三鷹エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2024.03.27
三鷹エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、三鷹エリアをPICKUP。
買い物・交通の利便性と自然がバランスよく揃い、国民的アニメのミュージアムでも知られるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る三鷹エリア

最高価格:1億8800万円 最低価格:990万円
平均価格帯:約5180万円
販売物件数:93
※2024年3月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件数は多め。築20-40年が多い
👉物件面積は50〜70㎡台の売り出しがメイン
👉駅近の下連雀3丁目に物件が集積

今回は、三鷹市の三鷹エリアをピックアップ。住所としては、三鷹駅(JR中央線・中央総武線・東京メトロ東西線)の南側に位置する下連雀になる。
 
◾️この街の歴史・街並み・特色
三鷹は、かつて幕府や尾張徳川家の鷹狩りが行われる御鷹場だった。その中でも今回取り上げる下連雀は、明暦の大火の際に、神田連雀町の被災者が幕命によって移転し開墾した土地。さらに1923年の関東大震災を契機に三鷹への移住者が増加、それまで純農村地帯だったこのエリアの宅地化が進んだ。1930年に三鷹駅が開設。戦時中は軍需関連の大企業の工場・社宅が集まるのに伴い人口が増加。1950年代以降になると団地などの集合住宅の建設が相次ぎ、住宅地として人口が急増した。また、震災を期に武者小路実篤、山本有三、三木露風、亀井勝一郎、太宰治といった作家・詩人が移り住んだ文豪ゆかりの街でもある。記念館が点在するほか音楽・演劇・美術・落語などの古典芸能などの文化イベントを行う「三鷹市芸術文化センター」がある。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件数は多めで、築20-40年が多め。物件面積は50〜70㎡台の売り出しがメインで40㎡以下は少ない。築30-40年の平均平米単価は約76万円であるものの物件平均価格が約2909万円と少額なのは、売り出されている物件の約半数が10〜30㎡台であるため。売出物件は特に三鷹駅近く(下連雀3丁目)に集まるが(先述の中古マンション売出物件MAPを参照)、駅前の商業地域であっても高層マンションは少なく、アドレス全体で低層・中層マンションが多い穏やかな街並みとなっている。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
「緑と水の公園都市」を目指す三鷹エリアでは、2021年3月に「三鷹駅前再開発事業コンセプトブック」を作成。三鷹駅前に緑や公園が少ないという現状に対し、駅前再開発エリアを「子どもの森(仮称)」というイメージコンセプトを掲げて、広場や施設などの空間設計を行っていく予定だ。例として、水遊び、体験型キッズパーク、子連れで楽しめる親子カフェ、野菜の収穫体験などの提案がある。2023年2月には「三鷹駅前地区まちづくり基本構想」を策定。三鷹駅南口側に位置する下連雀3丁目地区では、UR都市機構のもと「三鷹駅南口中央通り東地区再開発事業」三鷹センタービルをはじめとする3棟の市街地住宅や、老朽化した建物の建て替えや、文化劇場跡地の一体的な整備が行われる予定だ。2023年2月に策定された「“子どもの森”基本プラン〜三鷹駅南口中央通り東地区再開発事業〜」は、にぎわいを生む屋根付きの広場のほか、商業・住宅エリアやイベントホールなどが描かれており、駅前と市内各所を結ぶコミュニティバス発着所などの交通改善も想定されたほかエリアにはない三鷹エリアならではの緑溢れたプランニングとなっている。

◾️この街の住みやすさ
3路線が乗り入れている三鷹駅からJR中央線を利用すれば新宿駅まで約15分、東京駅まで約30分と乗り換えなしで行くことができる。東京メトロ東西線を利用すれば、オフィス街である大手町駅まで約35分と乗り換えなしで行くことができる。マンションの立地にもよるが、隣駅の吉祥寺駅まで自転車やバスを利用すれば10分程度でアクセス可能。商店街や飲食店、個性的な雑貨やファッション店なども多い吉祥寺エリアや井の頭恩賜公園を生活圏にできる。下連雀エリアは南北に長く、三鷹駅に接している北端に対して南端(8丁目、9丁目など)は駅から徒歩30分程度の距離がある。三鷹の森ジブリ美術館などの人気スポットも含めた周辺エリアを運行している「みたかシティバス」、関東バス・西武バス・小田急バスなどバス便も充実しているが、自転車があるとなお活動範囲が広がり便利だろう。

