【FPに聞く】ライフプランから考える中古マンション購入

2017.09.12
【FPに聞く】ライフプランから考える中古マンション購入
新築マンションの販売を経験した後、銀行員として融資・資産運用相談業務を行なっていた経歴をもつ平井FP事務所代表の平井美穂様に、「夢のマイホームを手に入れるだけでなく、数年後、数十年後に迎えるライフイベントまでを想定した上で、人生最大の買い物をすることの重要性」について語っていただきました。中古マンション購入を検討している方、必見の内容となっています!

資金計画のポイント

カウルスタッフ:「まずは、ファイナンシャルプランナーである平井様に、マンション購入者の方が意識しておきたい「資金計画のポイント」についてお伺いしたいです。 」平井様:「資金計画ではまず、ご自身の家計の現状について正確に把握することから始めましょう。ある程度貯金があるのであればいいのですが、しっかりと貯金ができていないのであればマンション購入にかかる試算では少し注意が必要です。住宅ローンの毎月の支払いが、今支払っている家賃と同じくらいだから大丈夫だろうと多くの方は現在の賃貸で支払う家賃を基準に考えます。しかしマンション購入後、毎月の住宅ローンの支払いに加えて、マンションを維持管理していくための管理費・修繕積立金や、駐車場代がかかってきます。管理費・修繕積立金は月額3万~5万円ほどかかるケースが多く、決して無視できる金額ではありませんし、それに加えて、火災保険料や固定資産税・専有部分の修繕費も考慮しなければいけません。特にポイントとなるのは、修繕積立金の将来的な値上げについて事前に把握しておくことです。修繕積立金の値上がりが行われる数ヶ月前に管理組合から通知が来て、初めて知り慌てる方が多く見受けられます。最悪な場合では、購入当初の5倍にまで値上がりした修繕積立金の支払いが出来ず、物件を手放す人もいますマンションを購入する際には、今後毎月の修繕積立金がどのように値上がりするかを必ず確認しましょう。中古マンションを購入する場合は、それに加えて「どのくらい修繕積立金がプールされているか」について確認することをお勧めします。また、夫婦でライフプランをある程度密に話し合っておくことがとても大事です。例えば、子供が生まれたのをきっかけにマンションを購入した夫婦のケース。中学受験は、小学校3年生くらいから考え始める方が多いのですが、お子様が小学校3年生になったタイミングで初めて「中学受験をさせたい」という奥様の希望がご主人様に伝えられても、困ってしまいますよね。マンション購入時にしっかりと子供の教育方針について話し合いができていれば、物件価格を落としてマンションを購入した方が良かったことになります。さらには、老後の資金について入念に考慮する必要があります。特に、老後に毎月の管理費・修繕積立金の支払いはネックになることが多いです。せめて、ローンの返済については、定年退職する65歳までの完済を目指して資金計画を立てるようにしましょう。年金収入だけで、ローンの返済と管理費・修繕積立金の支払いを同時に行うのは現実的に厳しいものがあります。」

マンション購入時に必要な諸費用を節約するポイントとは

カウルスタッフ:「マンション購入に関する諸費用を少しでも節約する方法は、ありますでしょうか?」平井様「火災保険は取引の終盤に契約するものなので、 内容の確認がおろそかになってしまいがちです。基本的に、マンションの2階以上に住むのであれば、火災保険に付帯する水災補償は必要ありません。 水災補償について見直すだけで10万円ほど保険料が節約できる事例もありました。また、購入時の諸費用で大きな割合を占める仲介手数料に関しては、システム化で安くできている場合ならいいですが、そうでない場合はサービスの質が良くない場合もありえますので、とにかく仲介手数料が安ければいいというアドバイスは行っておりません。マンション購入時点で生命保険に加入している方は、住宅ローン契約時に団体信用生命保険に加入する場合がほとんどなので、保険の見直しを行うことで節約が可能です。」

変動金利と固定金利について

カウルスタッフ:「住宅ローンを借りる時、変動金利と固定金利の判断のポイントはどこになってくるのでしょうか?」平井様:「固定、変動のどちらが適しているかは当然、人によって異なってきます。ただ、今はどちらかというと固定金利が人気だと思います。低金利の影響を受けて、固定金利もかなり安くなっていますね。また、「目先の返済額を減らしたいから変動金利を選択する」という人は少し慎重になる必要があります。 そもそも、変動金利の住宅ローン商品はリスクがあるので、余裕資金がある方に適しています。将来金利が上がって、毎月返済額が2~3万円増えたとしても返せる人に向いているでしょう。その点、金利が変化しない固定金利はノーリスク商品であると言えます。金利や返済について住宅ローン選びが不安だという方は、マンション購入時に是非ご相談ください。」カウルスタッフ:「本日はありがとうございました!」取材協力:平井美穂様神奈川県生まれ。平井FP事務所代表。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(CFP)、証券外務員1種。大学卒業後、新築マンションの販売会社で営業を経験。なかでも特殊ケースの顧客の住宅ローンプランニングが得意。その後、銀行およびモーゲージバンクへ転職し、融資業務・金融商品販売に従事する。出産を機に独立系ファイナンシャルプランナーとなり、公正中立な立場で「相談者がもっとも得する住宅ローン」の借り方をコーチしている。5000件超の相談実績を誇る、実践派の住宅ローンプランナー。主な著書に、「住宅ローン 借り方・返し方 得なのはどっち?」。平井FP事務所(外部サイト)平井様の著書「住宅ローン 借り方・返し方 得なのはどっち?」では、Q&A形式で住宅ローンに関する重要ポイントをわかりやすく解説されています。「返済負担比率は年収の何%が適切?」、「転職したばかりに住宅ローンは借りることができるのか?」などの誰もが一度は疑問に思う内容が満載なので、ぜひ中古マンション購入を検討している方は、お手にとってみてください。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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