【中古マンション売却】任意売却について知っておくべきこと
2017.10.12
マンションをはじめとした不動産の売却には、「任意売却」や「競売」といった方法があります。任意売却は一般的ではありませんが、人によっては選択せざるを得ない売却方法。知識を持っておくことで、いざというときに動きやすくなります。今回は、競売と比較しながら任意売却について解説します。>>>そもそもマンションを売却するべきか、賃貸に出すべきか迷っている方はこちらをお読みください
任意売却とは何か?
任意売却とは、簡単にいうとローンが残ってしまう状態でもマンションを売却できる方法です。つまり、住宅ローンを完済していないも関わらず、抵当権が抹消されるということです。通常のマンション売却
住宅ローンを組むと、融資先の金融機関が物件に抵当権を設定します。抵当権は担保のようなもので、もし住宅ローンの返済が滞れば、抵当権を設定している金融機関が物件の売却をできるという仕組みです。この抵当権を抹消するためには、住宅ローンを完済するしかありません。しかし、物件を売却した金額が、ローン残債額に満たない場合もあるので、手持ち金額を補てんしないと完済できないケースもあります。ただし、このケースだと、手持ち金がないと物件を売却できません。そのようなときに、任意売却という方法を利用します。任意売却の流れ
任意売却をする場合は、ローンを完済しなくても抵当権を抹消してもらうので、その旨を金融機関に申し出ます。その際、通常は不動産コンサルティング会社や司法書士が窓口になり、金融機関との交渉をします。このような金融機関との交渉がある点が、通常のマンション売却と異なっています。競売との違いは?
任意売却と必ずセットで解説されるのは「競売」という手法です。結論からいうと、競売はデメリットが大きいので、競売になる前に任意売却をする必要があります。競売とは?
マンション売却における競売は、通常の「オークション」と同じような売り方です。具体的には以下のような流れで競売になります。- ローン返済を滞納すると催促状が届く
- 数か月催促を無視すると保証会社が代わりにローンを返済する
- この時点で債権者が金融機関から保証会社に移る
- 保証会社が一括返済を求める
- 一括返済しない場合に強制的に競売にかけられる
競売のデメリット
競売にメリットはなく、以下の点がデメリットになります。- 相場価格を遥かに下回る金額で成約する
- 所有者の意思は反映されない
任意売却のメリット・デメリット
デメリットの大きい競売になる前に、任意売却の手続きをしましょう。具体的には、前項で解説した「ローン返済を滞納すると催促状が届く」時点で、任意売却手続きを取らなければいけません。なお、任意売却にもメリット・デメリット、および注意点があります。その点を良く理解した上で、任意売却を利用しましょう。任意売却のメリット
任意売却のメリットは、以下の点になります。- 残債があるのに売却できる
- 基本的には通常の売却と同じ
- 相場価格並みに売却できる可能性が高い
残債があるのに売却できる
上述したように、通常は残債がある状態で売却はできません。基本中の基本ですが、任意売却だと残債に関係なく物件を売れるという点が、何よりのメリットと言えるでしょう。基本的には通常の売却と同じ
また、任意売却の流れは、基本的には通常の売却と同じです。そのため、競売のときのようにマンション所有者の意思が無視されるわけではありません。その点は、競売と比較したときの大きなメリットと言えます。相場価格並みに売却できる可能性が高い
前項のように、任意売却はマンション所有者の意思が反映されます。そのため、売却価格も不動産仲介業者とマンション所有者が話し合って決めます。また、売却活動も通常の売却と同じく、広告をして、検討者に部屋を内見して貰ってから決めるという流れです。そのため、通常の売却のように相場価格並みの値段で売却できる可能性が高くなります。任意売却のデメリット
一方、任意売却のデメリットは信用情報に傷が付くという点です。CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターなどの機関は、個人の「ローン延滞歴」や「自己破産歴」などを信用情報として記録しますが、任意売却も、ローンの返済が規定通りできなかったということで記録されることになります。信用情報に記録されると、その記録が消えるまで新たなローンの借入をしたり、クレジットカードを作成したりすることは難しくなります。記録が消えるまでの期間は機関によっても異なり、信用情報に記録された項目によっても違いますが、5~8年程度が一般的です。つまり、その期間は新たな借り入れやクレジットカードの作成は厳しくなるので、それが任意売却のデメリットと言えます。注意点
