中古マンション購入者必読!湿気・カビ対策を徹底解説|マンションの選び方からリフォームまで

2023.06.28
中古マンション購入者必読!湿気・カビ対策を徹底解説|マンションの選び方からリフォームまで

戸建てに比べ、どうしてもカビの発生しやすいマンション。湿気が多くなる梅雨の季節は、とりわけ悩みも深刻になるもの。

本記事では、マンション室内で発生する「カビ」対策についてご紹介します。

前半では、カビが発生しやすい条件やリスクについて詳しく解説。後半では、カビが生えないようにするためのマンション選びや購入後に行いたい予防策、発生してしまったカビへの対処法まで、わかりやすく解説します。

(※本記事には一部プロモーションが含まれます)

なぜマンションは戸建てよりもカビに注意すべきなのか

マンションやアパートなどの集合住宅と戸建て、両方住んだ経験のある方の中には、マンションの湿気のこもりやすさや結露に驚いた方も多いでしょう。戸建て住宅よりもマンションの方がカビが発生しやすい理由として、この湿気のたまりやすさが挙げられます。

マンションは隣住戸とつながっているため、戸建てと比べて一住戸に対しての窓の設置場所が限られています。窓が少ないと空気の循環が悪くなり、湿気がたまってしまいます。

また、木造か鉄筋コンクリート造(RC造)か、建物の造りも湿気のたまりやすさを左右する要素の一つです。一戸建てに多い木造は、湿気を吸収し発散してくれる調湿効果が高いといわれます。反対に、マンションの構造として主に採用されている鉄筋コンクリート造(RC造)は、木造に比べての調湿効果が低くなります。

こうした理由によって、マンションは戸建てよりも家の中に湿気がこもりやすくなっているのです。そのため、戸建てよりも念入りなカビ対策が必要となります。

カビが発生しやすい条件


梅雨の時期に限らず、湿度が高い日本は一年を通してカビが発生しやすい環境下にあります。そうした風土から味噌や醤油など、カビを活用した食文化が発展してきました。

一方で、カビは人体への健康被害のほか、住宅や文化財等の資産にも悪影響を与えます。厚生労働省や国土交通省、文部科学省など、各領域で国レベルでのカビ対策が呼びかけられるほど国民的なリスク要因でもあるといえます。

参考:
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国土交通省)
「カビ対策マニュアル 実践編」(文部科学省)
「カビとカビ毒について」(東京都福祉保健局)


「カビ」が発生する条件として、「気温・湿度・カビのエサとなる栄養源」が大きく関係しています。具体的には以下条件が揃うと、カビが生えやすくなります。

・温度:20℃から35℃前後
・湿度:70%以上
・栄養源等:手アカなどによる汚れ、石けんのカス、壁紙及び壁紙のノリ、結露した水、加湿器の水等


出典:「健康・快適居住環境の指針」(東京都福祉保健局)

空気中にはカビの胞子が浮遊しており、室内温度がカビにとって最も快適である20〜35℃になると壁や天井に付着して繁殖しやすくなります。さらに、ホコリや汚れがたまるとカビの増殖が進み、カーテンや壁などに独特な匂いや黒っぽいシミが目立ちやすくなります。

カビが与えるリスク

カビは人間の体内や建物にも様々な悪影響を及ぼします。室内で生えたカビを体内に吸い込んでしまうとアレルギー性疾患などの病気を招く恐れがあるほか、建物の劣化にもつながります。

カビが人の健康に与えるリスク

カビが原因で発症するアレルギー性疾患などの健康被害としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

・アレルギー性鼻炎

人体に細菌やウイルスなどの異物が入ると、それらに対して対抗する免疫機能が働きます。その免疫機能が過敏に反応することによって起こる疾患が、アレルギー疾患(気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎など)と呼ばれるもの。特にアルテルナリア(ススカビ)というカビの胞子を吸い込むことで、スギ花粉と同様にアレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくの原因となります。

・アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、アレルギー性疾患の一つ。強いかゆみの伴う湿疹などが皮膚に表れます。発症要因は様々だとされており、その一つが呼吸によって体内に入ったカビの胞子だとされています。

・夏型過敏性肺炎

夏季によく見られる疾患で、家庭内に存在するトリコスポロンというカビが主要な要因となって起こるアレルギー疾患。夏型過敏性肺炎は、​日本で発生する過敏性肺臓炎の約70%を占めるとも言われている身近な病気です。症状は夏風邪と似ており、咳や息切れ、発熱などが一般的な症状として挙げられます。

