港南エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

2023.11.24
港南エリアの中古マンション市況|トレンド分析 “住宅購入市場のいま”

いつどこで売り出されるかわからない中古マンション。
現在、どこのエリアでの売り出し物件数が多いのか。価格として手堅いのはどのエリアなのか・・etc.
住宅購入市場におけるトレンドを、毎回1エリアにフォーカスして数値ベースで考察します。
「今から買うべきエリア」を探している方はもちろん、「今購入を検討しているエリアを買うべきか」を考える参考値にもなるはず。

今回は、港南エリアをPICKUP。
品川駅東側、レインボーブリッジを望むウォーターフロントに位置し、ラグジュアリータワマンが立ち並ぶこのエリア。その不動産マーケットは今、どうなっているのか?
売り出し物件数と平米単価から分析してみます。

データで見る港南エリア

最高価格:3億4300万円 最低価格:4700万円
平均価格帯:約1億2888万円
販売物件数:103
※2023年11月現在




↑ 平均価格と売出戸数



↑ 平均価格と平均平米単価


このエリアを一言で

👉売出物件は多め、市場全体の82%が築10-20年
👉平米数は50〜100㎡台を中心に70〜80㎡台が最も多い
👉築10-20年の多くは港南3丁目・4丁目に集積

今回は、港区の港南エリアをピックアップ。港南アドレスはJR品川駅の東口に接する。エリア内にはビッグターミナルである品川駅のほか、高輪ゲートウェイ駅(JR)、天王洲アイル駅(りんかい線、東京モノレール)の3つの駅が最寄りとなる。
                                                
◾️この街の歴史・街並み・特色
港南エリアは、1912年の隅田川口改良工事で埋め立てられた。当該エリアでは、2000年代にタワーマンションの建設ラッシュが起こり、大規模タワーマンションや商業施設が立ち並ぶようになる。2003年には東海道新幹線品川駅が開業し、都内有数のビジネス街として発展を遂げた。

◾️中古マンションの売り出し状況
本エリアの売出物件は多めで、築10年以下と築40-50年の物件はほとんどない。築10-20年の中古マンションは総戸数が3桁〜4桁の大規模マンションだ。とりわけ本エリアのランドマークタワーマンションである「ワールドシティタワーズ」が、現時点での最高売り出し価格である130㎡超・3億円超の物件をはじめ売出物件数の大部分を占めており、平均価格を押し上げている。また、築10-20年の物件数が市場全体で82%と最も多い理由は、当該エリアで2000年代に大規模タワーマンションの建設ラッシュが起こったため。物件面積は50〜100㎡台がメインで、特に70〜80㎡台のファミリー向け物件が多く、単身者向けはほとんど売り出しがない。築20-30年は、50㎡台の物件も何件か売り出しがある。築10-20年の売出物件は、港南3丁目・4丁目に集まっている(中古マンション売出物件MAPを参照)。隣接する同じく港区湾岸タワマンエリアである芝浦と比較しても、港南の高価格帯ぶりは際立っている(芝浦は平均価格帯:約8220万円)。本エリアの中でも、「ワールドシティタワーズ」は「アクアタワー」、「キャピタルタワー」、「ブリーズタワー」の3棟で構成され総戸数2,090戸という圧倒的なスケールを誇り、売出物件の平均価格が1億5590万円と軍を抜いて高値となっている。

◾️今後の発展の見込み、再開発予定
当エリアでは、品川駅周辺でまちづくりの取り組みを含め3つの大規模再開発が複数進んでいる。2020年に策定された「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2020」では、駅の乗り換えや駅と周辺地区との歩行者ネットワークに加えて国際競争力を高めるまちづくりの取り組みが進んでいる。品川駅の再開発では、品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線の始発駅として、2027年の開業を目指して工事が進行中だ。港南3丁目地区では、大和ハウス工業株式会社が推進する「(仮称)港区港南3丁目計画新築工事」により、地上28階建の賃貸タワーマンションが2022年2月に着工、2025年1月に竣工予定。この再開発と並行して、JR品川駅から徒歩圏内の場所には、データセンターや物流施設​​「DPDC(ディープロジェクト・データセンター)品川港南サイト」が2022年8月から建設中、2024年に竣工の見込みだ。高輪ゲートウェイ駅に近い港南2丁目周辺では、JR東日本株式会社と日鉄興和不動産株式会社が推進する「品川駅北周辺地区市街地再開発事業」が進行している。区画4-2B(宿泊施設、店舗)と区画4-2C(事務所、住宅、店舗)の2区画に分かれ、それぞれ2029年と2031年に竣工する予定だ。

