練馬エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.08.30
練馬エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、練馬エリアをPICKUP。
伝統野菜の練馬大根で知られ23区で公園・緑地数最多を誇るなど、緑豊かなこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る練馬エリア

最高価格:1億円 最低価格:750万円
平均価格帯:約3114万円
販売物件数:89
※2023年8月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉市場全体の54%が築30-50年の築古物件
👉築30-40年は10㎡台の小規模物件が多い
👉物件の多くは駅の南側、豊玉北アドレスに集中

今回は練馬区の練馬エリアをピックアップ。練馬駅を中心に北側に位置する練馬アドレスと南側に位置する豊玉北アドレスで見てみた。西武池袋線・西武有楽町線・西武豊島線・都営地下鉄大江戸線の4路線が利用できる。また、マンションの立地によっては豊島園駅(大江戸線)と新江古田駅(大江戸線)も最寄駅として利用できる。

◾️この街の歴史・街並み・特色
練馬エリアは江戸近郊の農村地帯として発展した。農業面積は東京23区の中で最大の広さを持ち、江戸時代から栽培されてきた練馬大根が有名。現在も収穫量は少ないものの、地域の伝統野菜として生産が続けられている。高度経済成長期を経てからは市街化が進み、住宅街として変貌を遂げた。景勝地である石神井公園をはじめ本エリアは公園や緑地が23区の中で最も多い緑豊かな街である。また、豊島園駅周辺には練馬白山神社や寺院が複数点在しており、駅周辺は閑静な住宅街が広がっている。2020年8月に閉園した老舗遊園地「としまえん」の跡地には、2023年6月にハリーポッターの世界観を描いた「ワーナーブラザース スタジオツアー東京」のテーマパークがオープンしている。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアは築30-50年の築古物件が多く市場全体で54%を占める。築30-40年の平均価格が1410万円と他の築年数と比べて極端に低い理由は、10㎡台のシングル向け物件が多いため。売出物件の多くは駅の南側・豊玉北アドレスに集積しているが、これは駅の北側(練馬アドレス)の大部分が小学校や中学校、神社仏閣や公園などの緑地となっているためである。売り出されている物件面積は10〜70㎡まで大きな偏りはないが、70㎡以上の物件は僅少だ。もともと23区では抑えめではあるが、築20-30年のレンジ以降は平米単価が80万円台以下とさらにリーズナブルに。築30年以上の平均平米単価をみると、築30-40年の平米単価は64万円/㎡、築50-60年は70万円/㎡と60〜70万円/㎡台で安定している。同じく子育て環境の整う大田区大森エリアの価格傾向と比べてみると、練馬のお買い得感は明白だ(大森:築30-40年は82万円/㎡、築50-60年は81万円/㎡)。大森はより都心部や空港への交通利便に優れているぶんが価格に反映されている。都内でも価格を抑えながら整った子育て環境を求める人、緑に触れながらのびのび育つ教育環境を求める人は、練馬を検討してみてもよいだろう。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
練馬駅周辺は再開発促進地区に指定されているが、大規模な街を改変するような再開発計画は現状公表されていない。また、都営大江戸線が通る練馬区では、終点となる光が丘駅から練馬区大泉学園方面に向かって(仮称)土支田駅、(仮称)大泉町駅、(仮称)大泉学園町駅の3つの新駅を整備する「大江戸線の延伸」が計画されている。開業日程は未定であるが、この延伸ルートが実現すれば練馬区での鉄道空白地域の改善や所要時間の短縮につながることが期待されている。