デメリットの他に、任意売却には以下のような注意点があります。- 必ずしも売却できるとは限らない
- 借金は残る
- 仲介手数料はかかる
- 税金は控除される
必ずしも売却できるとは限らない
任意売却は通常の売却と同じように物件を売るので、必ずしも売却できるとは限りません。また、売却期間がどの程度かかるか分からない点も注意しましょう。仮に、ローン支払いが厳しいという理由で任意売却している場合は、早く売るために安い金額で売り出さざるを得ないというデメリットが発生します。借金は残る
また、任意売却はローンが残っていてもマンションの売却ができますが、その残債が帳消しになるわけではありません。その残債は借金として残り、金融機関との交渉で金利や借入期間などを改めて決めるという流れです。仲介手数料はかかる
任意売却は、不動産会社に仲介を依頼し、マンションの売却活動をします。そのため、通常の売却と同じように仲介手数料はかかってきます。たとえば、税抜き売却価格が400万円以上であれば、「売却価格×3%+6万円」に消費税が加算された金額が不動産会社から請求される仲介手数料の上限です。仮にマンションが2,200万円で売却されたのであれば、約78万円が仲介手数料として請求されるということです。税金の優遇はなくなる
通常、住宅ローンを組んで入居不動産を購入すると、住宅ローン控除という税制優遇が受けられます。住宅ローン控除とは、「年末残債×1%」が所得税と住民税から還付されるという仕組みです。たとえば、年末ローン残高が1,800万円あれば、18万円を上限に所得税と住民税が控除されます。金額の上限やこの特例を受ける条件などがあるので、詳しくは国税庁ホームページ※で確認してください。しかし、任意売却をして残った借金は、この住宅ローン控除は利用できません。なぜなら、「住宅を所有している」や「住宅ローンを組んでいる」という、ローン控除を受けるための条件を満たさなくなってしまうからです。この点は、任意売却する上で盲点になりがちなので注意しましょう。(参考:国税庁 住宅借入金等特別控除 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm)どういう時に任意売却を行うのか?
では、最後に任意売却はどのようなときに行うかという話です。任意売却が行われるケースは、以下のようなケースになります。- ローン返済が厳しい
- 離婚などの事情でどうしても売却したい
ローン返済が厳しい
ローン返済が厳しいのであれば、そのマンションを売却してローンの返済から逃れたいと考えます。しかし、上述したように、マンションの売却益でも完済できずに手持ち金もない場合は、いつまで経ってもローンを返済し続けなければいけません。それを避けるために、任意売却を行い、賃貸マンションなど支払い額の小さい家に移り住むという選択をします。もちろん、完済できない分の借金は残りますが、家賃の安いところに移り住めば、マンションを所有しているときよりは支払い額は減ります。離婚などが絡みどうしても売却したい
また、離婚などが絡み、どうしてもマンションを売却したい場合も任意売却は行われます。マンションを所有している状態で離婚するときは、そのマンションを売却してしまった方がよいでしょう。なぜなら、マンションを所有していることによって、離婚後にトラブルになるリスクがあるからです。たとえば、妻が夫から慰謝料代わりにマンションをもらったとします。そのとき、夫の収入が激減して返済が滞れば、そのマンションは強制的に売却させられます。このようなトラブルを防ぐために、マンションは売却してしまうことが多くなりますが、売却益でローンを完済できない場合があり、そうなるとマンションを所有したままの状態を余儀なくされます。上述したリスクを避けるため、任意売却を利用して売却する人が多くなります。ただ、離婚に伴う任意売却は、その後の借金は誰が返済するかを話し合い、弁護士を交えてスムーズに任意売却するようにしましょう。まとめ
このように、任意売却はマンションを売却してもローンが残る場合に利用されます。ただし、信用情報に履歴が残るなどのデメリットがあり、いくつか注意点もあります。しっかり理解した上で任意売却を選択しましょう。>>>マンション売却の全体像をつかむ!株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
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