三鷹駅直結には「アトレヴィ三鷹」があり、スーパーの「クイーンズ伊勢丹」や紀伊國屋直営の「KINOKUNIYA Bakery アトレヴィ三鷹店」が揃う。三鷹駅の北口には「東急ストア三鷹店」が、南口には「東急ストア三鷹センター店」があり、日常の買い物は駅周辺で完結できる。三鷹駅南口側には、カフェやクリニック、100均店が揃った「トリコナ」や、レストラン、衣料品店や書店が入った「三鷹コラル」の2つの商業施設がある。「三鷹コラル」の5階には「三鷹市美術ギャラリー」があり、太宰治の展示室など様々な作品を観ることができる。地下1階には青果・鮮魚・精肉などが揃う「魚力 三鷹コラル店」があり、必要な食品の買い出しにも便利だ。三鷹駅の南口からすぐある場所には「三鷹中央通り商店街」がある。毎月第4日曜日は歩行者天国となった中央通り沿いを会場に、ハンドメイドグッズやパフォーマンス等を披露する「M-マルシェ」が開催され、地元の人々で賑わう。また、中央通り沿いでは毎年8月に「三鷹阿波踊り」のイベントも開催されるため、1年を通して季節ごとのイベントを楽しむことができる。

三鷹には文学・美術が楽しめるスポットも点在する。太宰治の創作物が展示された博物館「太宰治文学サロン」や、多くの人々が訪れる「三鷹の森ジブリ美術館」があり、国民的アニメ制作会社であるスタジオジブリの生み出す世界観を味わうことができる。「三鷹の森ジブリ美術館」では三鷹市・近隣市民枠チケットの販売もあるため、本エリア住民であればチケットが取りやすいのが嬉しい。緑が多い本エリアには、都内を代表する公園の一つ、総面積が約43万㎡の広さを誇る「井の頭公園」があり、園内のテニスコートやスワンボートなどで様々なスポーツやアクティビティが楽しめる。また、三鷹駅南口から井の頭公園をつなぐ「風の散歩道」と呼ばれる玉川上水沿いの歩道は散策にピッタリだ。井の頭公園の隣には大正〜昭和に活躍した作家・山本有三がかつて暮らしていた洋館があり、「山本有三記念館」として三鷹市の文化財に指定されている。

3路線が利用できる交通利便性や憩いの場である井の頭公園を生活圏にできる三鷹エリア。隣駅の吉祥寺まで足を延ばせば、休日のショッピングも楽しめる。生活利便性と緑地バランスが良い穏やかな住宅地として人気のある本エリアだが、駅前再開発により洗練された緑溢れる街として都内でも独自の立ち位置での魅力を高めていくだろう。賑やかな都市部にすぐアクセスできる適度な距離感を保ちながら、何よりも豊かな緑に日々触れられることを重視する方。季節ごとのイベントが楽しめる商店街のローカル感や文化と芸術に触れられる日常生活を送りたいという方におすすめできるエリアだ。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築4年のプラウドシティ吉祥寺は、2023年4月に115万円/㎡から下落し始め、2023年9月に109万円/㎡まで下落。2023年11月に112万円/㎡まで上昇したものの、2024年2月に108万円/㎡まで下落。2024年3月現在は平米単価約111.4万円/㎡に。築5年のプレミスト三鷹は、2023年9月に108万円/㎡から上昇し始め、2023年11月には112万円/㎡まで上昇。その後、下落傾向に転じ2024年1月に109万円/㎡まで下落。2024年3月現在は平米単価111.9万円/㎡に。築33年のリノア三鷹は、2023年2月に93万円/㎡から2023年6月には100万円/㎡まで上昇。2023年8月までに約100万円/㎡台を維持し、2023年11月までに95万円/㎡まで下落。2023年3月現在は平米単価96万円/㎡に。

👉プラウドシティ吉祥寺(総戸数678、2020年竣工)
👉プレミスト三鷹(総戸数55、2019年竣工)
👉リノア三鷹(総戸数43、1991年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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マンションジャーナル編集部

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