2022年・都内公立小学校人気ランキング50位発表!マンション価格上昇と相関関係はあるか?
お子さんを公立小学校に通わせたい、と考えた時に問題にあがるのが「学区」の話。我が子により良い教育環境を、と引っ越しを検討中のご家庭も多いでしょう。
家を買うなら、将来的な「住み替え」を想定して、教育環境だけでなく資産価値も考えて物件を選びたいもの。お子さんの独立はもちろんご自身やパートナーの転勤・転職など、ライフステージの変化によって最適な住まいは変わります。「売れる」物件でないと、最適な家に自由に住み替えることが難しくなります。
今回マンションジャーナルでは、①区ごとの公立小学校卒業生の国立・私立中学校への進学率 ②独自データから人気学区ランキング50位 ③学区ごとの中古マンションの値上がり率ランキング を独自に算出。
果たしてより良い「教育環境」を求めた場合、どこを見て買うのが正解なのでしょうか? 学区人気は資産価値に影響するのか?・・・ぜひ将来を見据えてマンションを買うときの参考にしてみてください。
国立・私立中学校への進学率ランキング
教育環境を推しはかる基準の一つとしてしばしば参照されるのが、卒業後の進学先。まずは東京23区ごとの公立小学校の卒業生(進学者)の国立・私立中学校への進学率を見てみましょう。2022年10月末、東京都教育委員会から発表された都内公立小学校の教育環境状況を伺えるデータの一つ、令和4年度 公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和3年度)の進路状況調査編】から算出しています。
都内にある公立小学校を卒業し進学を選んだ生徒のうち、国立・私立中学校に進学する生徒は、東京23区全体平均では29%。トップをいく文京区は、なんと51.4%。2人に一人は私立に進む計算です。2位以下の区は僅差で毎年入れ替わっていますが、文京区は毎年2位以下に数ポイント差をつけて、例年トップを走り続けています。
文京区がここまで他の地域に差をつけているのには、理由があります。文京区は、日本が誇る最高学府である東京大学を筆頭に、国立・私立大学からその付属幼稚園まで、名門とささやかれる教育機関が多数集積しているエリア。文教地区に指定されている地域が多いこともあり、落ち着いた住環境が醸成されています。そのため文京区で子育てをしたい、と考える親御さんが後を絶たず、教育熱心な家庭が多くなっているのです。
>>文京区の名門公立小学校「3S1K」とは?学区内のおすすめマンションと探し方
もちろん、国立・私立に通う家庭の比率が高いことが必ずしも教育環境の良さを示すとは言い切れませんが、中学受験を視野に入れて学習に励んでほしいと思う親御さんにとって同じような家庭環境のお子さんが多ければ、情報交換やモチベーション維持の側面などなにかとプラスに働くことも多いでしょう。
2022年東京23区公立小学校人気ランキング!TOP50を発表
では、次に具体的に学校ごとの人気も見てみましょう。中古マンションの購入・売却ができるアプリ「カウル」では、学区から中古マンションを検索することができます。そこで、物件の希望条件として設定された学区データから、人気学区をランキングにまとめました。上位50位がこちらです。
順位 | 学校名 | エリア | 値上がり率 |
---|---|---|---|
1 | 文京区立誠之小学校 | 文京区 | 27.89% |
2 | 文京区立窪町小学校 | 文京区 | 28.20% |
3 | 文京区立昭和小学校 | 文京区 | 19.05% |
4 | 文京区立千駄木小学校 | 文京区 | 26.96% |
5 | 千代田区立番町小学校 | 千代田区 | 22.06% |
6 | 港区立白金小学校 | 港区 | 31.17% |
7 | 千代田区立麹町小学校 | 千代田区 | 28.48% |
8 | 目黒区立東山小学校 | 目黒区 | 28.53% |