・水虫(足白癬症)

水虫は、白癬菌(はくせんきん)という一種のカビに感染することで引き起こされる症状です。よく知られているのは足への感染ですが、そのほかの部位にも感染することがあります。かゆみが出て小さな水疱ができて皮が向けたり、乾燥して角質が厚く硬くなってひび割れたりと、症状は様々です。

・ シックハウス症候群

細菌・カビ・ダニ・花粉・化学物質など、空気中に浮遊しているハウスダストが原因で引き起こされる症状。鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹などの健康被害を総称して「シックハウス症候群」と呼びます。

そのほかにも、体質や免疫力が下がっているなどの状態によっては、ぜん息、カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール症、クリプトコッカス症など、カビによって引き起こされるとされる疾患には枚挙にいとまがありません。

参考:
「住宅に起因するアレルギー疾患」(東京都福祉保健局)
平成16年版厚生労働白書「現代生活に伴う健康問題の解決に向けて」(厚生労働省)
「アトピーの原因」(日本アトピー協会 )
「健康・快適居住環境の指針」(東京都福祉保健局)


カビが建物に与えるリスク

「カビ」は身体に被害を与えるだけでなく、建物全体にも悪影響を及ぼします。

・カビの繁殖による建物の劣化

カビが住宅に与えるリスクとして、建材の腐食やさびなどが挙げられます。また、これを放置すると、建物の耐久性や性能の低下が生じるだけでなく、家具や壁紙にも「シミ」などが発生してしまいます。また、カビの胞子が広がり、壁の表面だけでなく壁紙の裏側や下地などにも繁殖してしまう恐れも。一度深く根付いてしまったカビは建物の劣化につながり、大掛かりなリフォームが必要になる可能性もあります。

・害虫の発生

カビの繁殖は、ダニなどの害虫の活性化にもつながります。カビがダニのエサとなるためです。また、ダニやゴキブリなどの害虫が好む環境はカビが好む環境と条件が重なるため、カビが繁殖することは間接的に他の害虫が増えることにもつながりやすくなります。害虫が多い部屋は居住中の不快さに繋がるばかりでなく、退居や売却時にハンデとなる可能性があります。

カビが発生しづらい中古マンション選びのポイント

ここまで、カビが発生しやすくなる条件や、カビのリスクについて解説しました。ここからは予防策と、発生してしまった後の対処法について説明していきます。

  • カビが発生しづらい中古マンション選びのポイント
  • 購入後のマンションでできるカビ予防策
  • 購入後のマンションでカビが発生してしまった時の対処方法


まずは、家選びの段階で、「カビの発生しづらい物件を選ぶこと」。これが根本的にカビを発生させにくくさせる基本的な対策です。中古マンションの購入前に、内覧時には以下の3点をチェックしましょう。

【1】窓の数が多いか

窓の数がいくつあるかを内覧時にチェックしましょう。各部屋に窓が2カ所設置されているのが理想的です。特に湿気がこもりやすいお風呂やトイレ、キッチンでも窓があることで通気性が良くなり、換気がしやすくなります。窓をより多く設けることができる角部屋であればベターです。

【2】3階以上の部屋か

同じ物件でも2階や1階などの低層階は上階と比べて地面に近いため、多湿になりやすい傾向があります。低層階の部屋だとカビの発生率が高くなってしまいます。湿気をできるだけ防ぎたいという方は、3階以上の物件を選ぶと良いでしょう。

【3】日当たりが良い部屋か

部屋の日当たりの良し悪しも湿気の高さに影響してきます。南向きで日当たりの良い部屋は、窓から差し込む日光が湿気を乾燥させるため、カビの発生を抑制する効果があります。マンションを選ぶ際には、周囲の建物によって視界が遮られていないか、日中に住戸内に十分に日が入るか確認するようにしましょう。時間帯によっても変わってくるため、時間を変えて見に行ってみたり、売主がまだ居住中である中古マンションの場合は、日当たりについて売主さんに直接尋ねてみても良いでしょう。

購入後のマンションでできるカビ予防策

マンションですぐに実践できるカビ予防策を4つに分けて詳しく解説していきます。

【1】定期的に換気する

健康・快適居住環境の指針では、湿度を40%〜60%に保つことが推奨されています。そのため、室内の湿度を保つためには定期的な換気が欠かせません。外出する前や帰宅後に、約20〜30分間窓を開けて室内の換気を行う習慣を取り入れると良いでしょう。花粉が気になる方は、空気清浄機を置くといった工夫もできます。効果的な換気方法として、2カ所以上に窓を開け、1時間に1回、1回あたり5〜10分程度を目安に換気するのがおすすめです。押入れとクローゼットは一日に1時間ぐらい扉を開き、扇風機の風などをあてて空気を入れ替えるようにしましょう。

