金町エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”
いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。
今回は、金町エリアをPICKUP。
大学キャンパスや大規模マンションの再開発で住みやすい街にアップデートが進むこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。
データで見る金町エリア
最高価格:9850万円 最低価格:600万円
平均価格帯:約3533万円
販売物件数:77
※2023年11月現在
↑ 平均価格と売出戸数
↑ 平均価格と平均平米単価
このエリアを一言で
👉売出物件数は少なめ、築10-20年と築30-50年がメイン
👉物件面積は40〜70㎡台を中心に売り出しが多い
👉築10-20年は大規模マンションが価格を押し上げ
今回は、葛飾区の金町エリアをピックアップ。東京都の東端に位置し、江戸川を介して千葉県松戸市に接する。金町駅(JR常磐線)を挟んで南北に広がる金町と東金町の2アドレスで見てみた。金町駅のほか京成金町駅(京成金町線)が最寄り駅となる。
◾️この街の歴史・街並み・特色
金町エリアは、江戸時代には、江戸と現在の茨城県や東北地方を結ぶ水戸街道の関所であった。駅南側の再開発によってできた、大規模タワーマンション「ヴィナシス金町タワーレジデンス」と一体化した複合施設「ヴィナシス金町」(2009年)を皮切りに、大正時代に開業し2003年に閉鎖した「三菱製紙 中川工場」の跡地には葛飾にいじゅくみらい公園と東京大学葛飾キャンパスが2013年に誕生。野村不動産のタワーマンション「プラウドタワー金町」(2021年)や住友不動産による「シティタワー金町」(2015年)「シティテラス金町」(2021年)など大手ディベロッパーによる大規模マンションが続々完成し、今も新たなマンション建設が進行中。水辺や緑が近い住宅街として、大きく変貌を遂げたエリアだ。
◾️中古マンションの売り出し状況
大規模な新築マンション建設が進み供給数が増えた本エリアだが、売出物件数はさほど多くない。築10-20年が市場全体の約34%、築30-50年の物件が約50%を占める。平米数は、40〜70㎡台のDINKs・ファミリーに適した物件が中心に揃う。シングル向け物件は少ない。築10-20年の平均価格が約5371万円と高めであるのは、この築年数レンジの売出物件の大部分を占める「プラウドシティ金町ガーデン」(総戸数421戸)と「ヴィナシス金町タワーレジデンス」(総戸数476戸)の大規模マンション2棟が平均価格を押し上げているため。特にヴィナシス金町タワーレジデンスは平米単価92.5万円と、その他の物件と比較して30万円/㎡ほどの価格差がある(プラウドシティ金町ガーデンの平米単価は74.6万円)。本エリアの調査時点での売出物件をアドレス別に見ると、駅南側の金町アドレスの方が売り出しが多く、東金町アドレスには築30-40年の物件が多い。平均平米単価は東金町アドレスの方が高いが(金町が60万円/㎡、東金町は65万円/㎡)、これは2022年築の「プレミスト金町」や前述の「プラウドシティ金町ガーデン」が底上げしているため。
◾️今後の発展の見込み、再開発予定
当エリアでは、行政・地域住民・団体・事業者等が参加しての街づくりの策定が進められている。2017年に策定された「金町駅北口周辺地区まちづくりヴィジョン」に基づき、理科大通りや北口駅前広場の歩行者空間整備、混雑解消に向けたまちづくりの取り組みが進められてきた。現在は、さらに刷新された「金町駅周辺地区まちづくりプラン」を元にまちづくりが継続されている。東金町1丁目付近では三菱地所株式会社・三菱地所レジデンス株式会社・三井不動産レジデンシャル株式会社の3社が推進する再開発「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業」が進行中で、2段階に分けて工事が進められる予定だ。第1期は屋上には自動車教習所コースを設けた地上5階建の複合施設、第2期は地上40階建のタワーマンションと商業施設が計画されている。第1期は2022年着工・2025年竣工、第2期は2026年着工・2030年7月竣工予定だ。また、東京理科大学葛飾キャンパスでは学生の増加を見込み、葛飾第二期用地新校舎が2025年に完成予定で工事が進む。
