タワーマンションの管理費はなぜ高い?修繕積立金の値上がりにも注意しよう!
2015.11.20
この記事の重要ポイント!
- 管理費とは、マンションの共有部の維持管理や運営に充てるランニングコスト
- 管理費の相場は、「152円/㎡」とガイドラインで言われているが、物件ごとに大きく異なる
- 修繕積立金とは、共用部の大規模修繕やメンテナンスの費用に充てる資金
- 修繕積立金の相場は、マンションの規模で決まり大規模マンションであるほど安くなる傾向
- 管理費と修繕積立金は経年に連れて値上がりしていくことを必ず把握しておくこと
- タワーマンションの管理費は施設の数が多いので、高額になりがち
- 管理費の削減は可能だが、修繕積立金の削減はほぼ不可能
- 中古マンションを購入する時は、修繕履歴や修繕計画、修繕積立金の積立総額を必ずチェックすること
管理費・修繕積立金は月額3万~5万円ほどかかるケースが多く、決して無視できる金額ではありませんし、それに加えて、火災保険料や固定資産税・専有部分の修繕費も考慮しなければいけません。特にポイントとなるのは、修繕積立金の将来的な値上げについて事前に把握しておくことです。修繕積立金の値上がりが行われる数ヶ月前に管理組合から通知が来て、初めて知り慌てる方が多く見受けられます。最悪な場合では、購入当初の5倍にまで値上がりした修繕積立金の支払いが出来ず、物件を手放す人もいます。出典:https://journal.kawlu.com/46117/そこで本記事では、管理費と修繕積立金の算出方法の基準や相場、変動の有無、そしてそれらの使い道について解説致します。
監修者:針山昌幸
管理費とは
管理費とは、「マンション共有部の維持管理や運営に充てる費用」のことです。共用施設の維持管理及び運営に掛かる費用はマンションの所有者が共同で負担しなければなりません。管理費の使い道は一般的には以下のようになっています。- 管理員・清掃員の人件費
- 事務管理費(会計処理や、フロントと呼ばれるマンション担当者の費用など)
- 消防設備・エレベーター・建築物などの法定点検費
- 駐車場・宅配ロッカーなどの任意の点検費
- 植栽管理費
- 雑排水管清掃費
- 管理報酬
管理費の相場
結論から申し上げますと、管理費に「相場」というものはあるようで存在しません。 その理由として、マンションが昔の団地のように画一的なものではなく、各デベロッパーが競争を繰り広げる中で、建物の規模から構造・設備やサービスまで千差万別となったという背景があります。 例えば都心で見かける十数戸の小規模なマンションでは、- 駐車場も平置きが1~2台のみ
- 共用の部屋も特にない
- 清掃員がごみの日だけ3時間程度入るのみ
- 機械式駐車場が数百台分ある
- 豪華なパーティールームや来客に使えるゲストルームも設置されている
- 管理員・清掃員だけでなく24時間常駐の警備員やコンシェルジュもいる
管理費削減は可能か?