9 | 品川区立第三日野小学校 | 品川区 | 30.86% |
10 | 港区立青南小学校 | 港区 | 27.66% |
11 | 千代田区立九段小学校 | 千代田区 | 23.52% |
12 | 中央区立久松小学校 | 中央区 | 18.29% |
13 | 文京区立第六中学校 | 文京区 | 26.84% |
14 | 品川区立御殿山小学校 | 品川区 | 30.79% |
15 | 千代田区立麹町中学校 | 千代田区 | 23.88% |
16 | 文京区立本郷小学校 | 文京区 | 22.38% |
17 | 世田谷区立桜町小学校 | 世田谷区 | 22.18% |
18 | 港区立笄小学校 | 港区 | 26.24% |
19 | 世田谷区立明正小学校 | 世田谷区 | 14.37% |
20 | 文京区立湯島小学校 | 文京区 | 18.77% |
21 | 港区立東町小学校 | 港区 | 20.57% |
22 | 板橋区立金沢小学校 | 板橋区 | 32.14% |
23 | 品川区立日野学園(小学校) | 品川区 | 23.18% |
24 | 港区立御成門小学校 | 港区 | 21.53% |
25 | 大田区立山王小学校 | 大田区 | 20.83% |
26 | 千代田区立富士見小学校 | 千代田区 | 27.10% |
27 | 港区立赤羽小学校 | 港区 | 28.64% |
28 | 世田谷区立松丘小学校 | 世田谷区 | 24.25% |
29 | 港区立白金の丘学園白金の丘小学校 | 港区 | 26.28% |
30 | 目黒区立大岡山小学校 | 目黒区 | 26.18% |
31 | 川崎市立土橋小学校 | 川崎市 | 25.71% |
32 | 港区立高輪台小学校 | 港区 | 24.61% |
33 | 港区立南山小学校 | 港区 | 18.11% |
34 | 品川区立芳水小学校 | 品川区 | 16.03% |
35 | 中央区立日本橋小学校 | 中央区 | 19.19% |
36 | 江戸川区立清新第一小学校 | 江戸川区 | 16.15% |
37 | 江戸川区立清新第一中学校 | 江戸川区 | 16.70% |
38 | 川崎市立宮前平小学校 | 川崎市 | 23.47% |
39 | 台東区立蔵前小学校 | 台東区 | 22.56% |
40 | 千代田区立昌平小学校 | 千代田区 | 17.55% |
41 | 大田区立田園調布小学校 | 大田区 | 25.06% |
42 | 江東区立豊洲北小学校 | 江東区 | 32.49% |
43 | 江東区立明治小学校 | 江東区 | 29.42% |
44 | 千代田区立お茶の水小学校 | 千代田区 | 22.85% |
45 | 品川区立第二延山小学校 | 品川区 | 15.78% |
46 | 文京区立金富小学校 | 文京区 | 25.95% |
47 | 文京区立根津小学校 | 文京区 | 31.65% |
48 | 文京区立小日向台町小学校 | 文京区 | 25.12% |
49 | 世田谷区立八幡小学校 | 世田谷区 | 25.11% |
50 | 港区立芝小学校 | 港区 | 18.48% |
※2022年11月1日時点で販売されている中古マンションが10棟以上ある学区のみをランキング化、10棟に満たない学区は除外して算出
上位4位を占めるのは、通称「3S1K」と呼ばれる文京区の名門公立小学校。5位以降も千代田区の番町小学校(5位)と麹町小学校(7位)、港区の白金小学校(6位)、青南小学校(10位)、目黒区の東山小学校(8位)など・・いずれも名門とされる小学校の顔ぶれです。
また、日野学園(品川区)や白金の丘学園 白金の丘小学校(港区)など、近年注目を集めている小中一貫校の名前も挙がっています。
>>千代田区の人気公立小学校学区のマンションと探し方を紹介
>>【青南・番町・白金】東京の3大名門公立小学校の魅力とは?
