中古マンション購入で起こりやすいトラブルと解決策を解説!
2017.05.25
中古マンションを購入するとき、不動産仲介会社が買主・売主との間に入りますが、「個人間の取引」であることに変わりありません。そのため、中古マンション購入においては、予期せぬトラブルが起こりやすくなります。今回は、中古マンション取引のベテランが、中古マンション売買の「現場」で実際に起こりがちなトラブル事例とその対策のために知っておきたい注意点を徹底解説します!
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役 宅地建物取引士・損害保険募集人資格 『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』 (Amazonランキング・ベストセラー1位)
【購入前】内覧時の立ち振る舞いによるトラブル
不動産は、物件価格など「数字」の折り合いだけで取引されるものではありません。買う側、売る側の「感情」も取引に大きく影響します。もし、あなたが理想の物件に出会えたとしても、内覧時の振る舞い方しだいでは売主に嫌われてしまい、お話がなくなってしまう可能性があるのです。例えば、ご近所付き合いを大切にしてきた売主であれば、売却後を考えて信頼できる買主に自宅を引き継ぎたいと考えるはずです。慣れない不動産購入の現場では落ち着きを失ってしまう方も多く、普段は礼儀正しい方でもつい売主に対して失礼な質問をしてしまうことがあります。私が過去に経験した事例をご紹介しますと、- 内覧の際に、この物件の間取りが気にくわない、汚れている、眺望が悪いなど物件の文句を言う
- 売主に「いくらで買ったの?」「いくらまでなら安くしてくれるの?」「売却の理由は?」などを直接質問する
- 売主側の不動産会社に「この物件、本当はいくらだと思う?」などと聞く
【購入前】値引き交渉のトラブル
中古マンションの販売価格は、売主個人が決めます。そのため、交渉しだいでは、値引きを成立させることができます。また、値引きできる金額は、売主の状況次第で変わります。何かの事情で売り急いでいる場合は、数百万単位での金額の大きな値引き交渉も成立することがあります。一般的に受け入れてもらいやすいのは、物件金額の端数部分の値引きです。値引き交渉はトラブルのもとになりやすいので注意が必要です。売主が想定していない「数百万単位での大幅な値引き」を申し込んだり、値引きに応じない売主に対してしつこく値引き交渉を申し込むのはおすすめしません。売主の感情を無視した交渉姿勢では、お話自体がなくなってしまう可能性もあります。値引きできるケース、できないケースがあるので売主の状況を把握しながら慎重に進めていくことが求められます。>>プロが教える中古マンション値引き交渉成功の鍵とは?交渉セリフまで徹底解説【購入前】売買契約でのトラブル
物件を購入する際に売主と交わす売買契約書は、「高額でリスキーな取引を安全円滑に行うために、取引の約束事を事前に取りまとめたもの」です。さまざまな取り決めが盛り込まれている契約書ですが、特にトラブルの元になりやすいのが「締め切り」です。契約書に盛り込まれる4つの締め切りを必ず、契約日前に確認しましょう。>>中古マンション購入の流れ・必要書類まとめ【完全版】①ローン取得期日
ローン取得期日とは、「この日までに必ず住宅ローン本審査を通過してくださいね」という期日です。いつまで経っても買主が審査手続きを行わず、最後まで取引が完了するかどうかいつまでもわからないと売主は非常に不安になります。買主が契約を成立させるためにも、審査通過の締め切りを定めるのです。一般的には「売買契約日から約2週間後」に設定されます。この期日に間に合わない場合、違約金の支払いなどを請求される可能性がありますので、入念にご確認ください。②ローン特約期日
ローン特約とは、「住宅ローンの審査において金融機関からの承認が得られない場合に契約内容を白紙に戻すことができる」という内容の特約です。ローン特約期日とは、そのローン特約を行使できる期限を定めたものです。買主がローンに落ちた場合、ローン特約を使うかどうかを早めに決断してもらわなければ、売却活動が遅れてしまい、売主のリスクになります。一般的にはローン取得期日の2〜3日後に設定されます。③手付解除期日
手付金とは、売買契約時に売主に支払う前払金のようなものです。手付け解除期日とは、「いつまでなら手付金を放棄することにより、契約解除を行えるか」を定めた日時です。手付け金を放棄して売主に譲渡することにより、買主都合による契約のキャンセルを行うことができます。一般的にローン特約期日と同日もしくは次の日などに設定されます。>>>手付金とは?頭金・諸費用との違いから相場、NG事項までプロが徹底解説!④残代金支払い期日
物件価格の残金を支払う締切日のことです。「この日までに必ず代金を払ってくださいね」という締切日です。一般的に、売買契約日から1.5ヶ月後で設定されます。あくまで締切日ですので、代金の支払いはこれよりも前倒しが可能です。実際には、買主のローンの手続きや、売主の退去手続きなどでかなりドタバタしてしまうので、多くの場合、期日ギリギリに行われることになります。残代金の支払日は買主と売主が同席します。お互いのスケジュールがなかなか調整がつかず間に合わないなどのトラブルが発生しやすいポイントです。売主と直接お話ができる売買契約の際に必ず仮置きの決済日の確認をしておきましょう。【購入直後】設備関連のトラブル
設備関連のトラブルは頻繁に起こりますので、注意が必要です。トラブルを避けるためにも、しっかりと確認しておくべき書類が「付帯設備表」です。付帯設備表とは、「売主が買主に引き渡す設備」について記したものです。空室のお部屋を購入した方はそこまで神経質になる必要はありませんが、売主が居住しているお部屋を内覧して購入した方は特に付帯設備表は細かくチェックしましょう。内覧時についていた設備でも「無」とチェックがついたものは引渡し時には撤去されているということになります。その逆もあり、不要な設備でも「有」とされていれば残されています。よく売主・買主の間で話し合いになる設備が「照明器具」と「エアコン」です。この2点が不要な場合は必ず「撤去してほしい」ということを伝えましょう。付帯設備表に「有」とされていると、撤去する場合の費用は買主自身になってしまいます。また、この書類にはもう1つ注意点が潜んでいます。それは「不具合」についてです。この書類には設備の有無以外に「不具合の有無」も記載されています。そのため、「不具合有」と記されているものに関して売主は修理しません。売主は契約時の室内の状況を引渡時まで維持しなければなりませんが、壊れているものを修理する必要はないのです。この「不具合の有無」に関しては空室のお部屋を購入した方も注意しましょう。【購入後】入居後の隣人トラブル
中古マンション購入において、見学(内覧)は大切な機会です。お部屋の実際の雰囲気を確認したり、保存状態や設備の確認、採寸などを行うことができます。また、「売主」と直接会話ができる数少ないチャンスでもあります。中古マンション購入後の後悔として、もっともよく挙げられるのが「騒音」です。「壁の遮音性が低い」、「小さいお子さんの泣き声が、どうしても我慢できなかった」、「生活リズムの合わない隣人がいて、就寝中に生活音がする」などさまざまな理由があります。騒音がひどい場合、生活の質を大きく悪化させます。隣人トラブルを引き起こしたり、最悪の場合はせっかく購入した中古マンションを売却することにも繋がりかねません。入居後のトラブルを避けるためにも、売主には内覧時に必ず下記の内容を確認しましょう。- (売主にお子さんがいる場合)上の階、下の階から騒音で苦情が来たことはないか
- 近所づきあいはあるのか
- 生活音が聞こえてくるのか
- 近所の人たちはどんな人がいるか
株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
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