【2】家具のまわりに隙間をつくる

家具を設置する際には、壁から5〜10cm程度のスペースを空けるようにしましょう。家具を壁に密着させると、十分な空気の循環が妨げられ、カビが発生しやすくなるからです。また、スノコを使って家具と床の間に隙間をつくると空気の循環が良くなり、湿気を逃してくれるためさらに効果的です。

【3】エアコンの除湿モードを使う

文字通り湿気を取り除いてくれるエアコンの除湿機能は、湿気対策の中でも手軽にできます。雨が降っている時や花粉、外気汚染が気になる場合は、除湿モードを使うと良いでしょう。

【4】湿気対策アイテムを使う

室内の換気をする意外にも、市販で売っている便利グッズを活用することで、さらに湿気・カビ対策効果がアップします。ここでは、湿気・カビ対策におすすめな便利グッズを5つ紹介します。

・スノコ

家具と床の間、布団の下にスノコを置くと空気の循環がしやすく通気性を良くしてくれます。湿気や熱をマットレスにこもりにくくしてくれるため、防カビ効果があります。

・珪藻土アイテム

珪藻土は、珪藻(ケイソウ)という名の植物プランクトンの殻が化石となり積み重なったものを指します。湿気を吸収して放出してくれるほか、消臭効果があるため気になる匂いも吸収してくれます。キッチン・バスルームで使えるバスマットや水切りバスケット、コースターなど、様々な商品が売り出されているため、カビ対策にはうってつけのアイテムです。

・トタンボックス

トタンボックスは、トタンという素材で作られた収納ボックスです。トタンは昔は米びつに使われていた素材で、水を吸わないのが特徴。食品レトルトや乾物などの保管に適しており、無印良品ニトリなどの雑貨店で購入することができます。

・調湿機能のある壁材「エコカラット」のDIYキット

中古物件のリフォームで近年人気のある内容壁材が「エコカラット」。調湿(湿度が高い時には湿気を吸収し、乾燥している時は湿気を放出する)機能や脱臭機能があり、高級感も出るとして、既存の壁材に替えてエコカラットを貼るリフォームを取り入れる人が増えています。その調湿効果は珪藻土の約6倍、調湿壁紙の25倍以上にもなるというデータも。(※メーカー調べ)

このエコカラットを、自分で手軽に取付けできるDIYキットが、「エコカラットセルフ」です。リフォーム会社・施工会社に依頼せずとも簡単に自分でリビングや廊下などに取り付けが可能。通常のエコカラットは職人が接着剤で壁に張る形になるため、綺麗にできる分あとで取り換えができない点が難点ですが、「エコカラットセルフ」はマグネット仕様なので取外しも簡単。エコカラットの導入を迷っている方は、一度このDIYキットで試してみてから、本格的に壁全面でのリフォームを検討する・・というのも一案です。

購入後のマンションでカビが発生してしまった時の対処方法

一度生えてしまったカビは、目にみえる状態で除去ができても菌が完全に除去されない限り、同じ場所に生えてしまいます。マンションでカビが発生してしまった際に自分でできるカビ掃除方法と注意点、そして除去が困難になった際の対処法を3つに分けてご紹介します。

自分でできるカビ取り掃除

室内に生えたカビを自分で掃除するときは、天井から床へと順番に掃除しましょう。カビ取りに必要な道具と手順は以下の通りです。

【カビ取りに必要な道具】

  • 消毒用エタノールスプレー
  • 塩素系漂白剤(カビキラーなど)
  • マスク、ゴム手袋
  • 雑巾、布


【カビ取りの手順】

  1. カビ取り剤の効果を高めるため、カビを除去したい部分の水分を拭き取る
  2. カビが生えている部分に塩素系漂白剤をかけて、30分程度放置する
  3. カビをふき取った後、雑巾や布を使って消毒用エタノールをスプレーして拭き取る
  4. 水拭きして換気する