そして注目したいのは、一番右の列。こちらは、各小学校の学区内にある中古マンションごとの価格を2022年11月と2019年で比較し、その値上がり幅を%で表したものです。(※各学区内の中古マンションをそれぞれマンションごとに個別で値上がりを算出し、学区ごとに平均を算出しています。また、売出件数が僅少であるエリアは除いています)
私立と異なり通学区が決まっている公立小学校は、もしも通学を希望する学校がある場合、その通学区内もしくは該当区内に住む必要があります。そのため、巷で「名門」とされる小学校や、最新設備を持っていたり先駆的な教育方針を掲げる小学校は人気が高く、結果的に該当学区内のマンションは需要と供給のバランスから高価格帯になります。
今回のランキングを見ると確かに人気学区は、値上がり幅も大きい傾向が全体的に見受けられます。ですが、マンションの資産価値という観点で見ると、人気があればあるほど値上がり幅も大きいわけではなさそうです。
実は1位の文京区立誠之小学校は、5位にランクインしている千代田区立番町小学校の3倍以上の人気があります。6位の港区立白金小学校と比較すると5倍以上。一方で、その圧倒的人気と比較して値上がり率の幅は呼応しているとは言えません。
東京23区公立小学校区「中古マンション値上がり学区ランキング」
では今度は、値上がり幅が大きい学区順に並べてみるとどうでしょうか。
先述の方法と同じ方法で、東京23区公立小学校区内の「中古マンション値上がり学区ランキング」を出してみましょう。
順位 | 学校名 | エリア | 値上がり率 |
---|---|---|---|
1 | 江東区立第二辰巳小学校 | 江東区 | 38.46% |
2 | 世田谷区立東深沢小学校 | 世田谷区 | 35.77% |
3 | 練馬区立富士見台小学校 | 練馬区 | 35.23% |
4 | 葛飾区立宝木塚小学校 | 葛飾区 | 35.12% |
5 | 足立区立北三谷小学校 | 足立区 | 35.05% |
6 | 江東区立枝川小学校 | 江東区 | 34.91% |
7 | 世田谷区立若林小学校 | 世田谷区 | 33.40% |
8 | 墨田区立中和小学校 | 墨田区 | 33.28% |
9 | 世田谷区立深沢小学校 | 世田谷区 | 32.70% |
10 | 板橋区立志村第一小学校 | 板橋区 | 32.69% |
11 | 江東区立豊洲北小学校 | 江東区 | 32.49% |
12 | 板橋区立金沢小学校 | 板橋区 | 32.14% |
13 | 足立区立渕江小学校 | 足立区 | 32.08% |
14 | 目黒区立碑小学校 | 目黒区 | 31.91% |
15 | 江東区立豊洲小学校 | 江東区 | 31.89% |
16 | 港区立港南小学校 | 港区 | 31.74% |
17 | 文京区立根津小学校 | 文京区 | 31.65% |
18 | 港区立御田小学校 | 港区 | 31.51% |
19 | 文京区立林町小学校 | 文京区 | 31.50% |
20 | 葛飾区立よつぎ小学校 | 葛飾区 | 31.46% |
21 | 渋谷区立鳩森小学校 | 渋谷区 | 31.32% |
22 | 渋谷区立上原小学校 | 渋谷区 | 31.22% |
23 | 港区立白金小学校 | 港区 | 31.17% |
24 | 品川区立第三日野小学校 | 品川区 | 30.86% |
25 | 品川区立立会小学校 | 品川区 | 30.83% |
26 | 江東区立第二亀戸小学校 | 江東区 | 30.80% |
27 | 品川区立御殿山小学校 | 品川区 | 30.79% |
28 | 豊島区立池袋第一小学校 | 豊島区 | 30.50% |
29 | 新宿区立江戸川小学校 | 新宿区 | 30.43% |
30 | 江東区立元加賀小学校 | 江東区 | 30.04% |
31 | 江東区立小名木川小学校 | 江東区 | 29.86% |
32 | 墨田区立外手小学校 | 墨田区 | 29.68% |
33 | 世田谷区立塚戸小学校 | 世田谷区 | 29.46% |
34 | 江東区立明治小学校 | 江東区 | 29.42% |
