芝浦エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.09.07
芝浦エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、芝浦エリアをPICKUP。
レインボーブリッジを望むタワーマンション群が水辺に立ち並び、今も再開発で変革を続けるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る芝浦エリア

最高価格:3億3000円 最低価格:1280万円
平均価格帯:約8220万円
販売物件数:138
※2023年8月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は多め、築20年前後での価格差が大きい
👉築20年以下は平均価格が1億円超、70〜90㎡のファミリー物件が多め
👉築40-50年は30〜50㎡台の物件が多め

今回は、港区の芝浦エリアをピックアップ。東京湾の東側に位置する芝浦1丁目〜4丁目のアドレスで見てみた。芝浦1丁目〜2丁目は三田駅(都営浅草線・都営三田線)、3丁目〜4丁目は田町駅(JR山手線・京浜東北線)が最寄駅となる。また、芝浦1丁目は日の出駅(ゆりかもめ)、芝浦2丁目は芝浦ふ頭駅(ゆりかもめ)も利用できる。

◾️この街の歴史・街並み・特色
芝浦エリアは、江戸時代に漁村として繁栄。芝浦の地名にちなんで名付けられた「芝海老」など、江戸前の海産物で人気の観光エリアでもあった。明治時代に入り、1909年には田町駅が開業。大型船が入港できるように東京港を掘削した際の土砂を利用して埋め立てられた。これが現在の芝浦の地になる。その後、東芝(旧・東京芝浦電気)本社などをはじめ工場や倉庫が立ち並ぶ工業エリアとして発展。1990年代からは住宅地として大規模再開発が行われ、三井不動産株式会社など民間事業者8社による「芝浦アイランド」(2007年)が誕生。4区画にそれぞれ高層マンションが建てられ、芝浦は高級湾岸タワマンエリアとして大きく変貌を遂げた。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は多めで、築年数は大きく2つに分かれる。築20年以下の物件が市場全体の52%、築40-50年の物件も約40%。間の築20-40年の物件はほとんどない。築20年以下は100㎡以上の3億円を超える超億ション物件を頂点として、70〜80㎡台の物件が多く売り出されており、億物件を除いても9000万円を超える高価格帯エリアとなっている。築20-30年は20㎡台のシングル向け、築40-50年は30〜50㎡台の物件を中心に売り出しが多い。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
本エリアでは、東京都羽田空港の玄関口である浜松町駅周辺で大規模再開発が進行中だ。具体的には「浜松町駅西口再開発」と、「芝浦プロジェクト」の2つの再開発が進んでいる。「浜松町駅西口再開発」は、世界貿易センタービルディングと東京モノレール浜松町駅の建て替え事業だ。地上46階建の世界貿易センタービルディング本館を中心に、国際コンベンションホール・MICE センターの整備や訪日外国人向けの宿泊施設、「観光プレ体験施設」などが2027年に完成予定。「東京モノレール浜松町駅舎」2029年竣工を目指して建て替えが進められている。「芝浦プロジェクト」は、野村不動産株式会社とJR東日本株式会社が共同で手掛ける大規模再開発。S棟(43階)とN棟(45階)からなるツインタワーが2030年までに完成する見込みだ。オフィス・ホテル・商業施設・住宅で構成され、低階層には飲食店や商業施設、子育て支援施設が入る。S棟の上層階には日本初進出となるラグジュアリーホテルブランドによる「フェアモント 東京」が2025年に開業予定だ。また、上記2つの再開発と合わせて「浜松町駅エリアの整備計画」も進んでいる。浜松町駅の北口・南口では、線路を跨いだ自由通路などが2024〜2026年にかけて順次完成予定。浜松町駅東側では竹芝・汐留方面と芝浦方面をつなぐ歩行者専用道路が整備され、中央改札前はJR山手線・京浜東北線、東京モノレール、都営地下鉄、バスターミナル、タクシーの各交通機関とのスムーズな乗換ができるように広場として一体整備される。これまで以上に国際的ビジネス拠点として、交通要所として発展していくことは間違いない。

◾️この街の住みやすさ
同エリアの強みはやはり交通利便性。山手線を使えば田町駅から品川駅・新宿駅・渋谷駅・東京駅などの都内主要駅まで直通、芝浦ふ頭駅(ゆりかもめ線)から新橋駅までも約8分程度でアクセスできる。羽田空港までを結ぶ浜松町駅からは約15分、三田駅から京急線直通の都営浅草線を利用すれば約20分と乗り換えなしでアクセスできるため、出張が頻繁にある方もスムーズに空港まで行くことができる。田町駅の芝浦口(東口)を出ると高層マンションオフィスビルや並んでおり、歩いてすぐあるところには地上32階建の商業施設「むすぶたまち (msb Tamachi)」がある。低階層にはレストランや惣菜・生鮮食品が充実したスーパーのLIFE、ドラッグストアのマツモトキヨシやくまざわ書店が揃っており、日用品の買い出しに重宝できる。建物の隣には、フランス系のホテルチェーン「プルマン(Pullman)東京田町」がある。田町駅からなぎさ通りに向かって進むと飲食店やカフェが並んでおり、気軽に外食できるのも嬉しい。田町駅から徒歩6分の場所には広々とした芝生に遊具などが備わった「芝浦公園」があり、子どもたちも存分に遊べる。海が身近なエリアなので、レインボーブリッジなどの風景はもちろん、水辺を散歩したりランニングすることもできる。前述のように駅周辺の交通整備や国際企業の誘致や海外からのビジネス滞在を見込んだ大型再開発により、街はさらなる飛躍の時を迎えている。すべてができあがるまでにはまだ数年かかるため、長期的に住む・保有することを見越した購入を考える人におすすめだ。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築2年のブランズタワー芝浦は、2023年4月の218万円/㎡から2023年6月には234万円/㎡まで到達。2023年7月に220万円/㎡台まで下落したが、2023年8月現在は平米単価233万円/㎡に戻っている。築17年の芝浦アイランド グローヴタワーも全体的には上昇傾向。2022年9月の138万円/㎡から2023年5月には153万円/㎡台に到達。その後もわずかに下降しながらも2023年8月現在平米単価151万円/㎡と150万円台を維持しています。築41年のグランドメゾン田町は、基本的には横ばい。2022年10月から2023年3月まで80万円/㎡台で維持。2023年4月には105万円/㎡まで上昇し、2023年8月現在はやや下がり平米単価99万円/㎡に。

👉ブランズタワー芝浦(総戸数482、2021年竣工)
👉芝浦アイランド グローヴタワー(総戸数833、2006年竣工)
👉グランドメゾン田町(総戸数189、1982年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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