【住宅購入の資金計画に役立つ】教育費の計算パターンを徹底解説!

2017.06.30
【住宅購入の資金計画に役立つ】教育費の計算パターンを徹底解説!
教育費、老後の資金、そして住宅購入は人生の3大出費と言われています。特に住宅は間違いなく人生で一番高価なお買い物とも言えますから、相当なお金が一度に動きます。ご結婚をきっかけに住宅購入を検討し始める方が多いことを考えると、三大出費の中で一番早く向き合う必要が出てくるのが住宅購入という方も多いのではないでしょうか?難しいのが、住宅購入を独立して考えることはできないということです。つまり、三大出費の中の他の教育費と老後資金とのバランスを考慮した上である程度逆算して住宅購入を考える必要があります。中でも、教育費に関してはしっかりと計画が必要です。もちろん公立と私立でかなり費用は変わりますし、「そもそも大学や大学院にいくのか?」など、様々なパターンがありえるからです。そこで本記事では様々な教育費のパターンを概算してみました。ぜひ、これから住宅購入をお考えの方の資金計画の立案のお役に立てればと思います。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

教育費の参考例

では幼稚園から高校まで教育費にいくらかかるのかご紹介しましょう。幼稚園から高校まで私学や公立様々な選択肢があります。だいたいいくらかかるのか理解した上でお子さんの進学を慎重に決めたいものです。

1-A:公立幼稚園の場合

公立幼稚園とは各自治体が運営する幼稚園です。その為どこの地域にもあるわけではありません。年間15万円の保育料がかかると言われています。また公立幼稚園のほとんどが年中からの2年保育が主流になっているようです。各自治体によって費用は異なる物の、だいたいの相場をご紹介したいと思います。
  • 入園料;8000円
  • 毎月の保育料:12000円(1年間を12ヶ月でわっているので夏休みも支払いがあります)
その他入園児には制服や、鞄購入が発生します。また給食やバスの費用などが他にかかってきます。→公立幼稚園の参考費用:15万円×2年=30万円

1-B:私立幼稚園の場合

私立幼稚園は、学校法人により運営されている施設です。先ほどの公立幼稚園と比べると保育費用は2倍程度になると言われています。(ただ、学校法人が運営しているので、地域によっても費用は様々です。)実際には、公立幼稚園の2.5倍の37万円年間費用としてかかると言われています。ただし2015年の子ども子育て支援新制度のおかげで、利用者の負担額が減っているところも出てきているので、各幼稚園ごとに費用は様々と考えた方がいいでしょう。入園料その他に関しても各園によって様々ですが、5万円~30万円が相場となります。また制服やスモック、体操着など購入品も多いので初期費用もかかります。備品購入だけでも35000円はかかることでしょう。→私立幼稚園の参考費用:37万円×3年=111万円

2-A:公立小学校の場合

公立小学校に進学した場合、もちろん入学金や授業料はかかりませんよね。入学前に揃える物と言えば、ランドセルです。ほとんどが5万円前後の商品です。早めに購入すると、早割得点で安く購入できる場合があります。月々の給食費は、4000円程度になっており、2ヶ月に1回程度集金袋が配られ細かな備品購入の徴収があります。制服もないことから、初期費用はランドセルのみですが、定期的にえのぐ水着・習字道具などの備品購入を促されます。→公立小学校の参考費用;55000円×6年間=33万円

2-B私立小学校の場合

私立小学校に進学した場合、学費は学校により様々です。ただ私立小学校の場合、入学するまでにもかなりの費用がかかります。人気の私立小学校に合格するためには幼稚園の時から幼児教室に通うケースが多いようです。お勉強だけではなく、絵画教室や体操教室にも通うケースもあり月に1万円~数十万円までとかなりの幅があります。また入学試験を受けるための受験料は2万円~3万円と大学受験並みの費用がかかります。その後見事合格した場合、初年度の費用には入学金・制服代・施設費など20万円以上の費用がかかります。年間授業料としては、30万円~となっています。→私立小学校の参考費用;80万円×6年間=480万円

