中古マンション購入の注意点【住宅ローン編】

2017.09.30
中古マンション購入の注意点【住宅ローン編】
中古マンションを購入するときは、住宅ローンに関して幾つかの注意点があります。それら注意点を事前に知っておくことで、審査が有利に働いたり、審査スピードが早くなったりすることがあります。審査スピードが早まれば値引き交渉にも働くので、これらの注意点は必ず知っておきましょう。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

事前審査を早めに行う

中古マンション購入時は、申込ができる点、そして値引き交渉で有利になるという点から、早めの事前審査を行うことをおすすめします。上記2点の詳しい話をする前に、まずはそもそも事前審査とは何か解説していきます。

事前審査とは?

事前審査とは、住宅ローンを借り入れる金融機関で、マンション購入「前」に審査を行うことです。金融機関によりますが、審査は早くて1営業日、遅くても5営業日ほどで結果が出ます。事前審査を通過していれば、物件の引渡しまでに「転職」や「ほかの借入」などがない限り、マンション購入後に行う本審査でも問題が発生することはありません。つまり、売主からすると事前審査に通っている顧客とは、安心して売買契約を結ぶことができるのです。実際に事前審査するときは、仲介している不動産会社に金融機関を斡旋してもらう流れが一般的です。

申込ができる

事前審査を早めに行うと、物件に申込できるというメリットがあります。物件にもよりますが、大抵の物件では住宅ローンを組む場合、「仮審査に通過していること」が申込条件になっています。住宅ローン審査に通っていない状態で申込を受けてしまうと、「ローン審査否決」という理由で、売買契約がキャンセルになるというリスクが売主にあるからです。そのため、事前審査に承諾していることを申込条件にしている場合が多く、早く事前審査に通過しないと気に入った物件を他の人に申込されてしまう場合があります。既に申込をされた物件に二重に申込はできないので、最初に申込んだ人がキャンセルするのを待つしかありません。つまり、事前審査に通過しておけば、即日申込ができるので、他の人に希望している部屋を取られる心配がないということです。

値引き交渉で有利になる

また、事前審査を早めに行っておくと、以下の理由で値引き交渉において有利です。
  • 購入意欲が高いと思われる
  • 契約日を早められる
後ほど詳しく解説しますが、事前審査をするときには用意する書類もあり、申込書に署名・捺印をしなければいけません。そのため、ある程度検討度合いが高い物件でないと、購入検討者は事前審査をしません。逆にいえば、事前審査を通過しているということは、売主からすると「買ってくれる可能性が高い顧客」であるということです。そのため、「○○万円値引いてくれれば買います」という交渉に説得力が出て、値引き交渉しやすくなります。また先ほどいったように、事前審査に通過していれば、即日申込ができます。申込後は最短1日で売買契約を結べるので、売主からすると申込からすぐに契約ができます。これは、申込キャンセルリスクに繋がるので、売主にとってはメリットです。事前審査に通過している状態だと、たとえば「今日申込んで2日後に契約するから○○万円値引いてください」という交渉ができるということです。

事前審査を早めに受けるポイント

事前審査を早めるには、以下3つのポイントがあります。
  • 必要書類を準備しておく
  • 金利タイプを決めておく
  • 金融機関を決めておく
よりスピーディーに事前審査するために、上記3点は準備しておきましょう。

必要書類を準備しておく

まずは、以下の書類を用意しておきましょう。
  • 収入証明
  • 身分証明
収入証明は、会社員の方であれば源泉徴収2年分、個人事業主であれば確定申告3か年分が一般的です。ただ、金融機関によって異なるので、どこまでの書類が必要か事前に確認しておきましょう。身分証明は、運転免許証や健康保険証などのことです。また、金融機関と住宅ローンの本契約(金銭消費貸借契約)を結ぶときは印鑑証明が必要になるので、役所に実印登録をしておきましょう。

