【中古マンション購入】値引きできるケース、できないケースを徹底解説!
2021.02.12
本記事では、中古マンションの価格交渉をする上で絶対に抑えておきたい「売主の売却状況を把握する」ポイントをお伝えします。兵法書「孫子」の言葉で「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という有名な言葉があります。マンションの価格交渉も、これに通じるところがあります。つまり、なぜ売主がマンションを売却したがっているか、どういう状況で売却活動をしているかを知ることができれば、必然的に値引き交渉の余地が分かるのです。
監修者:針山昌幸
売主が値引き交渉に応じやすいケースとは?
はじめに、売主が値引き交渉に応じやすい売却状況にあると考えられるケースを具体的に解説します。下記の7つのケースについて、ご説明していきます。- 既に新居を住宅ローンで購入し、住み始めている
- 既に新居を住宅ローンで購入し、その入居時期が迫っている
- 海外転勤が決まっており、日本国内に親族がおらず、転勤までに売却を済ませたいと思っている
- 離婚が決まっており、早期にマンションを売却したい
- 少人数で相続しマンション件を売りに出している
- 販売開始から半年以上、時間が経っている
- 新居の入居まで、極端に時間がある
【値引き可能ケース1】既に新居を住宅ローンで購入し、住み始めている
これは最も値引き交渉が効きやすいケースです。今まで住んでいたマンションを住み替えのために売却する場合、新しい住宅も基本的には住宅ローンを組んで購入する人がほとんどです。既に新しい新居に住んでいるということは、住宅ローンの支払いが「新しい新居」と「これまで住んでいた家」のダブルになっているということです。そして「これまで住んでいた家」の住宅ローンの支払いについては、金利部分は完全な捨て金ですし、所有している期間は管理費・修繕積立金を支払う必要があり、これらの支払いのお金は家計にとって重くのしかかって来るのが事実です。このような状況にあると「少しぐらい値引きしてもいいから、早くマンションの売却活動を終わりにしたい」と売主は考えます。住宅ローンの支払いがあるマンションの売却活動は、精神的にハードなものなのです。見分け方として、マンションを見学した際に部屋が空室であればこの可能性があります。もちろん空室だからと言って必ず値引き出来る訳ではありませんので、あくまでも一つの指標としてお考えください。【値引き可能ケース2】既に新居を住宅ローンで購入し、その入居時期が迫っている
上記の「既に新しい新居を住宅ローンで購入し、住み始めている」に近いケースです。売主が、今はまだ売却中のマンションに住んでいるものの、もうすぐ新しい新居の入居時期になるというパターンです。特に売主が購入した住宅が新築マンションの場合、新築マンションが完成して入居するまでには、かなりの時間があります。それだけの期間販売を成功させることが出来ず、いよいよ住宅ローンの支払いがダブルでかかってくるという重圧は大きいものです。このようなタイミングでは、中古マンションの値引きが成功する確率が高いと言えます。【値引き可能ケース3】海外転勤が決まっており、日本国内に親族がおらず、転勤までに売却を済ませたいと思っている
意外と多いのがこのケースです。グローバル化が進む中で、海外転勤を命じられ、それであればマンションを売却しようとするケースです。この場合、売主の親族が日本にいれば、委任状を用意することで、その親族にマンション売却を依頼することもできます。しかし親族がいない場合、基本的には海外赴任に出発する日までに引き渡しをしなければいけません。【値引き可能ケース4】離婚が決まっており、早期にマンションを売却したい
マンションを売却する理由の1つに「離婚」があります。離婚が決まった場合、夫婦で一緒に暮らしていたマンションは売却するケースがほとんどです。マンションを売却して現金化し、財産を分配するのです。離婚でマンションを売却する場合、「多少安くてもいいから、一刻も早くマンションを処分したい」と考える方もいます。【値引き可能ケース5】少人数で相続しマンション件を売りに出している
売主が親から相続したマンションを売りに出すケースも狙い目です。相続物件の場合、物件に思い入れがなく、なるべく早く現金化したいと考えるケースがあります。また相続人が売主1人だけであったり、2〜3人程度の少人数で相続した場合、値引きの申し出を受け入れるかどうかの意見がまとまりやすいという傾向があります。【値引き可能ケース6】販売開始から半年以上、時間が経っている
中古マンションの平均的な販売期間は3〜6ヶ月程度。6ヶ月を越えると、売主も相当焦ってきます。このようなタイミングでは、値引き交渉が、販売当初と比べると効きやすくなっています。【値引き可能ケース7】新居の入居まで、極端に時間がある
売主の新居が新築マンションなどで、入居まで時間があり、かつ売主が「早く売ってしまいたい」と考えているケースです。買主にとってみると、早く住めることが中古マンション購入のメリットなので、引き渡し日が極端に遠いことはマイナスポイントになります。このマイナスポイントは売主も分かっていますので、価格交渉の材料となります。逆に売主が値引き交渉に応じにくい状況には、下記のようなものがあります。このケースに当てはまるような場合は、値引き交渉に懸命になるのは要注意です。売主が値引き交渉に応じにくいケースとは?
