【意外と知らない!】タワーマンションの構造に隠された秘密とは

2017.01.26
【意外と知らない!】タワーマンションの構造に隠された秘密とは
タワーマンションと言えばなんといっても、高層階からの眺望が魅力ですよね。昼は地上の喧騒をよそに、まるで空中に浮かんでいるかのような開放感を味わい、夜は広いリビングやバルコニーから都会の夜景を楽しむ。これぞタワマンの醍醐味!一度は味わってみたいものです。タワーマンションとひと括りで言いますが、あの広い空間と眺望を確保するために、さまざまな工夫がなされているのをご存知でしょうか?今回はタワーマンションの形と住戸設計の関係について解説したいと思います。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

ポイントは1階あたりの面積と外周の長さ

1階あたりの面積が広く住戸を囲む外周が長いほうが、開口部の広いバランスのとれた住戸を設計することができます。開口部つまり窓を広くとることは、眺望のよさをさらに活かすことでもあります。

タワーマンションの形

富久クロスコンフォートタワータワーマンションにはいろいろな形がありますが、あれはデザイン性だけの問題ではないのです。ちゃんと理由があってあの形なのです。代表的なものをいくつかご紹介します。

スクエア型

建物の真ん中にエレベーターや階段を配置、その周囲に内廊下、されらにその周りに住戸が配置されたタイプです。 スクエア型はタワーマンションの基本形といえるものです。内廊下はハイクラスマンションの定番ですね。ホテルライクでかっこいいですし、セキュリティの面でも安心です。スクエア型のデメリットは、ある程度の広さの間口を確保しようとすると、住戸の数が限られてしまうところです。間口の幅を狭めて住戸数を増やせば、細長い形でちょっとパランスの悪い部屋になってしまいます。

ボイド型

スクエア型の外周の長さを延ばせない欠点を、中心に吹き抜けを設けることでカバーしたタイプです。こうすることで各階の住戸数を増やすことが可能になります。吹き抜けにすると、外廊下になってしまうのがデメリットですが、吹き抜けと廊下の間を壁やはめ込みのガラス窓にして内廊下を実現しているタイプもあります。吹き抜けの幅の分、建物は太くどっしりとした外観になります。

トライスター型

勝どきザ・タワー_外観トライスター型は真上から見ると中心から3方向に建物が延びる、星もしくはY字のようなかたちです。この形にすることで外周を長く取れますから、住戸数を増やすことが可能になります。短所は形の特長により、日照時間が午前中のみ、午後のみと分かれる住戸が増えることと、何れかの方向に延びた建物に眺望が一部さえぎられてしまうことです。この3つの形のほかに板状型、三角形型、五角形型、A字型、円形型などがあります。

アウトフレーム工法で室内空間を広く、窓を高く

従来のマンションに多く採用されているラーメン構造は梁や柱の出っ張り部分を室内側に出す構造です。ラーメン構造はリフォームやリノベーションでの間取り変更を用意にしますが、出っ張った部分がデットスペースになるのがどうしてもネックです。そこで考案されたのが、アウトフレーム工法です。梁や柱を室内から外に出すことで、室内空間を広くすることが可能になります。アウトフレーム工法には順梁アウトフレーム構造(アウトポール)と逆梁アウトフレーム構造の2種類があります。

順梁アウトフレーム構造(アウトポール)とは

柱と梁をリビング内ではなく、バルコニー側に押し出したものです。梁は下がったままですので、窓の高さが低くなる欠点があります。外観は梁がリビングとバルコニーの間にあるため横のラインは細く、スッキリした印象です。

逆梁アウトフレーム構造とは

柱と梁の位置を順梁アウトフレーム構造よりさらに外、バルコニーの外縁に設置したものです。加えて梁を天井側に張り出させ、窓を高くとることを可能にしました。外観はバルコニーの外縁に柱と梁があり、がっちりとしたラインが描かれ、力強い印象です。タワーマンションではアウトフレーム工法を採用することで、部屋の形を整え、使用できる空間を広げ、ゆとりあるものにしました。逆梁アウトフレーム構造では特にサッシ高を高くとり、より開放感のある眺望を実現しています。バルコニー側に柱と梁が出ることで、バルコニーが狭くなってしまうのがデメリットです。

ダイレクトスカイビューで眺望を最大限に

シティタワーズ豊洲ザツイン_ロビーダイレクトスカイビューとはリビングの外側にバルコニーを設けずに、全面をガラス張りの窓にしてしまうのです。 リビングの窓は開けられませんが、極めて開放的な眺望を得ることができます。窓が開けられないので、室内気温の調整をエアコンのみに頼ることになるのがデメリットです。

まとめ

タワーマンションといえば、まずはその高さに圧倒されますが、形状も工法もいろいろな種類があって面白いものなのですね。海外ではCLT(クロス・ラミネテッド・ティンバー)という、新しい技術により強度を増した集成板を使用した高層マンションが建築されているそうです。ビルと言えば鉄・コンクリートの塊のイメージがありますが、いまや木材を使用することで環境に配慮した高層ビルを造ることが可能な時代になっているのですね。木造高層ビルの登場で殺伐とした都会の風景が、ガラッと変わるなんてことも近々あるかもしれませんよ。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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