免震、制振、耐震の違いとは?タワーマンションの耐震性や地震対策を徹底解説!
2016.02.05
眺望の良さや高級感もあり人気のタワーマンション、高層マンション。しかし一方では、地震対策も気になります。よく、耐震、免震、制振という言葉を聞きますが、これらは地震対策としてどのような意味があるのでしょうか。中古マンションでも地震対策は大丈夫なのでしょうか。今回は高層マンションやタワーマンションにおける地震対策について解説します。
監修者:針山昌幸
高層マンションの地震対策って?何がどう違うの?
東日本大震災以降、マンションの耐震性を重視する人が増えました。マンションの広告などにも、制振タワーマンションや、免震マンション、免震構造、制振構造などという言葉が良く出てきます。どれも似たような言葉なので、何がどう違うのか混乱してきてしまいますよね。一度これらの言葉を整理してみましょう。まず、高層マンションでは、3つの構造が地震対策としてとられています。- 耐震構造
- 制振構造(制震構造)
- 免震構造
耐震構造:揺れますが、倒れにくい
耐震構造とは、建物を支える柱や梁などの構造物を、太く頑丈なものすることで、建物を支え、大きな地震の揺れにも耐える構造にしたものです。地震が大きくなると揺れも大きくなり、壁や家具などへのダメージは避けられませんが、新耐震基準が適用された比較的新しいマンションでは、震度6強の大型地震でも倒壊しないように設計されています。制振構造:高層マンションでも揺れにくい
制振構造とは、建物内の骨組みの部分に、地震のエネルギーを吸収する、ばねやゴムなどのダンパー(ショックアブソーバー)等の構造を組み込むことによって、建物が受ける地震の揺れや衝撃を緩和する方式です。制振構造を導入すると、建物の揺れを和らげることができるため、安全性が高まるだけでなく、地震によって壁にヒビが入ったり、タイルがはがれ落ちたりといった、外壁の損傷も少なくなります。また、室内でも家具が移動して衝突する、背の高い家具が倒れるなどの被害も少なくなります。制震構造のタワーマンションとしては、有明エリアの人気マンション「ブリリア有明スカイタワー」などがあります。免震構造:地震のゆれを建物に伝えない
地震対策にはもう一つ、免震構造というものがあります。免震構造とは、建物の下にゴムと鋼板でできた免震装置(アイソレーター)と動きを抑えるダンパーを設置し、地震の揺れを装置に吸収させることで、建物に揺れが伝わりにくくなるようにした構造のことです。免震はタワーマンションの高層階であっても、耐震構造や制震構造よりも揺れ自体を吸収する分、揺れが少なくなるのです。週刊誌の記事などで「免震は風が強い日に揺れを感じる」という記事を見かけることがありますが、ダンパーによって動きを抑制されているため、実際には人間が察知できるほどの揺れは発生しません。構造上、制震より揺れやすい(揺れることによってエネルギーを逃す)という構造になっていますが、台風のたびに建物が揺れるということはないのです。また免震構造の場合、耐震構造に比べて、工事費はかかります。概算で5〜8%程度工事費自体は上がると言われていますが、地震があった際の修復工事は免震の方が一般のマンションよりも安く済みますので、トータル収支で見るとお得と言えるかもしれません。世界で最も古い制震装置はオーストラリアのメルボルン橋に設置されているもので、1800年代の後半に設置されており、未だに現役です。日本のタワーマンションに設置されている免震ゴムは、マンション躯体と同じ程度の期間はメンテナンスが不要とされます。免震構造が適用されているマンションの場合、地震保険は最大50%安くなるようになっています。地震の被害に対して支払う保険の料金が安いのですから、それだけ保険会社が免震構造の安全性を認めているということです。免震構造のタワーマンションとしては、湾岸エリアのタワーマンション「ザ・トヨスタワー」「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」「グローバルフロントタワー」などがあります。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?耐震構造、制震構造、免震構造の違いは?
耐震構造、制震構造、免震構造の違いを簡単にまとめると、- 耐震構造は、建物の設計や骨組みを地震の揺れに耐えうるようにした構造
- 制震構造は、地震の揺れを吸収して和らげる構造
- 免震構造は、建物と地盤を切り離すことで地震の影響を受けないようにする構造
新しいマンションと古いマンションではどうなの?
新しいマンションと古いマンションでは、大きな地震に対する対策に、何か違いはあるのでしょうか。建物の地震に対する対策として、国が定める建築基準法は、大地震が起こるたびに、時代に沿って改正されてきました。そのため新しいマンションほど、厳しい耐震基準をクリアして建てられている建物であると言えます。そう言われると、現在築年数の経ったマンションに住んでいたり、制震構造や免震構造でない中古マンションを買おうとする時などには、そのマンションが大きな地震に耐えられる構造なのかどうかが気になる点だと思います。中古マンションでも、大地震に対して十分に耐えられる構造のものは多くあります。その見分け方として一つの基準となるのが、「耐震基準」です。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?1981年の建築基準法改正が鍵
建築基準法における、耐震基準改正の歴史には、一つの大きな区切りがあります。それは、1981年の「新耐震設計法」の制定です。1981年の新耐震基準では、以下のような耐震性が定義されました。- 比較的よく起きる中程度の地震に対し、軽度なひび割れ程度
- まれに起きる大地震に対し、崩壊・倒壊しない程度
まとめ
物件を購入する時は、やはり耐震性は気になるところだと思います。ただ一般的に、マンションの場合、そもそもが支持層と呼ばれる固い地盤まで杭が打ってあり、戸建に比べるとはるかに耐震性が高いと言えます。戸建の場合は、一つの家あたりにかけられるコストが決まっており、地盤がゆるい場合であってもなかなか地盤改良ができません。マンションの場合は、地震や液状化によって建物が傾くのを、杭を打つことで防いでいるのです。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
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