次に、値引き交渉が難しい13のケースについて解説します。- 新居の居住費用がかからない
- 賃貸募集も同時にしている
- 多人数で相続しマンション件を売りに出している
- 販売開始から時間が経っていない
- 販売価格を下げた直後
- 住宅ローンの残債がたくさん残っている
- 売主が相場を知らない、または勘違いしている
- 売主が売る必然性がない
- 売主側の不動産会社の営業マンのレベルが低い
- 不動産会社が売主
- 売主が強情
- 総戸数が多く取引事例が多いマンション
- ライバル物件よりも安いマンション
【値引きNGケース1】新居の居住費用がかからない
売主がマンションを売却して、実家に帰るケースなどです。この場合、売主は新居でランニングコストがかからないため、気持ちに余裕があります。新居に対して住宅ローンを支払わなくてはいけないケースと異なり、金銭的な余裕があるので、値引き交渉にも強気に出てくる可能性が高いでしょう。【値引きNGケース2】賃貸募集も同時にしている
賃貸ニーズが高いエリアでは、売却活動と同時に賃貸募集を行うケースも良くあります。「下手に安く売却するぐらいなら、賃貸に出して家賃収入を得よう」と売主が考えている場合、大きな値引きは期待出来ません。【値引きNGケース3】多人数で相続しマンション件を売りに出している
4人以上など、多人数の親族でマンションを相続した場合も、値引き交渉は難航します。相続人のうち、一人が値引きに応じたとしても、他の相続人が「そんな安い金額で売ることはない」と反対意見を出すケースがあるからです。【値引きNGケース4】販売開始から時間が経っていない
マンションが売りに出されてからまだ日にちが経っておらず、マンションに見学者が多数入っている場合も、値引きが難しいケースが殆どです。「値引きなどしないでも、満額で売ることができる」と売主が考えている状況では、値引きが難しいのです。値引き交渉が出来るようになるのは、少なくとも販売から1〜2ヶ月が過ぎたタイミングからになります。【値引きNGケース5】販売価格を下げた直後
上記の「販売開始から時間が経っていない」ケースと似ていますが、以前の販売価格から価格を下げた直後も、値引き交渉は難航します。「せっかく値引きをしたのに、これ以上値段を下げるのか!」と売主が思ってしまう為です。【値引きNGケース6】住宅ローンの残債がたくさん残っている
売主の気持ちではなく、経済的な理由でマンションの値引きができないのが「住宅ローンの残債がたくさん残っている」パターンです。例えば住宅ローンの残債が5000万円ある場合、5000万円以下で売ってしまうと、不足分を売主が現金で銀行に支払わなくてはなりません。住宅ローンの残債が残っているケースと似ていますが、売主に住宅ローン以外の借金がある場合も、値引きが難しいケースがあります。いわゆる「任意売却案件」などと呼ばれるケースで、今売りに出している金額以下で販売してしまうと売主の借金が返済出来ない為、値引きが出来ないのです。【値引きNGケース7】売主が相場を知らない、または勘違いしている
上記でご説明したように、不動産会社があまりにも高い金額の査定書を提出し、売主が相場を勘違いしている場合も、価格交渉は難航します。このような物件は売主が「一括査定サービス」に問い合わせをし、複数の不動産会社が「ウチに売却活動を任せてください!」と営業攻勢をかけた時に起こりがちです。どの不動産会社も「ウチならこんなに高い金額で売れますよ」と営業をしかけるので、査定金額が相場とかけ離れたものになるからです。【値引きNGケース8】売主が売る必然性がない
売主がマンションを売却する際には、殆どの場合、何らかのマンションを売らなくてはいけない理由が存在します。しかし稀に「高い金額で売れるのであれば売ろうかな」と、半ば冗談のような気持ちで売却活動をしている売主もいます。このような場合、売主にマンションを売らなくてはいけない理由がないので、価格交渉をしかけたところで軽くあしらわれてしまいます。【値引きNGケース9】売主側の不動産会社の営業マンのレベルが低い
