六本木エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.05.18
六本木エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、六本木エリアをPICKUP。
高級クラブやバー、超高額物件など煌びやかな「夜の街」のイメージが強いこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る六本木エリア

最高価格:12億円 最低価格:1580万円
平均価格帯:約1億3070万円
販売物件数:118
※2023年5月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉 売り出されている物件の3割以上が億ション
👉築20~30年を中央値として、前後での価格差が大きい
👉築30年以上は30㎡以下の小規模物件も多く、一部にお値打ち物件も

今回は、六本木エリアをピックアップ。六本木駅を中心に、北は乃木坂駅、東は六本木一丁目駅、南は麻布十番駅と3駅に囲まれた区画。高層ビル群や富裕層向けレジデンス、高級飲食店が集まり、港区の中でもVIPイメージを牽引するエリアだ。

六本木は、武家屋敷が置かれていた江戸時代から明治時代以降、軍事施設や華人・官僚の屋敷街が置かれる街へと発展した。1964年の東京オリンピックに合わせ東京メトロ日比谷線が開通。テレビ朝日が拠点をおいたことに伴い、芸能関係者が集う街に。2000年代の森ビルによる一連の再開発により、六本木ヒルズ、東京ミッドタウンといったオフィス、アート施設、飲食店やアパレルショップなどを含めた高層複合型ビル、高層タワーマンションが完成、現在の煌びやかな職住近接の街並みとなった。駐日大使館も多いため、国際的な雰囲気も漂う現在の六本木へと発展した。

本エリアで売り出されている物件の約36%が1億円超物件という、「超」がつくほどの高価格帯エリアだ。築20年以内の物件は平米単価が360万円以上、築40~50年でも約123万円/㎡。高輪エリアの築10年以内物件でも約219万円/㎡なので、いかに飛び抜けているかがよくわかる。

また、築20~30年を中心として、その前後での価格差が非常に大きいことも特徴。築10年以下と築50~60年で比較すると、平米単価の差はなんと約290万円。この価格差を生む理由の一つが、築浅マンションに関しては12億円・200平米超えの物件(調査時点で本エリアの最高価格)を筆頭に、100平米を超える一部の「超」高価格物件が、平均価格を押し上げていること。また、築古マンションに関しては面積が30㎡以下の小さめ物件が多くなる点も、価格差の要因となっている。この価格差の大きさや市場を占める物件の特徴・内訳でいえば、同じ港区の赤坂が酷似している(参考:2023年1月時点で赤坂エリアの最高価格は12億円、築20~30年を中心として前後で平均価格に大きな開きがある)。一方、同じ高級住宅街でも様子が異なるのが、高輪。高輪エリアの最高価格は2023年3月時点で5億円と六本木の半額以下であるが、築年数を重ねても高値で取引される名作マンション(いわゆる「ビンテージマンション」)が多く、年代を問わず100平米超物件が多く価格が安定している。同じ港区・高価格エリアであっても、赤坂・六本木と高輪でその内容が全く異なっているのは、住まう人の家族属性や価値観の違いが反映されていると考えられる。30㎡以下の築古マンションであれば、平米単価70万円台で六本木に住まうことも可能なので、立地を求める人は注目してみてもいいかもしれない。

すでに高級住宅街としての印象が強い六本木エリアだが、そこにさらに加わるのが「麻布台ヒルズ」だ。ディベロッパーの森ビル株式会社が30年の歳月をかけて地元住民と対話を重ねながら取り組んできた肝入りの再開発計画であり、2023年秋頃竣工予定。神保町駅と六本木一丁目駅を結び、A街区・B-1街区・B-2街区・C-1〜4街区に分かれる大規模なものになる。A街区には日本で最も高い高級タワーマンションとなる64建のアマンレジデンス 東京の建設に加えて、B街区には日本初進出の高級ホテルブランドジャヌ東京が今秋に入居する予定だ。敷地内には、「慶應義塾大学病院予防医療センター」が新宿区から移転するほか、商業施設やアートスポットとしてミュージアムやギャラリーも誕生する予定。また、再開発で唯一のインターナショナルスクール「THE BRITISH SCHOOL IN TOKYO」が今年の9月にオープンされることから、より外国人も住みやすい国際都市へと発展しそうだ。さらに、街全体を再生可能エネルギーで賄う「RE100(Renewable Energy 100%)」に対応するなど環境面にも配慮した都市設計となっており、六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズと合わせて、「遊ぶ、働く、住む」が充実した最新都市モデルが生まれることに期待が集まる。文化とビジネスを融合した六本木エリアの魅力や価値も、より一層高まるだろう。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築12年のTHE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCEは、緩やかに上昇を続けており、現在は338万円/㎡に。築22年のパレステュディオ六本木は、平米単価156万円/㎡だった2022年9月からやや下落傾向にあり、現在は136万円/㎡に落ち着いています。築53年の麻布永坂レジデンスは、2020年から上昇を続け、一時期は平米単価88万円/㎡から116万円/㎡まで高騰、現在は110万円台で安定しています。

👉THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCE(総戸数611、2011年竣工)
👉パレステュディオ六本木(総戸数73、2001年竣工)
👉麻布永坂レジデンス(総戸数70、1970年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

今回は六本木をピックアップしました。
連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

マンションジャーナル/カウルでは、公式メルマガを配信中。メルマガ会員になると、週に一度さまざまな連載コンテンツを受け取れるほか、お好きなエリアの最新トレンドデータがいつでもご自分でチェックできる「市況トレンドデータ powered by Housmart,Inc」を利用できます。
ぜひ住宅購入や住み替えのための情報収集、希望エリアや住まいの資産価値のチェック等にご利用ください!

市況トレンドデータ powered by Housmart,Incの画面イメージ

▲右上の「郵便番号エリア」を変更することで、任意のエリアの物件データを確認することができます

カウルメルマガ登録

株式会社Housmart
株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部

「Housmart(ハウスマート)」が、購入や売却に必要な基礎知識・ノウハウ、資産価値の高い中古マンションの物件情報詳細、ディベロッパーや街などの不動産情報をお届けします。