◾️この街の住みやすさ
4路線が利用できる練馬エリアは、有楽町線を使えば渋谷駅と池袋駅まで約30分、大江戸線を使えば新宿三丁目駅まで約20分と主要駅までの交通利便性は良好だ。駅の周辺にはライフ、西友、まいばすけっと、業務スーパーと4つのスーパーがあり日常での買い物は駅前で済ませることができる。さらに大型スーパーLIFE(25時営業)や薬局Tomod’s、認定保育所やキッズクリニックが揃った「Coconeri(ココネリ)や、カフェ・飲食店やコンビニを利用できる「エミオ練馬」の複合型商業施設が練馬駅に直結しており、日用品の買い物に重宝できる。練馬駅北口から5分歩くと、西武池袋線の線路沿いには大門通り商店街がある。飲食店のほかにワンコインつり堀や銭湯、総合格闘技のジムなど一見変わった珍しい個人商店が並んでおり、散策を楽しめる。練馬駅北口には、多目的ホール、ギャラリー、集会室などを併設した「練馬文化センター」があり、コンサートやバレエ、演劇などが鑑賞できる文化発信拠点となっている。練馬駅の南口を出ると、千川通り沿いには練馬区のランドマークでもある「練馬区役所」の高層庁舎があり、練馬区の中枢として機能している。豊島園駅からすぐの場所には、映画館の「ユナイテッド・シネマとしまえん」や天然温泉・プールが楽しめる「豊島園 庭の湯」など大人から子どもまでが楽しめるスポットがあるのも嬉しい。また、石神井川沿いに位置する「石神井公園」ではボート遊びを楽しめる他、春には花見をしたり秋には紅葉スポットとして四季を満喫できる。練馬駅から3駅にのところに位置する光が丘駅(大江戸線)から徒歩8分ある場所には、野球・サッカー場やテニスコートなどが備える「光が丘公園」があり、子どもを連れて体を動かしたり思いっきり遊べることはファミリーにとっても嬉しい。さらに練馬区は、「第3子誕生祝金」などの子育て支援も手厚く、犯罪発生率も低水準を維持しているなど、子育て環境が整っている。子育て世帯に人気の区ではあるが、令和3、4年に続き待機児童ゼロを3年連続で達成しており、教育環境を重視するファミリーにおすすめだ。今後計画されている大江戸線の延伸によって鉄道空白地域の改善や都内主要駅まで移動にかかる所要時間の短縮が見込まれ、交通利便性の向上にも期待できる。「今が買い時」といえるエリアだ。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築20年のディアマークスキャピタルタワーは、2022年7月には127万円/㎡から徐々に下落傾向に転じ、2023年8月現在は平米単価106万円/㎡に。築47年の桜台フラワーホームは、2022年4月から2023年3月まで平米単価40〜44万円/㎡台を維持。その後2023年5月には36万円/㎡まで下落したものの、再び上昇傾向に転じ、2023年8月現在は平米単価54万円/㎡に。築51年の豊玉東豊エステートは、2022年11月に48万円/㎡から12月には56万円/㎡まで上昇。2023年3月には49万円/㎡まで下落。翌月には50万円/まで上昇したものの、その後は下落が続き2023年8月現在は平米単価47万円/㎡で推移しています。

👉ディアマークスキャピタルタワー(総戸数286、2001年竣工)
👉桜台フラワーホーム(総戸数93、1976年竣工)
👉豊玉東豊エステート(総戸数52、1972年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

マンションジャーナル/カウルでは、公式メルマガを配信中。メルマガ会員になると、週に一度さまざまな連載コンテンツを受け取れるほか、お好きなエリアの最新トレンドデータがいつでもご自分でチェックできる「市況トレンドデータ powered by Housmart,Inc」を利用できます。
ぜひ住宅購入や住み替えのための情報収集、希望エリアや住まいの資産価値のチェック等にご利用ください!

市況トレンドデータ powered by Housmart,Incの画面イメージ

▲右上の「郵便番号エリア」を変更することで、任意のエリアの物件データを確認することができます

カウルメルマガ登録

株式会社Housmart
株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部

「Housmart(ハウスマート)」が、購入や売却に必要な基礎知識・ノウハウ、資産価値の高い中古マンションの物件情報詳細、ディベロッパーや街などの不動産情報をお届けします。