2-C:国立小学校の場合

では公立・私立とご紹介したところで、国立小学校の費用についてご紹介したいと思います。国立小学校は、優秀な生徒が多い中学費が安いので、人気が落ちることはありません。倍率も10倍以上のところばかりです。そして実際費用がいくらかかるのかわかりづらい部分があるので、ご紹介したいと思います。国立小学校の受験料も6000円程度になっています。入学金はありません。ただし、初年度に関しては寄付金が発生します。その時の世の中の情勢により金額は前後するそうです。相場としては20万円~30万円です。初期費用としては制服代、ランドセルなどで10万円程度かかりますが、その後は公立小学校よりも費用がかかりません。何故なら教材費などは全て国から支給されるのです。入学してしまえば、公立小学校よりもかからないと言われています。→国立小学校の参考費用;3万円×6年間=18万円

3-A:公立中学校の場合

公立中学校の場合学費はかかりません。入学時に制服購入や教材の購入がありますが公立小学校と年間費用はほとんど変わりません。ただ公立中学校の場合、高校受験を控えていますので学校以外の費用が高額になってきます。塾代を考えると年間50万円程度の費用がかかると言われています。→公立中学校の参考費用:7万×3年=21万円(学校以外の費用含まず。塾にいくならば年間50万円加算。)

3-B:私立中学校の場合

私立中学校に進学した場合、学費は学校により様々となります。ただ私立中学校の場合、入学するまでにもかなりの費用がかかります。人気の学校に合格するためには平均で4年生の時から塾に通うケースが多いようです。月に1万円~数十万円までとかなりの幅があります。また入学試験を受けるための受験料は2万円~3万円と大学受験並みの費用がかかります。その後見事合格した場合には、初年度の費用として入学金・制服代・施設費など20万円以上の費用がかかります。年間授業料としては、30万円~となっています。→私立中学校の参考費用;80万円×3年間=240万円

4-A:公立高校の場合(県立・都立)

公立高校の場合学費はかかりません。入学時に制服購入や教材の購入があるものの公立小学校・中学校と年間費用はほとんど変わりません。高校が無償化になったおかげで、家庭の教育費の軽減は大幅にされました。→公立高校の参考費用;70000×3年=21万円(塾などの学校以外の費用含まず)

4-B:私立高校の場合

私立高校に進学した場合、学費は学校により様々です。ただ私立高校の場合、入学するまでにもかなりの費用がかかります。また進学校の場合には大学受験を視野に入れて、塾に通うケースがほとんどです。月に1万円~数十万円までとかなりの幅があります。初年度の費用には入学金・制服代・施設費など20万円以上の費用がかかります。年間授業料としては、30万円~となっています。→私立高校の参考費用;80万円×3年間=240万円

それぞれを組み合わせる

上記の全てを組み合わせていくと、幼稚園から高校までの教育費を算出することが出来ます。例えば、全て私立で通った場合には、15年間で1311万円かかります。全て公立で通った場合には、15年間で105万円。これだけ見ると、私立学校はかなりの高額な投資と考えられます。

大学に行くという選択

2002年以降、約半数の人が短期大学を含む大学に進学するようになりました。徐々に大学進学率は上がっており、これから生まれる子ども達の時代には今以上に大学進学率は高くなるのかもしれません。以下、大学に行った場合の子どもの教育費についてご紹介したいと思います。

国立大学の文系に進学し、実家暮らしの場合

国立大学と行っても、完全に無料というわけではありません。入学金には30万円程度の費用がかかります。また学費は年間50万円程度かかるのです。ただ実家から通うのであれば家賃は発生しないので、お小遣いは自分でアルバイトをして稼げるようになっていることでしょう。→参考費用;50万円×4年間=200万円

国立大学の理系に通い、実家暮らしの場合

国立大学の場合は文系と理系の授業料に差はありません。その為年間費用は上記と同じになります。→参考費用;50万円×4年間=200万円

国立大学の文系に通い、一人暮らしの場合

国立大学の授業料がわかったところで、一人暮らしの場合を見てみたいと思います。学生が住むアパートの相場として東京都内であればだいたい6万円以下が多いようです。光熱費などは自分でなんとかしても、家賃と学費は親持ちというパターンが多いでしょう。授業料の50万円+年間家賃72万円が費用としてかかります。→参考費用;(50万円+72万円)×4年間=488万円

