低層マンションのメリット・デメリットとは?戸建とマンションの良いトコ取りなの?

2016.02.29
低層マンションのメリット・デメリットとは?戸建とマンションの良いトコ取りなの?
住宅を購入するなら、あなたは戸建て派、それともマンション派?それぞれにメリットとデメリットがあって、どちらにしようかと悩む方も多いでしょう。一戸建ての住環境のイメージは、緑豊かで閑静な住宅街。一方マンションはというと、駅近で商業施設が隣接する便利な住環境といったところでしょうか。どちらに魅力を感じるか、それは個々のライフスタイルや価値観によって違いますよね。とはいえ、どちらも捨てがたい、なんて思っている方も少なくないでしょう。そこで、両方の良さを持った低層マンションを選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

低層マンションとは

低層マンションとは、通常は3階以下のマンションのことを言います。低層マンションが建設されるエリアは、第一種・第二種低層住居専用地域と呼ばれます。この用途地域では外壁の後退距離、絶対高さ制限など厳しい制限があるので、高い建物は建てられません。また低層住居専用地域には建築物に制限があるため、工場や大規模な商業施設は建設できません。それに建ぺい率は60%が最高なので、敷地ギリギリに建物を建築できません。それ故、必然的に建物の周りにゆとりができるので、緑豊かで閑静な住環境が得られるというわけです。周辺の環境は一戸建て、住空間はマンションという住宅を手にできるということです。

低層マンションのメリットとは

低層マンションの魅力は、以下のメリットを享受できるという点です。
  1. 戸建と比較して税金が安い
  2. 災害時にも安心
  3. 閑静な住宅街
  4. 良質なコミュニティが形成される
  5. 間取りが使いやすい
  6. 生活導線が快適
  7. 一定の需要が常にある

1.固定資産税が戸建よりも安い

パークマンション南麻布土地の価格が高い地域は、固定資産税も高額になります。しかし、マンションは集合住宅ですから戸数あたりの土地の持分が少ないので、土地に課せられる固定資産税を大幅に削減できるというわけです。建物の固定資産税は経過年数に応じて減価されていきますが、土地は別。土地の場合は路線価を基準にして「課税標準額」が決まるので、路線価が下落しない限り税額が減価されることはありません。固定資産税は、不動産を所有している間は払い続けなければなりません。高級住宅地に住みながら、土地にかかる固定資産税の心配をしなくて済むというのは大きなメリットといえますね。それに相続税も土地の持分が戸建と比較して少ないので、一戸建てに比してかなりお安くなります。

2.災害時に安心

いくら低層とはいえ、今時エレベーターのないマンションなんてありません。でも、停電や機械の故障でエレベーターが止まってしまっても、低層マンションなら階段を使ったところでそれほど苦にはならないでしょう。しかし、タワーマンションのエレベーターが止まったら、高層階の住戸は大変なことになりますね。大地震や火災の際に高層階から避難するのは、さぞかし大変でしょう。低層マンションなら大地震が起きても比較的避難は容易ですし、火災が起きても建物の周りにゆとりがあるのでリスクが低い。それに住宅地ですから、避難場所の公園や緑地も近場にあります。その意味では、地震などの災害に強いと言えますね。

3.閑静な住環境

低層住居専用地域では、建てられる建物に制限があります。基本的に商業施設はNGですから、パチンコ店や風俗店が入るような雑居ビル、工場などが建てられることはありません。なので、不特定多数の人が入り込むことが少なく、閑静な住環境が保証されるわけですね。それによって、セキュリティ面も比較的安心ということになります。空き地に隣接していたとしても、高い建物や賑やかな商業施設ができて環境が一変するという心配はありません。周辺環境が大きく変化することなく快適な住環境が保たれるということは、同時に資産価値も保たれるわけです。また、低層マンションは意外と日当たりが良いという点があります。マンション周辺は、住居系エリアなので低層の戸建て住宅が並ぶため、3階以上のお部屋になってくると、日差しや視界がひらけてきます。5階、6階となると戸建て住宅は視界にかからなくなってくるため、低層でも日当たりや眺望が良いというメリットがあります。