◾️この街の住みやすさ
本エリアは、都内屈指のターミナル駅である品川駅を利用できるため交通利便性は抜群。天王洲アイル駅(りんかい線)を利用すれば、渋谷駅まで約16分、新宿駅まで約20分と乗り換えなしでアクセスできる。また、羽田空港まで約20分(東京モノレール)で行くことができるため、出張が多い人にとっても通勤しやすい。駅周辺には、生活利便施設も揃う。品川駅の東口から徒歩約15分の場所には「マルエツ プチ 港南シティタワー店」や、天王洲アイル駅から徒歩5分の場所には「マルエツ 港南ワールドシティ店」の24時間営業のスーパーがあり、仕事帰りの買い物などに利用することができる。品川駅の南口から徒歩1分の場所には、「アトレ品川」のショッピング施設や、3階には「クイーンズ伊勢丹 品川店」があり高品質の食材が手に入る。品川駅から徒歩約13分のところには、遊具と多目的広場が備わった「港南公園」があり、子どもたちが気軽に身体を動かしながら遊ぶことができる。品川駅から徒歩約10分の場所には「芝浦中央公園」や、天王洲アイル駅から徒歩約13分の場所には「港南緑水公園」がある。どちらの公園も遊具や花壇、ドッグランが備わっているため子連れファミリーやペットを飼っている人たちにとっても自然を楽しみながら散歩や運動できる。

都心とレインボーブリッジの景色を一望できる港南エリア。交通利便に優れた品川駅が近く、駅周辺には買い物施設や公園も充実しており、高い生活利便性とステータスを享受できる。2025年3月にまちびらき予定の場「TAKANAWA GATEWAY CITY」など品川駅周辺で進む再開発によって、街としての価値の維持・向上に期待ができる。大規模タワーマンションが大多数を占めるエリアなので、どのマンションを選ぶかという点に加えて、そのマンション内のどの住戸であるかも眺望や日当たりなど居住性や価格に大きく影響する。内覧時によく確認したり、目当てのマンションを決めたら買い逃さないようにこまめに売り出し状況をチェックするなど、入念な準備をして意思決定したい。


エリア内のマンション・平米単価と販売戸数の推移

現時点で売り出し件数が多い中古マンションの平米単価と販売戸数の推移を見てみました。

築15年のシティータワー品川は、2022年10月の103万円/㎡から徐々に上昇し始め、2023年4月には112万円/㎡まで上昇。その後、下落傾向に転じ2023年6月から2023年8月まで107〜108万円/㎡、2023年9月には一時111万円/㎡まで上昇したものの、2023年11月現在は平米単価109万円/㎡台に。築18年のコスモポリス品川は、2023年1月に120万円/㎡から2023年4月までに141万円まで上昇。その後、下落傾向に転じ2023年9月には126万円/㎡まで下落、2023年11月現在は平米単価131万円/㎡で推移しています。築18年のワールドシティータワーズアクアタワーは、2023年1月時点で168万円/㎡から下降を続け、2023年7月に149万円/㎡まで下落。その後、2023年9月には162万円/㎡まで上昇。その後も右肩上がりを維持し、2023年11月現在は平米単価187万円/㎡台に。

👉シティタワー品川(総戸数828、2008年竣工)
👉コスモポリス品川(総戸数590、2005年竣工)
👉ワールドシティタワーズアクアタワー(総戸数1038、2005年竣工)

気になるあのエリアの最新市況データを見る方法

連載「トレンド分析 “住宅購入市場のいま”」では、今回のように毎回1エリアをPICKUPして、その売り出し状況を深堀していきます。

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