので、基本的には購入申し込みと同タイミングとなりますが、この時点で見つけた物件がかなり有望だと思われる場合は、内覧前にあらかじめ事前審査を先に実施しておくのも良いでしょう。

■プロからの一言アドバイス
事前審査を一度行っておけば、同価格帯の物件を探す目安にもなります。もちろん、築年数や立地などの条件により審査がおりる額が異なってくることに注意は必要!あくまで目安です。
事前審査に使う書類はだいたい同じ(上にある必要書類は要チェックです)なので、個人のクラウドストレージなどにまとめておくと提出もしやすくて便利ですよ。(和田さん)


購入申し込みの注意点

「希望通りの物件と出会えた!ここに住もう!」そう思えたら、間髪入れずに手続きに入りましょう。

やることは大きく2つ。買付証明書の提出と、前述の住宅ローン事前審査です。
買付証明書とは、売主に対して具体的な購入希望条件(購入希望価格、代金の支払い条件、引き渡し希望日など)を伝え、購入の意志を示すもの。

売主は、買付証明書によって交渉相手を絞り込みます。現金で購入意志を示した人がいた場合など、必ずしもそうとは言い切れませんが、基本的には「早いもの勝ち」。一番乗りで即座に申し込みをするというのは、売買交渉のテーブルにつくためには大変重要です。

価格交渉もこのタイミングで行いますが、過度な値引きや他に満額で購入意志を提示した希望者がいた場合は、買い負けてしまいます。どうしても手に入れたい物件である場合は、よく考えて買付証明書を書くようにしましょう。価格などの交渉条件で判断に迷った場合は、不動産営業担当者に相談してみましょう。数々の交渉の場と物件を見てきた経験から、どうするのがベストか助言をくれるはずです。

■プロからの一言アドバイス
買付証明書を提出する前に「この物件価格は適切なのか?」と迷われる方が多いと思います。物件の過去の推定価格や直近の周辺成約事例をインターネットなどで調べておけば、相場観を身に着けることができます。
買い付けないとなにも始まらないので、すぐに意思表明ができるよう、あらかじめ相場観の把握をしておいたり、普段から「どんな条件であれば・どんな物件であれば『買い』か」などを家族で話し合っておくことが大事です。(和田さん)


売買契約の注意点

手続きに必要な書類や印鑑の画像

交渉が成立し、無事にあなたが購入できることになりました。おめでとうございます!

とはいえ、ここからが本番ともいえるほど、契約から引き渡しは怒涛の勢いで手続きが進んでいきます。用意すべきものが山ほどあり、おまけにスケジュールが破綻すると購入できないどころか違約となってしまう可能性も・・。気を引きしめて、不動産営業担当とのコミュニケーションを密に行うことでサポートを受けて着実に進めていきましょう。
(売買契約は非常に複雑なので、注意点についてはこちらの記事をご覧ください >> 中古マンション購入の注意点【売買契約・決済・引き渡し編】

契約タイミングの手続きと用意すべきものの中でもとりわけトラブルになりやすいのが、「手付金」です。簡単にいえば、購入者が売主に対して購入への意思表示をするためのもの。何らかの理由で購入をやめたいとなった場合にも、買主はすでに支払った手付金を放棄することで解約が可能です。逆にいえば手付金があることで、売主は簡単に解約されてしまうのを防ぐことができます(ちなみに売主側からの解約も可能。その場合は売主が買主に対して手付金の2倍の金額を払います)。高額の買い物だけに、相互に契約を円滑にするための対策なのです。

けれども、この手付金が厄介なのは「現金で払う必要がある」点。相場金額は、売買価格の5~10%程度なので、5000万円の物件であればその額、最大500万円!

契約後のステップとなる住宅ローンの本審査を前に借入を起こしてしまうと審査にとってマイナスとなるため、この段階で手付金を借りることはできません。これだけの額面を契約日が近くなってから「現金で」必要と知り、直前に慌てるというケースが多くあります。

■プロからの一言アドバイス
ATMで現金を降ろす場合には、1日の上限金額が決まっていることがある点にも要注意です。直前になって慌ててATMに行っても、これだけの金額は一度には降ろせません。
手付金は、厳密には値引きやゼロにすることを交渉することも可能です。ただし、売主さんからすれば手付金を減額される・無しにされるというのは、キャンセルされるのでは?と不安をもつことになります。その結果、他に購入希望者がいた場合、交渉順位が下げられてしまうことも。
手付金がネックで、「まとまった貯金ができるまで・・」と購入を諦める人もいるくらいの厄介なものですが、解決策はあるのでここは後ほど紹介します(和田さん)