4.良好なコミニティを形成しやすい

タワーマンションや商業地域にある大規模マンションの場合、間取りが様々で住人の属性や価値観が違うケースが多くコミュニケーションが取りづらいという側面があります。しかし低層マンションの場合は比較的小規模なケースが多く、住人の数が少ないうえに似たような価値観の人が集まる傾向があります。ですので、住人同士が顔見知りになり良好なコミュニティが形成される環境が自然に生まれることになります。その結果、住人同士のトラブル発生のリスクが少なくなり、快適に暮らせるわけですね。それが不審者の侵入を妨げることにもなり、セキュリティの強化にもつながります。

5.間取りが使いやすい

多くの場合、低層マンションでは壁式構造を採用しています。この構造は梁や柱が出っ張らないので、室内はすっきりして家具などのレイアウトがしやすくなります。高層マンションのような免震や制振は採用せず、一般的な耐震制なので壁式構造が適しているということもあります。壁式構造の欠点は、壁で建物の強度を担保しているため、間取り変更に制約があること。そのためか、低層マンションは永住型のプランで設計されることが多いようです。なので、低層マンションを選択する人は、長く住み続けることを想定して購入する傾向が強くなります。

6.生活導線が快適

低層マンションの大きな特徴として、生活動線が快適という点が大きなポイントです。高層マンションでは、朝の通勤通学の時間帯はエレーベータが混み合い、1階に移動するまでに時間がかかってしまうというデメリットがあります。

特に各フロアにゴミステーションがないマンションでは、ゴミを持って乗ると臭いが篭るため、トラブルに発展するといったこともあります。

基本的にエレベータが必須となる動きをする高層マンションと異なり、エレベータと階段を利用して移動ができる低層マンションは生活がしやすくなります。そしてゴミ捨て場も歩いて行けるため、エレベータ内にゴミの臭いが残らないといったメリットもあります。

7.一定の需要が常にある

マンションを開発販売するディベロッパーは、人気のエリアで高く大きなマンションを建てたいと考えます。そのため制限によって販売戸数が絞られてしまう低層マンションよりも高層マンションを建てようとするため、低層マンションは高層マンションよりも希少性があるマンションとなります。特に住宅街として人気の高い世田谷区などでは、築年数が大きく経過したマンションでも購入希望者が多くいるといった売却のしやすさがあります。このように、資産価値という観点から見ても低層マンションを購入するメリットは大きそうです。

低層マンションのデメリットとは

低層マンションのデメリットとしては、閑静な住宅街であるがために
  • 「駅まで距離がある」
  • 「近隣に商業施設がない」
という点が代表的なものとして挙げられます。また、戸数が少ないということは、必然的に戸数あたりの管理費や修繕積立金の負担率も高くなります。大規模なマンションの場合、多くの住民で管理費や修繕積立金を割り勘することができるので、一人一人の負担は減ります。

まとめ

一戸建てに比べれば割安ですが、マンションという観点では低層マンションは割高になります。そして、住戸数が少ないので管理費も割高。それを承知で購入するわけですから、投資物件として考える人はまずいません。ということは、余程の事情がない限り賃貸することはないので、住人の流動性が低くなります。住人の入れ替わりが殆どないということは、良好なコミュニティが保たれている環境といえます。静かな環境でゆったりと暮らすことに価値を見出す人にとって、良好なコミュニティは大きな魅力でしょう。建物に対して愛着を持つ人が増えるということは管理組合の合意形成がしやすいということでもありますから、大規模修繕などがしやすく、資産性も保ちやすくなるということです。住まいの何に価値を見出すかは、人それぞれ。高級住宅地の一戸建てと比べれば割安でも、一般的な大規模マンションと比べたら物件価格や管理費は割高になります。何と比べるかで、価格的な評価も変わってきます。価値観によって低層マンションのメリットは、そのままデメリットになるかもしれません。しかし、高級住宅街の暮らしに価値を見出す人にとって、低層マンションは魅力的な存在であることは間違いないでしょう。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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