大森エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.07.26
大森エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、大森エリアをPICKUP。
教科書にも掲載される大森貝塚で知られるこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る大森エリア

最高価格:1億5480万円 最低価格:890万円
平均価格帯:約4434万円
販売物件数:128
※2023年7月現在




↑ 平均価格と売出戸数




↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件は多め、市場の30%が築40-50年の築古
👉平米数は20〜70㎡を中心に幅広く揃う
👉築10年未満は、70〜80㎡台の億ションが価格を押し上げ

今回は、大田区の大森エリアをピックアップ。大森北と山王の2アドレスで見てみた。最寄駅は、大森駅(JR京浜東北線)が最寄駅となる。また、大森駅から大森海岸駅(京急本線)まで徒歩10分程度でアクセスできる。

大森エリアは海岸線に近い立地から漁業が盛んだった地域であり、海苔養殖の発祥地としても知られている(※その後埋立地の造成に伴い1962年に漁業権を放棄、現在養殖は行われていない)。大正時代以降では工業地帯として発展し、跡地には住宅街や商業施設が並ぶようになった。大森駅の西側に位置する山王エリアは坂が多く、閑静な住宅街が広がっている。ここは官営鉄道(現・JR東海道線)が開通した1880年代後半ごろから実業家や政治家が別荘や住宅を構えていた。当時は郊外随一の遊園地として知られた「大森八景園」もあるなど、上流階級が集うエリアとして繁栄した。その後、大正後期から昭和初期にかけては多くの芸術家が居住したことから「馬込文士村」とも呼ばれるように。時代ごとに知識人層が文化を育んできた歴史ある街だ。

本エリアの売出物件は多めで、市場全体の30%を築40-50年の築古物件が占める。物件面積は50〜60㎡を頂点として20〜70㎡を中心に幅広く揃う。築10年未満の物件は平均価格が6000万円超えであるが、これは山王エリアにある70〜80㎡台の億超え物件が平均価格を押し上げている形。売出物件全体をアドレス別に見ると、それぞれ平均平米単価は大森北が85.3万円/㎡に対し、山王は81.5万円/㎡で山王の方が割安。高級住宅街である山王の平米単価が大森北よりも割安である背景として、山王エリアには築50-60年の物件が大森エリアより多く存在し、価格が2000万円台の物件が多く含まれることなどが影響している。

平均価格・最高価格・最低価格は豊島区の駒込・巣鴨エリアと似ているが、築古物件の価格傾向に差が見られる。駒込・巣鴨エリアの売出物件の構成をみると、築30-40年の平米単価は91万円/㎡、築50-60年には62万円/㎡と7割以下にまで下がる。これに対し、大森エリアは築30-40年が82万円/㎡、築50-60年が81万円/㎡と、築年数を経ても安定している。

本エリアでは、大森駅の西口東口それぞれの再開発が進んでいる。西口は、一連の再開発の取り組みに対して「八景ルネッサンス」と名付け、歴史・文化を活かした大森八景坂にふさわしいまちのイメージづくり、駅周辺の交通利便性の向上、地権者が共存できるまちづくりの3つをテーマとして、まちづくりを進めている。東口は車両や歩行者の交通整備に加えて、商業地としての賑わいのあるまちづくりや緑を活かした駅周辺の景観整備などを目標に、2040年頃の竣工を見据えて再開発計画が進んでいる。また、大森駅東口から徒歩3分の場所には地上24階の新築マンション、ザ・パークハウス 大森タワーが三菱地所レジデンスによって2024年12月に竣工予定。さらにワンランク上の住宅地として発展が見込めそうだ。

大森駅周辺は、東西で異なる雰囲気を持っているのが特徴だ。西口側は通称「地獄谷」と呼ばれる飲み屋街である「山王小路飲食店街」など、昔ながらの商店街や飲食店が揃っている。東口側は再開発による商業ビルが立ち並んでおり、駅直結ビルにはアトレが入る。その他にも「大森銀座商店街(Milpa)」 やイトーヨーカ堂、西友など大〜中規模スーパーもあり、日常生活においての買い物利便性は抜群だ。品川駅(JR京浜東北線)まで2駅6分、上野・東京駅、横浜駅までも乗り換えなしで30分弱でアクセスができる。また、東口からバスを使えば羽田空港まで約40分、京急線が通る大森海岸駅からは電車で約15分程度で行くことができるため、出張が多い人や空港に勤める方向けには嬉しい。大森エリアは線路沿いに大井水神公園、大森海岸駅周辺にはアスレチックやスポーツ施設が充実している平和の森公園があり、子どもから大人まで楽しめる。交通利便、買い物利便、公園などの自然環境も揃った大森エリアは単身者からファミリーまで暮らしやすい街。再開発で今後の発展も期待でき、大井町駅・蒲田駅に挟まれて注目度は低いが、前述のグラフを見てもわかる通り平米単価が都内価格で見ると比較的抑えめであるのと、築年数が経っても価格が安定している(同じ周辺湾岸エリアとして、品川シーサイドエリアの価格と比較されるとわかりやすい)。まさに今がお買い得といえるエリアなので、暮らしやすさと交通利便性を兼ね備えたエリアで探している人にはおすすめ。今のうちに物件情報をチェックしておきたい。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築20年のFeel S大森は、2023年3月から4月まで平米単価110万円/㎡台で維持。その後、2023年5月には98万円まで下落し、2023年7月現在は平米単価97万円/㎡に。築28年のエンゼルハイム大森第7は、2023年3月に90万円から4月には96万円まで上昇。2023年6月には88万円台まで下がったものの、2023年7月現在では平米単価93万円/㎡にまで復活。築53年の山王スカイマンションは、2021年5月の55万円から2022年8月には47万円台まで下落。2022年9月には49万円まで一時上昇したものの、再び下落を続け、2023年7月現在は平米単価44万円/㎡で推移しています。

👉Feel S大森(総戸数45、2003年竣工)
👉エンゼルハイム大森第7(総戸数105、1995年竣工)
👉山王スカイマンション(総戸数87、1970年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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