ローン本審査の注意点

無事に売買契約が終わりました。いよいよ住宅ローンの本審査です。事前審査に通っているから安心、とはいえません。本審査の通過に不安のある人は、提出前に不動産営業担当に相談し、対策を考えるようにしてください。契約書に記載された融資取得期日までに融資が受けられないと、最悪のケースでは違約解除となり違約金(売買価格の10〜20%)が発生してしまいます。本審査では、書類不備等が思わぬ事故が起こりやすいため、契約後1週間以内には本審査の申し込みが完了しているようにしましょう。

無事にローン本審査を通過したら、住宅ローンの契約。「金銭消費貸借契約」と「抵当権設定契約」がセットで行われ、「金銭消費貸借抵当権設定契約」とも呼ばれます。本人確認書類など、必要書類はこれまでと同様になりますが、合わせて収入印紙が必要となります。ここでの注意点は、「決済日から逆算したスケジュール」。契約日=借入金額が受け取れる日、ではないため、決済日ギリギリの契約だと決済当日に間に合わない可能性があります。少なくとも「決済日の10日前まで」には契約が完了しているようにしましょう。なお、平日の日中に2時間程度かかるケースが一般的です。「まったく予定が開けられない!」とならないように、あらかじめスケジュールについては意識しておきましょう。

■プロからの一言アドバイス
火災保険や引越し、新居の家具準備など、この時期は同時に進めるタスクが多いので、ご自身でやるべきことをリスト化するなど、しっかり整理して遅れがないように進めましょう。(和田さん)


決済・引き渡しの注意点

契約をする夫婦の画像
さあ、ここまで来ればもう新居での生活は直近です! いよいよ必要な金額を全て支払い、鍵を受け取ります。決済・引き渡しは同日に行われ、売主・買主(あなた)・売主側仲介会社・買主側仲介会社・司法書士、の5者が集まります。また、振り込みなど銀行の手続きが関わるため、「平日午前中」がマストです(司法書士がそのまま登記手続きを行います)。時間としては、1〜2時間程度を見込んでおきましょう。

このように、住宅購入に関わる手続きは平日に行われることが多くなります。期日の遅れは許されません。仕事を日中休む必要も出てくるため、スケジュールには注意しましょう。

***

さて、これでようやくゴールです!
ここまで来て、「こんなに書類が必要なのか・・」「そんなに平日に集まって契約する必要があるの?」など思われた方も多いかもしれません。しかもそのどれもが、避けられないもの。
悩む人の画像

和田さんも、「不動産業界はまだまだ慣習的な仕組みが多く残っている」と話します。

「私は、もっと気軽に不動産を売買できる世界にしていきたいと思っています。不動産業界には『XXじゃないから自分には購入する権利がない』と思ってしまう仕組みが多くあります。その一つが、手付金です。先に解説した通り、手付金は現金で用意する必要があります。数百万円をローンで借りることなく、現金で用意しなければならない。この状態のために、契約直前にトラブルになったり、手付金の金額が貯まるまで購入を諦める人が多くいます。貯金はあってもそのお金を手付金として回すために、結婚式や出産費用などと天秤にかける状況もよくある話です」(和田さん)


そうした状況を解決しようと和田さんが立ち上げたのが、『ゼロテ』。手付金0円、現金0円で不動産が買えるようにしたサービスで、利用手数料(15万円〜)を払うことで、現金数百万円を用意する必要がなくなります。

仕組みとしては、「ゼロテ」の運営元であるGOGEN株式会社が、売主に対し買主の解約金を連帯保証。万が一買主側の理由によって解約が発生した場合には、売主は「ゼロテ」より違約金を受領することができるため、解約時の金銭リスクを負わずに済むことになります。手付金は元々、売主と買主の間の解約リスクを減らすためのものなので、そこを「ゼロテ」が担うことで、手付金の心配がなくなるというわけです。


ゼロテ利用のシミュレーション

(引用:ゼロテの公式サイトより)


マンションは、今より快適な生活を得るために購入するもの。購入後に「買ってよかった!」と笑顔で新生活を送れるよう、まずは基本の流れを見ながら必要なコスト感を洗い出してみましょう。その際に、現金調達が難しい、となった場合は「ゼロテ」の利用も検討してみると、住宅購入を諦めずにすむかもしれません。

複雑なプロセスをすべて一度に覚える必要はありません。わからなくなったら、この記事を見返したり不動産のプロに相談するなどして、かしこく購入活動を進めてくださいね。あなたの住宅購入、その先の未来を応援しています!

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マンションジャーナル編集部

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