管理費の削減は、理論上は可能です。管理業務に何かしらの問題がある場合は管理組合の決議によって管理会社の変更をすることができます。少し前から、管理会社の見直しをするマンションが徐々に増えてきました。それに伴い、以前と比べて管理組合コンサルタントも活躍しているようです。管理費というのは、共有部の維持管理及び運営費の総額を各区分所有者が専有部の床面積に応じて分担して支払うものです。ということは、管理業務に掛かる総額の妥当性が問題になります。しかし「安かろう悪かろう」では困りますから、管理会社の業務内容を吟味する必要があります。複数の管理業者から相見積を取ることも大事ですが、その前に管理業務の詳細について勉強し、ある程度の知識を持つことが重要です。そうでなければ、信頼できる会社なのか、そして本当に割安な金額なのか判断できません。一方、管理会社は慢性的な人手不足に悩まされており、最近では管理会社の方から「マンションの管理契約を打ち切りたい」と打診があるマンションも増えてきました。適正なコストを見極めることも大事ですが、しっかりとした管理業務を行ってくれる管理会社と良い関係性を保ち続けることも、これからの時代は大事だと言えるでしょう。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?修繕積立金とは
修繕積立金とは、共有部の修繕に充てるためのお金です。毎月のランニングコストという意味合いの管理費と違って、あくまでも修繕を行うために積み立てるお金であり、必要な事態に備えて管理組合が管理しているお金です。どういう場合に修繕積立金を取り崩して使うのかについては、以下のように管理規約に定められています。※マンション標準管理規約(単棟型)第28条- 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
- 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
- 敷地及び共用部分等の変更
- 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に係る費用
- その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
- 5,000㎡未満 165~250円/㎡ 平均218円/㎡
- 5,000~10,000㎡ 140~265円/㎡ 平均202円/㎡
- 10,000㎡以上 135~220円/㎡ 平均178円/㎡
- 170~245円/㎡ 平均206円/㎡
修繕積立金は値上がりする
新築マンションの分譲時に、修繕積立金が将来的にどう変動するかについて詳しく説明するデベロッパーは少ないようです。先ほど記したように、デベロッパーは販売のしやすさを優先する傾向にあります。なので、修繕積立金の負担にはあまり触れたくないというのが本音です。しかし、大規模修繕工事には多額の費用が必要になります。そして付帯設備や施設が多いほど、定期的なメンテナンスや大規模修繕の費用は膨らんでいきます。つまり共有施設が豪華なマンションであれば、その分だけ後々の修繕積立金が高くなるのを覚悟しておく必要があるということです。特に高くなる要因としては、- タワーマンションである
- 特殊な共用施設がある
タワーマンションの大規模修繕工事
タワーマンションの大規模修繕工事について解説します。大規模修繕工事の機会は少ないため、大規模修繕に詳しい人や理事・委員としての経験者はかなり少なくなってしまいます。金額の規模の非常に大きい工事なので、きちんと進められるタワーマンションとそうでないタワーマンションには後々大きな差が出てきます。数が限られるタワーマンションは、大規模修繕工事においても特殊な点がいくつかあります。居住者の条件の差が大きい
タワーマンションのそもそもの特徴の一つに、一般のファミリーマンションに比べて部屋の条件の差が大きい点があります。最上階と最下階では面積当たりの購入時金額はかなりの差がありますが、通常修繕積立金は純粋に面積当たりで算出するため同一となります。また、部屋のつくりもワンルームタイプから超がつくほど贅沢な100~200㎡以上クラスの部屋までが同じ建物に存在することがほとんどであり、こうしたばらつきの大きい部屋の所有者の合意を図っていくことは、難易度が高い作業となります。外観デザインが複雑
タワーマンションの中には、途中で外観の形状が変化する建物も存在します。このような構造のタワーマンションの場合、修繕の過程でゴンドラの位置を変えたりする必要が生じるため、費用も高くなり、期間も長くなってしまいます。工事期間が長い
一般のマンションの大規模修繕工事の工期はせいぜい半年程度ですが、タワーマンションの場合は「上まで足場を全部かけて作業する」ということができないため、作業が長期化します。様々な工法も研究されてはいますが、現在の技術では2~3年という期間を要することも珍しくありません。費用
工期が長引くということは、それだけ人件費もかさみ高コスト化します。実例から言っても、総額10億円を超える工事となる場合もあり、住民の負担もそれだけ大きいものとなります。特に築の浅いタワーマンションは大規模修繕工事の費用が長期修繕計画にきちんと反映されていないケースがあり、修繕積立金が後で急上昇するリスクもあります。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?修繕履歴と修繕計画は必ずチェックしよう!
