三軒茶屋エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”
いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。
今回は、三軒茶屋エリアをPICKUP。
「三茶」の愛称で親しまれ、個性溢れる飲み屋街などディープな雰囲気のあるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。
データで見る三軒茶屋エリア
最高価格:1億6980万円 最低価格:1100万円
平均価格帯:約4820万円
販売物件数:57
※2023年8月現在
↑ 平均価格と売出戸数
↑ 平均価格と平均平米単価
このエリアを一言で
👉売出物件数は少なめ、市場の75%が築30-50年の築古物件
👉30〜50㎡の物件がメイン、60㎡以上の物件は僅少
👉80㎡以上の億超え物件が築10-20年の平均価格を押し上げ
今回は、世田谷区の三軒茶屋エリアをピックアップ。渋谷駅から2駅(東急田園都市線)にあたる三軒茶屋駅。東急田園都市線と東急世田谷線の2路線が利用できる。
◾️この街の歴史・街並み・特色
三軒茶屋は、社寺参詣が盛んだった江戸時代中期に大山道(現世田谷通り)と登戸道(現玉川通り)の分岐点付近に「信楽、角屋、田中屋」という三軒のお茶屋が並んでいたことに由来する。国道246号線と世田谷通り、茶沢通りは交通の要衝として発展したほか、旅人たちの途中休憩場所として栄えていた。明治時代以降では鉄道の開通に伴い、駄菓子屋や居酒屋などの商店が開業し商店街として発展。世田谷公園あたりには、軍事施設が置かれていた。三軒の茶屋は現在では存在しないが、田中屋が「田中陶器店」として営業している。三軒茶屋駅から北方面にある茶沢通りは毎週日曜日に歩行者天国となり、街全体がイベントやお祭り会場などで賑わう。また、駅を中心にお洒落なレストラン、カフェやバー、通称「三角地帯」と呼ばれる飲み屋街エリアなど多種多様な飲食店が軒を連ねているのも本エリアの特徴である。
◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアは売出物件数が少なく、築30-50年の物件が市場全体の75%を占める。物件面積は30〜50㎡が多く、シングルやDINKsに適した物件が豊富。中でも特に40㎡台の物件が築40-50年を中心に多く売り出されており、60㎡以上の物件は僅少だ。築30〜50年の売出物件の中でも70㎡以上の物件は、全て億超え物件となる。築年数ごとの平均価格を見てみると、築10-20年が1億233万円と飛び抜けているが(冒頭のグラフを参照)、これは80㎡以上の億超え物件が平均価格を押し上げているため。一方、築10年以下は平米単価が150万円/㎡であるが、30㎡台の小規模物件のみ売り出されている形だ。三軒茶屋の最高価格・最低価格は新宿区の新宿エリア(新宿駅の東側・新宿1丁目〜7丁目)と酷似しており、築30年以上の築古マンションが多いことも共通している(新宿は、最高価格:1億6800万円 最低価格:1100万円)。平米単価を比較しても、両エリアはかなり近しい価格帯になっている。ターミナル駅や駅近商業施設の圧倒的な利便性を得られる新宿か、通いたくなる店が集まりローカルに暮らせる三軒茶屋か、街並みや特性はそれぞれ異なる。同価格帯で検討している人は、一度比較検討してみても良いだろう。飲食店が多く外食が多いシングルやDINKsに人気の三軒茶屋だが、前述のように売出物件数は少ない。本エリアを気に入った方は各種ポータルサイトやアプリに希望条件を設定して売出状況をこまめにチェックするようにしよう。
◾️今後の発展の見込み、再開発予定
本エリアでは1981年に「三軒茶屋地区市街地再開発基本構想」が策定されて以来、三軒茶屋駅周辺を5つの工区に分けて再開発が進められてきた。このうち第1区・第2区・第5区は既に完了している。第1区は駅から出てすぐの場所にある大型スーパー西友三軒茶屋店、第2区は駅直結の複合ビルキャロットタワー、第5区は玉川通り沿いに建つオフィス・共同住宅・商業ビルが一緒になった複合ビル・サンタワーズと、それぞれ建物を中心に開発されてきた。第3区は茶沢通り沿い周辺の繁華街、第4区は、玉川通りと世田谷通りに挟まれたエリアで再開発はまだ着手されていない。さらに、歩道の狭さや街周辺が南北に分断されているなどの課題に対応すべく、世田谷区は2019年3月に世田谷区は2019年3月に「三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針」を策定。これは「まちの継承・個性を強化する」・「まちを支えつなぐ」・「魅力を育て機能を高める」の3つの方針を「三茶Crossing」として掲げ、街づくり計画を行っていくものとなっている。
◾️この街の住みやすさ
三軒茶屋駅は、渋谷方面へのアクセスはもちろん下北沢駅(小田原線・井の頭線)・中目黒駅(東横線・日比谷線)まで自転車やバスで10〜15分程度で行くことができる立地であり、「キャロットタワー」には劇場や飲食店が揃い、最上階にある展望台は無料で利用することができ、晴れている日には富士山や東京タワー、スカイツリーも眺めることができる。低階層には24時間営業のスーパー「三軒茶屋東急ストアや西友三軒茶屋店があるため、仕事で忙しく帰りが遅くなった場合でも駅から直接立ち寄ることができ大変便利だ。日曜日に歩行者天国になる茶沢通りでは街歩きや買い物が楽しめる。駅から南側、徒歩3分の場所には、昭和の雰囲気が漂う喫茶店・八百屋・美容室などが立ち並ぶ「三軒茶屋栄通り商店街」があり、お洒落な飲食店とは異なる下町風情が残る商店街が広がっている。昭和女子大学を通り抜けると大きな噴水が目印の世田谷公園があり、野球場やテニスコート、屋外プール施設などが揃っているため子どもと一緒に自然に触れ合いながら遊ぶことができる。また、三軒茶屋駅の北口から徒歩2分にある三角地帯の一角には、居酒屋・バー・焼肉店などが並ぶ飲み歩きスポット「すずらん通り」や、商店街「エコー仲見世」がある。深夜や明け方までやっている店も多く、外食が多い人にも困らない立地だ。
エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移
現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。
築18年のレグノスイート三軒茶屋は、2023年1月に平米単価106万円/㎡から上昇傾向に転じ、2023年5月には115万円/㎡まで上昇。2023年8月現在は平米単価114万円/㎡台に。2023年3月には115万円/㎡まで上昇し、その後上下しながら2023年8月現在は平米単価114万円/㎡で推移しています。築39年のダイヤアクティ三軒茶屋は、2022年11月から80万円/㎡近くで維持していたものの2023年4月には72万円/㎡台まで下落。2023年5月には再び80万円/㎡台に戻り、その後も上昇し続け2023年8月現在は平米単価86万円/㎡台に。築45年のモナーク三軒茶屋は、2022年8月に88万円/㎡から2022年10月には95万円/㎡まで上昇。2023年1月まで90万円/㎡台で維持していたものの、その後は下落傾向に転じ、2023年8月現在は平米単価74万円/㎡台に。
👉レグノスイート三軒茶屋(総戸数100、2005年竣工)
👉ダイヤアクティ三軒茶屋(総戸数45、1984年竣工)
👉モナーク三軒茶屋(総戸数84、1978年竣工)
気になるあのエリアの最新市況データを見る方法
連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。
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マンションジャーナル編集部
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