中古マンションのメリット・デメリットをプロが解説|失敗しない中古マンション購入
2016.08.15
新築マンションに比べて比較的価格がリーズナブルな中古マンション。年々、中古マンション購入検討者は増加傾向にあります。一方で、中古マンションならではの難しさや知っておきたい注意点もあります。今回は、中古マンション購入を考えている方に向けて、中古マンションならではのメリット・デメリットを徹底解説します。後半ではデメリットの回避策も紹介しているので、ぜひ最後まで読んで中古マンション購入の参考にしてみてください。
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役 宅地建物取引士・損害保険募集人資格 『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』 (Amazonランキング・ベストセラー1位)
中古マンションのメリット
注目を集める中古マンション。一体、どんな魅力があるのでしょうか?価格がリーズナブル
中古マンションの魅力の1つ目は、なんといっても新築マンションと比べて価格が安いということです。一般的に築10年の中古マンションの場合、新築マンションの7〜8割程度の価格で購入することができます。築10年であればまだまだ設備としては古びておらず、クリーニングやクロスの張替えをするだけで、新築のような仕上がりにすることができます。幅広い選択肢から選ぶことができる
新築マンションの場合、選べるマンションの数は限られています。希望のエリアがある程度決まっている場合、検討できるマンションが1〜2物件しかないこともめずらしくありません。新築にこだわることで、希望エリアを妥協する・・・ということにもなりかねません。一方で中古マンションの場合、様々な物件が同じエリアの中で販売されています。2021年3月度の在庫を比較すると、首都圏の中古マンション在庫は36,323戸(※1)、それに対して同時期の首都圏新築マンション在庫は7891戸(※2)。直近の売り出し中物件数には、4.6倍もの開きがあります。※1 東日本流通機構調べ ※2 不動産経済研究所調べマンションの現状を知った上で購入することができる
また、将来マンションを売却する際に重要になるのが、「どんな人が住んでいるか」、「どんな管理状態か」ということです。マンションに住んでいる人のマナーが悪かったり、滞納者だらけのマンションでは資産価値が著しく下がってしまいます。新築マンションの場合、入居してみないことにはどんな居住者がいるのか、全くわかりません。また、マンションの管理がどうなるか、修繕積立金の滞納が発生しないか、自分の購入する住戸の上下左右にどんな人が住むかは、購入した後でないとわかりません。中古マンションの場合、当然のことながらすでに人が住んでいます。マンション全体としてどのような状態にあるか、自分が購入しようとしている物件のお隣さんがどんな人かを確認した上で購入することができるというのは、中古マンションならではのメリットです。また、お部屋の住み心地でも同様のことがいえます。新築マンションの購入の際には、まだ物件が完成していない状態であることがほとんどです。一般的には、購入を検討している住戸そのものではない、モデルルームを見て購入を決めることになります。自分の住戸のベランダからはどのくらい景色が見えるのか、陽の光はどれくらい入るのか・・・中古マンションであれば、部屋の日照や眺望、周辺環境など実際の状況を確認した上で住み始めてからの生活をイメージし、購入を判断することができるのです。リノベーションで自由に物件を変えられる
中古マンション市場の拡大とともに盛り上がってきているのが「リノベーション」です。リノベーションとは、既存の物件に手を加えることで元の状態よりもグレードアップさせる工事のことで、あなた好みのたった1つの物件を作り出すことができます。間取りを変えることもできるため、家族が増えるなどライフスタイルの変化に応じて最適な物件に変化させることもできます。中古マンションは価格がリーズナブルであるため、お部屋を購入してさらにリノベーションをしたとしても、新築マンションを購入するよりも安く済む場合も少なくありません。資産価値が安定している
新築マンションの販売価格には、建設にかかったコストにディベロッパーの利益が上乗せされているため、購入すると同時に資産価値の2割程度が消滅してしまいます。つまり、新築マンションを購入する場合、「物件の価値ではない部分」にもお金を支払っていることになります。これを「新築プレミアム」と呼びます。中古マンションの場合、いわゆるプレミアムはありません。また、築年数が20年を超えてきたあたりには資産価値の下落はストップし、安定する傾向にあります。そのような点で、中古マンション購入はローリスクであると言えます。中古マンションのデメリット
一方、中古マンションには中古マンションならではの難しさがあります。中古マンション購入でよくある失敗例は中古マンション購入の難しさを物語っています。中古マンションは価格が千差万別