35 | 世田谷区立中丸小学校 | 世田谷区 | 29.21% |
36 | 杉並区立大宮小学校 | 杉並区 | 29.10% |
37 | 墨田区立柳島小学校 | 墨田区 | 29.00% |
38 | 足立区立千寿小学校 | 足立区 | 28.72% |
39 | 世田谷区立山崎小学校 | 世田谷区 | 28.68% |
40 | 杉並区立西田小学校 | 杉並区 | 28.67% |
41 | 世田谷区立経堂小学校 | 世田谷区 | 28.65% |
42 | 港区立赤羽小学校 | 港区 | 28.64% |
43 | 品川区立小山小学校 | 品川区 | 28.63% |
44 | 世田谷区立武蔵丘小学校 | 世田谷区 | 28.56% |
45 | 目黒区立東山小学校 | 目黒区 | 28.53% |
46 | 千代田区立麹町小学校 | 千代田区 | 28.48% |
47 | 世田谷区立船橋小学校 | 世田谷区 | 28.36% |
48 | 葛飾区立川端小学校 | 葛飾区 | 28.35% |
49 | 文京区立青柳小学校 | 文京区 | 28.32% |
50 | 大田区立松仙小学校 | 大田区 | 28.31% |
値上がり率順に並べてみると、全体的に先ほどの人気ランキングと顔ぶれがガラリと変わったことがわかるのではないでしょうか。江東区を中心に再開発の影響も見られます。
1位に輝いた第二辰巳小学校(江東区)は、アップルタワー東京キャナルコート、Wコンフォートタワーズ、キャナルファーストタワーなど、東雲のタワーマンション群の学区域。辰巳は今後都営団地の建て替え計画も上がっており、今後の発展性が期待されるエリアです。また、6位の枝川小学校(江東区)は、東京メトロ有楽町線(豊洲−住吉)の延伸で(仮称)枝川駅が新設される計画があるエリアです。
(※同じ丁目や番地の隣り合うタワーマンション同士であっても、学区が異なる場合があります。事前によく確認しましょう)
値上がりと直接関係しているかは難しいところですが、4位の宝木塚小学校(葛飾区)は、令和9年度を目指して改築工事が予定されています。5位の北三谷小学校(足立区)は大規模改修が行われている最中。
再開発によって大規模マンションが建設され人口が増えると、校舎が増設されたり、場合によっては学校が新設されます。建て替えに伴い先進的な教育環境にリニューアルされれば、人気学区として注目されるようになることもあります。
逆に、先ほど見た学区人気ランキング上位のエリアは、すでに十分高値であるために今回値上がり幅が比較的小さいという結果になった、ともいえます。
今後、子どものための教育環境選びはどう考えるべきか?
住まいを購入するということは、賃貸と異なり家賃が掛け捨てにならず資産をもつということになります。教育環境としても、資産価値としても、両面から見て価値が高いとされるエリアを長期的な投資視点で選んで住み替えていく。そんな購入と売却の「住み替え」スキル、いわば住宅への投資スキルが今後は問われていきそうです。
国立・私立中学校への進学率は23区全体で年々上昇しています。令和2年度の発表データと最新の令和4年度のデータを比較すると、全体平均で2.1%も上昇していました(※)。
(※令和2年度:27.5%→令和3年度:28.7%→令和4年度:29.6%。「令和4年度 公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和3年度)の進路状況調査編】」より)
私立中学校は公立の約2.7倍の学費がかかるという調査結果もあります(文部科学省)。学費は短期的なものではなく数年にわたりかかってくるものですから、一定の将来的な需要が見込めてかつ地域的に教育環境が良いとされている学区や教育支援に力を入れている市区町村に住まいを探して引っ越す、というのも手かもしれません。
そこで次回は、公立中学校の人気ランキングと価格伸長率を算出してみます。
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マンションジャーナル編集部
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