金利タイプを決めておく

住宅ローンの事前審査をする段階で、金利タイプは以下の3種類の中から選んでおく必要があります。
  • 変動金利
  • 全期間固定金利
  • 一定期間固定金利
上記3種類はそれぞれ金利が異なるので、返済額も異なります。「年間返済額÷年収」という計算で算出される返済比率の数値が変わってくるので、事前審査の段階でどの金利タイプを選ぶのか決めておけば、事前審査をスムーズに行うことができます。※「変動金利か固定金利か、どちらを選べばいいの?」という質問に対しては、動画でわかりやすく解説しています。https://youtu.be/v6OiQhHfhxc

金融機関を決めておく

また、どの金融機関を選ぶか、以下の2点は事前に検討しておきましょう。
  • メガバンクかネット銀行か?
  • オプションはどんなものがあるか?
前項の金利プランに加えて、上記2点を決めておけば事前審査は即日行うことも可能です。

メガバンクかネット銀行か?

住宅ローンを組める金融機関はたくさんありますが、大きく分けるとメガバンクとネット銀行の2つに分かれます。もちろん、地方銀行や中堅銀行などもありますが、大きく特徴が分かれているのがメガバンクとネット銀行になるのです。金融機関にもよるので一概には言えませんが、比較的金利が安いのはネット銀行であり、サービスが整備されているのはメガバンクというのが一般的です。サービスとは、「団体信用生命保険の内容」や「グループ会社の各サービス優遇」などです。

オプションはどんなものがあるか?

また、金利以外にも以下のオプションもチェックしましょう。オプションは、前項の「サービス」に不随するものです。
  • 三大疾病付きなど団信プラン
  • 繰り上げ返済手数料
  • 女性のみ受けられる金利優遇
上記以外に、金融機関ごとに用意しているオプションは多種多様です。そのため、金融機関を比較するときは、金利だけでなくどのようなオプションがあるかも見ておきましょう。これらのオプションは、金融機関のホームページに掲載されています。

クレジットカードの滞納経験はないか

中古マンション購入時に住宅ローン組む場合は、過去にクレジットカードの滞納経験はないか確認しておきましょう。クレジットカードの滞納経験に関しては、以下の点を理解しておくことが大切です。
  • 信用情報に履歴が残る
  • 履歴が残ると審査は厳しい
  • 履歴を調べる方法

信用情報に履歴が残る

過去にクレジットカードの滞納をしていると、信用情報に履歴が残ります。信用情報には、クレジットカードの滞納をはじめ、自己破産やそのほかのローンの滞納も記録されます。これらは、主にCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3つの機関に履歴として残り、金融機関が住宅ローン審査時に確認することになります。つまり、一度でもクレジットカードを滞納した経験があると、住宅ローン審査時に金融機関に知られてしまうということです。

履歴が残ると審査は厳しい

金融機関が住宅ローン審査をするときは、上述した返済比率なども重視しますが、信用情報も重視します。結論から言うと、信用情報にクレジットカードの滞納履歴があると、ほとんどの金融機関では審査否決になります。それだけ、金融機関は滞納を厳しく見るということです。履歴自体が何年残るかは、信用情報機関や滞納したカードの種類などによっても異なります。一般的には5~8年程度は履歴が消えないと思っておきましょう。

履歴を調べる方法

仮に、クレジットカードを延滞した記憶がなかったり、記憶が曖昧だったりするときは、信用情報機関で調べることができます。直接来訪、電話での問い合わせ、ネットでの問い合わせと、調べる方法は3つあります。共通しているのは本人しか履歴を調べることができないという点と、調査費用が1,000円前後かかるという点です。クレジットカードの延滞履歴がありそうな人は、事前審査前にCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの履歴は問い合わせてみることをおすすめします。

住宅ローンの組み方の確認

先ほど、「金利プランは決めておいた方が良い」と言いましたが、そのほかにも住宅ローンの組み方も確認しておきましょう。住宅ローンを組むときには、主に以下3つのパターンがあります。
  • 単体で組む
  • 収入合算で組む
  • ペアローンで組む
上記も事前審査のときに決めておく必要があるので、それぞれのメリット・デメリットを把握して、あらかじめどの方法で組むか検討しておきましょう。