1つ目の難しさは、売出価格が相場より高いものから安いものまで千差万別である点です。全般的にに新築マンションよりもリーズナブルな中古マンションですが、新築マンションと異なり、極端に相場価格と離れた値付けをされているケースがあります。新築マンションの売主は不動産デベロッパーですので、あまり極端な値付けはしません。仕入原価や建築費、広告費などを踏まえた上で「これくらいの金額であれば売れるだろう」というギリギリのラインで設定してきます。不動産ディベロッパーはあくまでも「ビジネス」としてマンション販売を行っているため売れなかったら元も子もありませんし、過去の相場データを参考に販売価格を決めているのです。一方中古マンションの売主は「個人」ですので、価格の決め方は完全に個人の自由です。中古マンションには定価が存在しないので、売主さんとの交渉次第では値引き交渉を成功させることができます。 値引き交渉のコツや注意点については、こちらの記事で解説しています。>>>プロが教える中古マンション値引き交渉成功の鍵とは?交渉セリフまで徹底解説売主に相場感がない場合、相場からかけ離れた価格で売りに出されるケースもあります。反対に、売主が売り急いでいる場合など、相場よりも安い金額で売りに出されるケースもあるため、価格を正しくチェックすることができれば、中古マンションをお得に購入することができます。中古マンションは探すのが大変
中古マンションはさまざまなエリアで売り出されます。ここにも、中古マンションの難しさがあります。新築マンションの場合「販売期」は分かれているものの、一つの建物の中で数十から数百の部屋が一気に売りに出されるため、情報のチェックは比較的容易であり、比較検討もしやすくなります。一方、中古マンションは毎日のように様々なエリアで市場に出てくるため、日々不動産ポータルサイトをチェックしなければなりません。いかに効率よく探すかが、理想の物件に合うための鍵と言えます。探し方のコツはこちらで解説しているので、ぜひチェックしてみてください。>>中古マンションの探し方のコツをプロがイチから解説修繕積立金が高い
マンションは古くなればなるほど維持やメンテナンスにお金がかかります。新築時は数千円だった積立金も30年頃には万単位になっています。もちろん、これはどこのマンションでも同じで当たり前の話なのですが、築20年以内のマンションを購入する方は特に注意が必要です。築20年前後のマンションでは1回目の大規模修繕が終わり、2回目の大規模修繕に向けて修繕積立金が大幅に上がるケースが多くあります。特に新築時からほとんど値上げをしていないマンションの場合、いきなり万単位で修繕積立金を値上げすることもあります。築年数が経ってくると、すでにある程度値上げをした状態であり修繕積立金の貯蓄もできているため、住み始めてからの大幅な値上げは少なくなります。駐車場が確保しづらい
マンションの形状にもよりますが、敷地内の駐車場は確保が難しいケースが多くなります。空きが出たら抽選、もしくはウエイト(空待ち登録順)の2パターンが多く、ウエイトの場合は待ち人数によってはかなり狭き門になります。また中には数年で総入れ替え(全部解約し、希望者全員で抽選)というマンションもあります。中古マンション購入のデメリットは回避できる!
ここまでご紹介した中古マンション購入のデメリット、これらは先に知っておけば対処できるものばかりです。ではどうすればよいのか、具体的な方法をお伝えします。修繕積立金で後悔しないためには事前に修繕計画を確認
総戸数が多い大規模中古マンションを購入すると修繕積立金の負担を軽減することができます(いわゆる「割り勘」となるため)。また、平置駐車場があるマンションは修繕積立金が溜まりやすく、築年数に関わらず割安になることが多い傾向があります。購入の前には、「長期修繕計画」(ここに値上げの件も記載されているケースが多い)、「過去の修繕履歴」、「現在の修繕積立金総額」を確認してみてください。長期修繕計画をチェックすることで、この先30年の費用負担が予想できます。どの設備にどのくらいお金がかかるのか、事前に確認しましょう。中古マンションの場合は、管理会社に問い合わせれば計画案を見ることができます。管理や修繕の現状を確認したい場合は「管理に係る重要事項調査報告書」を参考にするとよいでしょう。>>>中古マンション購入後の管理費・修繕積立金の値上がりに注意しよう!駐車場対策はここをチェック
駐車場に関しては、車をお持ちの方は、まずは不動産会社へ「空きが出たら抽選」なのか、「ウエイト」なのか「総入れ替え」なのか、事前に確認しましょう。あわせて、近隣の駐車場を探しておくことをおすすめします。最近は高齢者の運転による事故が多くなっていることもあり、免許を返納する方も多いため、築30年超のマンションだと逆に空き区画が多くなっている場合もあります。そうしたマンションであれば、すんなり借りられることもあります。株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
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