◾️この街の住みやすさ
JR常磐線と京成金町線の2路線が利用できる本エリアでは、金町駅から東京メトロ千代田線直通のJR常磐線を利用すれば大手町駅まで約25分、東京駅まで山手線経由で約30分でアクセスできる。京成金町線を利用すれば、京成成田スカイアクセス線経由で成田空港まで約1時間とアクセスできるため、出張が多い方や空港まで通勤する方向けにも便利だ。駅周辺の生活利便施設も豊富。金町駅から徒歩4分の場所には「まいばすけっと 東金町3丁目店」、徒歩約1分の場所には24時間営業の「マルエツ 金町店」があり、仕事で帰りが遅くなった日でも安心して買い物ができる。金町駅の北口を出てすぐの場所には「東急ストア 金町店」があり、飲食店やダイソーも揃うため日用品の買い出しに重宝する。金町駅の南口には複合施設の「ベルトーレ金町商店会」がある。ショッピング施設・飲食店や、子どもから大人まで活動・体験できる施設「カナマチぶらっと」があり、区民たちが利用しやすい施設も揃う。京成金町駅から徒歩約2分の場所には、「まいばすけっと 京成金町店」があり、スーパーの使い分けができる。また、水辺が近い金町エリアは、緑地も豊富。水郷の景観をもった23区で最も広い公園「水元公園」があり、四季折々の草花が楽しめる。遊具やドッグラン、バーベキュー場も備わっており、緑広い公園で休日のアウトドアが楽しめる場所があるのはファミリーにとっても嬉しい。さらに、「水元公園ふれあいフェスティバル」や音楽祭の「水元公園WAKATEフェスタ」など多彩なイベントも行われているため、家族一緒に楽しめる。また、金町駅から徒歩約10分のところには、東京理科大学葛飾キャンパスを囲む「葛飾にいじゅくみらい公園」があり、多目的広場やテニスコートなどスポーツ施設もあるため、子どもから大人までが自然と触れ合いながら運動ができる。
千葉方面や都心の主要駅まで近く、成田空港までアクセスしやすい交通利便の良さ、駅周辺に揃った買い物施設、自然豊かで敷地面積の大きい公園がすぐそばにあるなど、のびのびとした住環境を求めるファミリーにとって過ごしやすい場所だ。23区内では物件価格が比較的リーズナブルであるほか、駅周辺のまちづくりの取り組みや新たなタワーマンションの再開発も控えていることから、暮らしやすい街として今後も継続的な需要が期待できる。都心の主要駅まで出やすく、買い物施設や自然も兼ね備えた街に住みたい・・という方におすすめなエリアだ。
エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移
現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。
築14年のプラウドシティ金町ガーデンは、2021年11月に82万円/㎡から2021年12月には72万円/㎡まで下落。2023年1月まで71万円〜74万円/㎡台の間で維持、その後緩やかに上昇し2023年3月には77万円/㎡に。2023年11月現在は平米単価74万円/㎡台で推移しています。築14年の ヴィナシス金町タワーレジデンスは、2022年3月に89万円/㎡から2022年8月に83万円/㎡まで下落。2022年9月の84万円/㎡以降上昇傾向に転じ、2022年11月には93万円/㎡まで上昇。2023年3月から2023年6月まで89万円/㎡〜90万円/㎡台の間で維持。2023年9月には再び94万円/㎡まで上昇し、2023年11月現在は平米単価92万円/㎡台に。築47年の東建金町マンションは、2021年7月時点の46万円/㎡から2022年1月には40万円/㎡まで下落。2022年8月には49万円/㎡まで上昇し、その後も40万円/㎡台を維持しながら緩やかに下落、2023年11月は平米単価42万円/㎡台で推移しています。
👉 プラウドシティ金町ガーデン(総戸数421、2009年竣工)
👉ヴィナシス金町タワーレジデンス(総戸数476、2009年竣工)
👉東建金町マンション(総戸数394、1976年竣工)
気になるあのエリアの最新市況データを見る方法
連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。
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マンションジャーナル編集部
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