国立大学の理系に通い、一人暮らしの場合

上記同様理系も変わらないので同額の費用とみていいでしょう。授業料の50万円+年間家賃72万円が費用→参考費用;(50万円+72万円)×4年間=488万円

私立大学の文系に通い実家暮らし

では私大について見ていきたいと思います。入学金に関しては国立大と大差はありません。だいたい30万円程度と思っていて良いでしょう。年間の学費は75万円程度と言われています。国立と比べると1.5倍程度です。それでも実家暮らしであれば家賃がかからないので費用は授業料のみです。参考費用;75万円×4年=300万円

私立大学の理系に通い実家暮らし

私大の文系と理系は授業料が変わります。理系は研究費なども加算でくるめた授業料が高くなる傾向にあります。年間の学費は105万円程度と言われています。国立と比べると2倍程度です。ちなみに私立の医歯系は入学金100万円。年間授業料300万円です。もう桁外れですよね。→参考費用;105万円×4年=420万円

私立大学の文系に通い一人暮らし

先ほど紹介したように私大の文系の授業料は75万円です。それに一人暮らしの費用を足すと年間72万円プラスされることになるのです。→参考費用;(75万円+72万円)×4年=588万円

私立大学の理系に通い一人暮らし

このシュミレーションで一番高額になるのがこのケースです。私大の理系の一人暮らしのケースが高額になります。私立理系の授業料が105万円。それに1人暮らしの家賃が72万円になります。→参考費用;(105万円+72万円)×4年=708万円大学になっても子どもへの教育費負担は減ることはないのです。大学生になる時が一番お金がかかる場合が多そうですね。

全て私立に通わせる

順番に金額を見ていくと、教育費には莫大な費用がかかると見て取れます。それでも現在共働きが増えたせいもあり、子どもにお金をかける家庭が増えたのも事実です。幼稚園受験から始まり、小学校受験。先日ドラマにもなっていた中学受験まで世の子ども達は定期的にお受験の文字がついて回ります。お受験する場合には事前に通う幼児教室や、塾代という物が授業料以外にかかってくるのです。ではすべて私立に通った場合の費用を捻出したいと思います。私立幼稚園+私立小学校+私立中学校+私立高校+私立理系大学+実家暮らし111万円+480万円+240万円+240万円+420万円=1491万円全て私学に通うと子ども1人につき1500万円の費用がかかります。お子さんが何人かいらっしゃる場合には、お子さんの数だけ金額も増えてきます。これはあくまで教育費(授業料)のみの算出になりますので、習い事の費用はまた別途かかることでしょう。

奨学金という考え方

上記の教育費用を見ていると、だんだん不安にしかない親御さんが出てくることでしょう。しかし大学は奨学金を利用するという考え方もあります。大学進学率が増える一方、奨学金利用者も増えているのです。10年前に比べると1.5倍の子ども達が奨学金を利用して進学しています。ただし奨学金は借金であることに変わりはありません。その辺を十分に考慮して、返済の事も十分に計画し借りることをお勧めします。教育ローンと奨学金は異なります。奨学金を利用する人の多くは、入学金は教育ローンを利用し、授業料は奨学金に頼る人が多いようです。教育ローンは一括振り込みで借りるのに対し、奨学金は毎月定額で振り込みされます。以前は教師になると返済しなくていいいという制度がありましたが、2004年よりその制度は廃止されました。ローンと異なり、返済が厳しくなった場合は猶予が出来る制度もありますのでうまく利用してお子さんの進学に役立てられるといいでしょう。

まとめ

以上のように想像以上に教育費はかかるのが現実です。小学校に入ると習い事をする子どもが増え、受験を控えれば進学塾に通う。子どもにはいくらでもかけることが出来るのです。しかし教育費にだけお金をかけてしまっては老後の生活が出来ません。先々の生活の安定のためにも、教育費を知った上で計画的にマイホーム購入をすれば安心してお子さんにお金をかけて育て上げることができるでしょう。ぜひ、綿密な資金計画を立てて納得のいく住宅購入を実現させてくださいね。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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