マンションの売却というのは、不動産会社と売主が二人三脚で行うものです。マンションの購入に比べ、売却は不動産会社がやることが多いため、値引き交渉が上手くいくかは売主側の不動産会社が売主を説得出来るかどうか次第、というのも事実です。売主側の営業マンのレベルが高い場合、こちらから値引きを持ちかけると、売主に対して「なぜこの値引きに妥当性があるか」「この購入申込がどれだけ大事か」ということをしっかりと売主に説明してくれます。また売主と信頼関係が出来ているため、営業マンの説得に売主が応じやすい傾向があります。マンションを見学する際に、売主が居住中の物件だと売主側の不動産会社が立ち会う事が多いもの。その際に、あえて売主側の不動産会社の営業マンにいくつか質問をしてみて下さい。その質問に対して、ハキハキと的確な回答をする営業マンであれば、値引きの期待が出来るかもしれません。逆に的外れな回答をしたり、面倒臭いような顔をしてきたら、残念ながら値引きは期待出来ないかもしれません。【値引きNGケース10】不動産会社が売主
マンションの中には、個人が売主の部屋と、不動産会社が売主の2つのケースがあります。不動産会社が売主の場合、その部屋を購入した時の金額、リフォームにかかった金額などがあり、マンションの売却で損を出す訳にはいきません。不動産会社が売主のケースでは、あまり大きな値引きが出来ない事が多いのです。まれに、決算期や、何か事情があって大きな値引きに応じてくれることもあります。この辺りの売主の状況は営業マンを通じてヒアリングしてみると良いでしょう。【値引きNGケース11】売主が強情
人間というものは面白いもので、世の中には他人の言う事を全く聞かない人もいます。このような人が売主だった場合、価格交渉は極めて困難です。内覧の際に、売主の様子を見て「変わった人だな」と感じたら、値引き交渉は難しいと見て良いでしょう。【値引きNGケース12】総戸数が多く取引事例が多いマンション
タワーマンションなど、マンション全体の戸数が多く、直近でも数多くの部屋の売買事例があるマンションの場合、完全に相場が形成されています。タワーマンションや大規模マンションはランドマーク性が強く、資産価値が高く保たれやすいという特徴がありますが、相場が完全に形成されているがゆえに相場よりも安い大きな値引き交渉は難しいものです。逆に取引事例が少なく、相場が形成されきっていないマンションであれば、上手く値引きを引き出せるケースがあります。【値引きNGケース13】ライバル物件よりも安いマンション
総戸数が多いマンションと近い例ですが、競合物件に比べ、値段が安いマンションも値引きが行いづらいという特徴があります。競合物件よりも値段が安いということは、相場よりも価格が低い可能性がありますが、パッと見て安い物件だということは売主も把握をしています。逆にライバル物件よりも高く、パッと見の条件もそれほど変わらない場合は、値引きを引き出せる可能性があるでしょう。まとめ
中古マンションの値引き交渉は、売主の売却事情を把握することから始まります。値引き交渉に応じやすいケースの場合は、仲介担当者を味方につけて交渉の準備をスムーズに進めていきましょう!値引き交渉の準備や、成功のカギなど、中古マンションの値引き交渉の全体像については下記記事で解説しているのでぜひ参考にしてみてください。>>>プロが教える中古マンション値引き交渉成功のカギとは?交渉セリフまで徹底解説株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
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