単体で組む

借入者1人で組むということです。この方法が最もシンプルな組み方になります。メリットは、物件の所有者が1人になり分かりやすい点と、連帯保証人などの面倒なことがない点です。一方、デメリットは1人の収入で審査するので、ほか2つのパターンよりは審査が厳しくなる点です。

収入合算で組む

収入合算とは、主にパートナー(夫や妻)の収入を合算して住宅ローンの審査をする方法です。金融機関によって収入合算のルールは異なりますが、「年収の半分」を合算する金融機関が多いです。

収入合算のメリット

収入合算のメリットは以下の通りです。
  • 審査に通りやすくなる
  • 物件の名義人は1人
合算する額が半分になることもありますが、単体で審査するよりも収入は増えるので、審査に通りやすくなります。また、収入合算者は物件の名義人にはならないので、単体のときと同様、主たる債務者1人が物件の名義人になります。

収入合算のデメリット

一方、収入合算のデメリットは以下の通りです。
  • 連帯保証人になる
  • ペアローンほどは優遇がない
  • 名義人しか団体信用生命保険に加入できない
合算する人は連帯保証人になるので、主たる債務者が返済不能になれば、代わりに返済する義務が発生します。また、収入が満額合算できるかどうかは分からないので、次項で解説する連帯債務よりは審査が楽になりません。さらに、主たる債務者しか団体信用生命保険に加入できない点もデメリットと言えます。団体信用生命保険とは、債務者が死亡、または高度障害になったときに残債が支払われる保険のことです。

ペアローンで組む

ペアローンとは、主に夫婦が、独立して住宅ローンを組むことです。たとえば、3,000万円の物件を購入するときに、夫が1,500万円、妻が1,500万円のローンを組むなど、同じ物件を担保にそれぞれが独立してローンを組みます。

ペアローンのメリット

ペアローンのメリットは以下の通りです。
  • 審査に通りやすくなる
  • どちらも団体信用生命保険に加入できる
それぞれの収入が満額評価されるので、基本的には収入合算よりも審査が楽になることが多くなります。また、どちらも団体信用生命保険に加入できます。

ペアローンのデメリット

一方、ペアローンのデメリットは以下の通りです。
  • 物件の名義人が2人になる
  • お互いの連帯保証人になる
  • 諸費用がかかる
ペアローンはそれぞれ独立してローンを組むため、物件の名義人も2人になります。それは必ずしもデメリットとは言えませんが、たとえば離婚するときなどはトラブルになりやすいなど、デメリットになるケースが多くなります。また、お互いの連帯保証人になっている点も、返済を滞納したときにはリスクになります。さらに、2本のローンを組むので、住宅ローンを組むための「手数料」などの諸費用が2本分かかってきます。これらのメリット・デメリットを把握した上で、どの組み方をするか検討しましょう。

保険の見直し

中古マンション購入時の最後の注意点は、保険を見直すことです。先ほどいったように、住宅ローンは基本的に団信に加入するので、現在加入している保険は不要になる可能性があります。つまり、今加入している保険を解約して、月々支払い額を減らせるということです。

不要になる保険はないか

たとえば、加入者が死亡したときに保険金がおりる「死亡保険に」入っていたとします。しかし、団信に加入していれば、少なくとも死亡時にはマンションの残債はなくなります。そのため、死亡保険を解約、もしくは保険金を減額できるかもしれません。そのほかにも、保険には色々な種類があるので、団信に加入することで不要になる保険はないかを確認しましょう。

火災保険について

生命保険や医療保険だけでなく火災保険も慎重に考えましょう。火災保険は、火災による家の損失だけでなく、水害や雪災にも対応し、家財保険も付保することができます。しかし、たとえば高層マンションであれば水災は不要です。また、高級な家具が不要であれば、家財保険も不要の人もいると思います。そのため、どこまで保障が必要かをきちんと考え、内容を吟味して加入する必要があるということです。

まとめ

中古マンション購入前には、住宅ローンに関する5つの点を把握しておきましょう。どれもそれほど時間がかかることでもないので、少し意識すればできることです。しかし、その少しのことをやるかどうかで、物件の値引き交渉や購入スピードは変わってきます。>>>中古マンション購入の注意点を網羅的にチェックする
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マンションジャーナル編集部

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