中古マンションを購入するのであれば、修繕履歴や修繕計画、修繕積立金の積立総額についてチェックすることをオススメします。修繕履歴をチェックすることで、そのマンションの修繕がしっかりと機能しているか、そして当初の予算と同水準で行われていたのかを確認することができます。また、修繕計画をチェックすることで、今後のマンション運営が計画的に行われていくかを確認することができます。どれくらいの予算で、どのような内容の工事を行うのかは、これから住むうえであらかじめ知っておきたいですよね。また、修繕工事着手にあたっては、お金の問題以外でも、住民にとっては一時的とはいえ、遮光や騒音などの弊害もあります。毎日の生活に関わることですから、必ず確認するようにしましょう。仲介会社の担当者に依頼すれば、修繕履歴と修繕計画の資料を取り寄せてくれます。修繕積立金の積立総額は、売買契約時の重要事項説明書に記載があるので確認できますが、そこまで待たずとも、仲介会社の担当者に依頼すれば、管理会社に問い合わせて取り寄せてくれますので、良い物件に出会ったら、早い段階で依頼するようにしましょう。さらに、チェックすべきポイントとしては、管理費・修繕積立金の「滞納額」です。戸数が100を超えるような大規模マンションの場合、多少の滞納額があることは珍しくない(100世帯のうち、5世帯が支払いを忘れていただけで、10万円ほどの滞納となるため)ですが、この滞納額があまりに多い場合や、少ない戸数で滞納額が膨らんでいる場合などは、将来の大規模修繕の際にお金が足りない!というリスクが非常に高いです。結果として、住民全体への月額費用の値上げという形になり、被害を被ってしまいます。管理費と修繕積立金はどのように管理されるのか
管理費と修繕積立金は、原則的には所有者の集まりである管理組合で管理することになります。しかし、管理会社が管理組合の代わりに出納業務を行うのが一般的である現代のマンションにおいては、間に管理会社が入りながら管理していますが、管理会社による横領などの事故がないよう管理方法に厳密な定めがあります。また、管理組合の口座は一時的に集金したお金を入れる収納口座と、長期的に保管をするための保管口座に分けられ、集金したお金をどのような流れで最終的な保管口座に移すかの違いにより「イ・ロ・ハ」の3つの法的な分類がされています。- (イ)方式…管理費・修繕積立金をまず収納口座に入れ、管理事務に必要な費用を除いた管理費残額と修繕積立金を保管口座に移し替える方式。
- (ロ)方式…修繕積立金は最初から保管口座に入れ、管理費だけ収納口座に入れ、管理事務に必要な費用を除いた管理費残額を保管口座に移し替える方式。
- (ハ)方式…収納・保管口座を兼ねた一つの口座にはじめから管理費・修繕積立金を全て入れ、管理事務に必要な費用は都度支払う方式。
管理費と修繕積立金を滞納するとどうなるのか?
これまで管理費と修繕積立金について説明してきましたが、もしこれを支払わずに滞納するとどうなるのでしょうか。管理組合によっても対応方針が異なりますが、一般的な流れとしてはまず初期段階で書面や電話による督促があり、次の段階で契約している駐車場等の強制解約(※初期段階で行う管理組合もあります)が行われます。それに対する滞納者の対応の仕方にもよりますが、さらに進むと支払督促または少額訴訟という裁判上の制度を利用した制度による差し押さえ、最終的な手段としては管理組合の決議によって滞納者の住戸を競売にかける、というものです。また、中古マンション購入の場合は前の所有者が管理費と修繕積立金を滞納していないか確認することが重要です。法律上、前の所有者の滞納分は新しい所有者にも支払い義務が生じるのです。重要事項説明の中で必ず前の所有者の管理費と修繕積立金の滞納の有無と滞納がある場合はいくら滞納しているのかの説明があります。加えて引き渡し日までの清算がされる場合はその説明もありますので、購入する時に入念にチェックしなければならないポイントの1つです。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?まとめ
管理費は、工夫と努力次第で削減することが可能です。しかし修繕積立金の削減というのは、ほぼ不可能と思っておいてください。冒頭で述べたように、マンションの修繕については区分所有者の責任です。仮に施工不良があったとしても、デベロッパーの瑕疵担保責任の法的な期間は10年と定められています。つまり法律的には10年以内の不具合であればデベロッパーが無償で補修する義務がありますが、それ以降に発生した不具合は区分所有者の負担になるということです。施工上の不具合がなくても、一定年数を経れば何らかの修繕が必要になります。それに、地震や突発的な事故で緊急に修繕が必要になることもあります。修繕積立金はそのための費用をプールするためのものですから、現実的に増額することはあっても削減は不可能なのです。また、近年は首都圏での車離れが加速しているようですが、車を所有している方は管理費と修繕積立金に加えて毎月の駐車場代が必要だということも認識しておきましょう。管理費と修繕積立金の意味や用途の違いを理解して、賢いマンション選びの参考にして頂ければ幸いです!>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
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