【カビ取りをする際の注意点】

カビ掃除をする前に、事前に換気をしてから行いましょう。また、塩素系漂白剤を使用する際に、色や柄付きの壁紙など素材によっては変色してしまう可能性もあります。そのため、目立たないところで掃除を試して薬剤を使用しても問題ないかどうかを確認するようにしましょう。一方、和紙や布など、水を吸収しやすい素材は、自宅でのカビ取りは難しい場合があります。そのような時は、専門業者に相談してみることをおすすめします。

自分でカビを除去できない場合はクリーニング業者へ

カビ掃除をしてもカビが思ったより深刻で手に負えなくなってしまった場合は、カビ取り専門のクリーニング業者に依頼することを検討しましょう。カビが広範囲に広がっており、壁紙の裏側や下地にまで浸食している場合、表面のカビ取りだけでは再発を繰り返してしまいます。

カビが原因として疑われる症状やお悩みをすでに抱えている方は、部分的な対策だけでは解決しない場合もあります。水回りのみのクリーニングでお得なセットプランを提供している会社もあるので、一度丸っとクリーニングをお願いしてみましょう。エアコンや浴室など特定の気になる部分がある方は、そこだけプロにお願いしてみても良いでしょう。

たとえばお得な「水回り大掃除セット」を提供しているクリーニング会社の一つ、【ユアマイスター】であれば、水回り3点セット(換気扇・キッチン・お風呂)が33,000円。エアコン大掃除2点セット(エアコン・お風呂)が19,700円。湿気がピークになる夏前・夏場は、クリーニング各社がリーズナブルなキャンペーン価格を提供しています。このタイミングで家の中を一掃しておき、先に紹介した「自分でできるカビ予防策」を徹底するようにすれば、冬場の結露シーズンにも備えることができるはずです。
(※2023年6月末時点でのキャンペーン価格です)

参考:

さらに重症な場合は部分リフォームでカビを防ぐ


クリーニングでも手に負えないほどカビの繁殖が重症である場合、部分的なリフォームを行うことを検討しましょう。部分リフォームをすることでカビが繁殖しにくい環境を確保できるだけでなく、掃除の手間を最小限に抑えることもできます。ここでは、カビ対策に適した部分リフォームをいくつかご紹介します。

【1】調湿機能を持つ壁材を選ぶ

壁材の調湿機能は、湿度が高いときは湿気を吸収し、湿度が低下すると湿気を放出する仕組みになっています。調湿機能によって空気中の湿度を適切に調整し、カビの発生を抑制することができます。

【2】断熱材をより断熱性の高いものに変更する

主に冬場に起こりやすい室内での結露の発生は、カビの繁殖に繋がります。結露は、水蒸気を多く含んだ空気が冷やされ、「飽和水蒸気量」を超えた余分な水蒸気が水に変わったもの。室内で過度な気温差があったり、湿度が高い状態であると発生しやすくなります。そのため、断熱材の性能を上げることで住まいの断熱性を高め、室内に気温差がおこりづらい状態にすれば、結露を防ぐことができます。

【3】 二重窓を設置して湿気を防ぐ

二重窓とは、部屋の内側にもう一枚窓を配置して窓を二重にすること。外側と内側の窓の間に空気層ができ、結露を抑制してくれる効果があります。さらに、窓が二重になっているため防音効果や断熱効果も同時に高めてくれるメリットもあります。

【4】カビが生えにくい浴室・水回りに変更する

カビが最も生えやすい場所の一つが、浴室。住宅設備メーカー各社が、カビが生えにくい設計の床材、扉などの仕様をリリースしているので、そうした設備仕様を取り入れてみるのも良いでしょう。日々のメンテナンスがぐっと楽になります。

たとえば、水回り専業メーカー「タカラスタンダード」は、1912年に創業されたホーロー工業のパイオニア。湿気に強く、カビを寄せ付けないホーロー素材の壁や浴槽をはじめ、手入れがしやすい最新の浴室設備を提供しています。リフォームを検討する際には、実際の仕様を見て触って確認できるショールームを全国展開しているので、足を運んでみるのが良いでしょう。実物で質感や使い勝手などを確認すれば、リフォーム後のイメージが湧きやすくなるはず。気になる部分があれば、アドバイザーに聞いて解決しておきましょう。

参考:

先述したように、カビの繁殖は健康と建物の両方に悪影響を与えてしまいます。マンションは一戸建ての住宅と比べて湿気がこもりやすいため、日頃からのカビ対策が不可欠です。

ご自宅に合わせた湿気・カビ対策をしっかり行い、自分や家族の健康、また家本体もカビの被害から守りましょう!

株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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