40代・50代での中古マンション購入の注意点|資金計画・物件の選び方

2017.09.14
40代・50代での中古マンション購入の注意点|資金計画・物件の選び方
中古マンションを購入する「年齢」は重要なポイントです。20代・30代で初めてマンションを購入するのと、40代・50代で初めてマンションを購入するのとでは、注意すべきことが異なってきます。借入期間に対しての影響も、5年後・10年後で起こりうることも異なってくるからです。今回は、40代・50代で中古マンションを購入する際に注意することを示していきます。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

資金計画における注意点

住宅ローンは、最長で35年間借りることが可能です。完済時の年齢は、メガバンク3行とも80歳となっており、借入時の年齢も70歳までとなっています。年数が長い方が借りられる金額も多くなるため、上限の35年間で借り入れをする方も多くいます。月の返済が10万円の場合だと、年数によって借入金額はどの程度異なるのでしょうか。
期 間 トータル借入額
20年 2,400万円
30年 3,600万円
35年 4,100万円
金利の負担は別にあるものとして、20年借りる場合と35年借りる場合では、1,700万円も異なってくるのですから、できる限り長い年数を借りたいと考えるのも無理はないかも知れません。しかし、40歳で35年の借り入れをした場合、完済の年齢は75歳、45歳の場合は80歳です。定年退職後に住宅ローンの返済が残っていると、年金から住宅ローンを支払わなければならないため、生活費を圧迫しかねません。早期に退職したいと思っても、多くの住宅ローンが残っていたらその選択をすることも難しくなるかもしれません。また、住宅ローンを完済したあとも、管理費と修繕積立金はマンションを所有している間は費用が発生します。では、資金計画をたてる際にはどのようなことに気を付けていけば良いのでしょうか。

ライフプランを見越してた計画

40代・50代になると、病気にかかるリスクも高まりますし、子供が高校・専門学校や大学と進学していく上で、まとまった教育資金も必要になってきます。
  • 年金の支給額はいくらか
  • 生活費はどのくらいかかるのか
  • 子供の教育費はいつまでかかるのか
  • 定年退職後も働く選択肢があるのか
など、家族の年齢とライフプランを見据えたうえでの資金計画が必要になってきます。

定年退職前の完済を目指す

返済期間は1年単位で設定することができます。60歳もしくは65歳の退職するタイミングから逆算した年数で借りることで、定年退職前にはローンを完済できるようにしましょう。こうすることで、定年退職後の生活への影響を最小限に抑えることができます。もし定年退職後も返済することを前提とした年数でローンの借り入れをした場合には、繰り上げ返済やボーナス払いを積極的にしていくことで、定年退職前の完済を目指しましょう。また、退職金で住宅ローンを完済することを見越して借り入れをする場合もあると思いますが、その場合は別に老後への蓄えをしていくことが大切です。

自己資金を貯蓄しておく

社宅に長年住んでいたり、会社の住宅補助があった場合には、住宅購入が定年退職後という方もいらっしゃいます。住宅ローンを一切組むことなく、全額現金で購入できるくらいの自己資金を貯蓄しておくのが理想です。

リレーローンやペアローンという選択肢

自身のみだと借り入れる金額に限りがあり、希望する物件に手が届かない場合、親子もしくは夫婦で協力して住宅ローンを返済するという選択肢もあります。親子の場合は、リレーローンもしくはペアローン。夫婦の場合はペアローンが一般的です。

親子リレーローン

リレーのように親から子へ債務を引き継いでいくことから、リレーローンと呼ばれています。親が70歳以上でも申し込むことが可能であり、親が80歳になった時点から、子供が残った住宅ローンを返済することになります。お勤めがパートであったり、親もしくは子供だけでローンを組めない場合、リレーローンは親と子の収入で審査してもらえるため、大変有効なローンだと言えるでしょう。100万円以上の年収があれば利用可能です。りそな銀行や千葉銀行など、この商品を提供している銀行が限定されることからなかなか認知されていないのが現状です。

ペアローン

双方とも一定の収入のある親もしくは夫婦が共有で組む住宅ローンで、ローンを引き継ぐリレーローンと異なり、最初から一緒に返済していきます。親と子の収入を合算して借入金額が決まることから、通常よりも住宅ローンの借り入れ限度額が上がります。また、住宅ローン控除をそれぞれ受けることが可能です。なお、未婚の子供と一緒にローンを組む場合、仮に将来結婚した場合も親と同居することになる可能性が高くなるため、未来の配偶者の考え方によっては結婚の障壁になることもないとは言えません。この点は注意が必要です。

老後の住まいを意識して購入する

退職した後に、日々どのような生活を営んでいくかはなかなか想像しにくいことかも知れませんが、どのようなポイントでマンションを選択したら良いのでしょうか。

周辺環境と自身のライフスタイルが合っていますか?

退職後は、自宅や自宅周辺で過ごす時間が多くなる方が多いです。徒歩圏内やバスでアクセスの良い場所にスーパーや病院・図書館などはあるでしょうか?コミュニティに参加しやすい地域であったり、自身の趣味を気軽に出来る場所が近くにあるとより良いですよね。またマンションがバリアフリーであるかもポイントです。

築年数が40年以上のマンションは要注意

築年数が経っているマンションを購入する場合、将来的に建て替えの可能性があるかどうかは確認しておく必要があります。建て替えが出来るマンションは合意形成等の問題で限られているのですが、万が一住宅ローンを返済したあとに建て替えがあった場合、新たに追加の資金が発生するだけでなく、1年以上仮住まいに引っ越す必要があります。

将来の家族構成を見据えで購入しましょう

自身が40代・50代になると、両親も70歳以上で高齢になっている場合が多くなります。将来的に両親も一緒に住む可能性がある場合は、部屋の間取りなどもそれに対応できるものである必要があります。また子供が就職や結婚などで家を出たあとは、その家で生活する人数が減ることになります。広さや間取りなどについてはこうした変化も考慮して購入しましょう。

まとめ

40代・50代は、退職後の生活を見越して購入しなければなりません。想像ができない不確定な要素も多いですが、将来的にリスクになり得ることは回避できるよう、ライフプランを家族で話し合ったうえでの購入が大切と言えるでしょう。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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