【知らないと損】中古マンションの選び方を不動産売買のプロが伝授します!
2017.09.12
新築マンションと比較して、売り出し物件数が多く比較検討が難しいと言われる中古マンション。2021年3月度の在庫を比較すると、首都圏の中古マンション在庫は36,323戸(※1)、それに対して同時期の首都圏新築マンション在庫は7891戸(※2)。直近の売り出し中物件数には、4.6倍もの開きがあります。※1東日本流通機構調べ
※2不動産経済研究所調べ選択肢が多いぶん、理想の物件と出会える可能性が高いともいえますが、実際には中古マンションを見極めるのは至難の技です。本記事では、あなたにぴったりな中古マンションを見つけ出すための3ステップを解説します。後半では、実際に中古マンションを見極める検討項目をニーズ別に紹介します。
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役 宅地建物取引士・損害保険募集人資格 『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』 (Amazonランキング・ベストセラー1位)
あなたにピッタリな中古マンションの選び方
Step1:購入できる価格帯を確認しましょう
物件選びを行う前に、まずはご自身の予算を確認しましょう。現金一括ではなく、住宅ローンの利用を検討している場合は自己資金、年収、与信などによって購入可能な金額帯が決まってきます。購入できる価格帯を把握していないと、居住エリアや希望条件の整理が終わったあとに実はその希望条件では予算に届かない事がわかり、最初から家探しをやり直しすることになってしまいます。これは大変な労力で、せっかくの楽しい家探しが台無しです。ワクワク感を持ちつつも、まずは冷静に予算(購入可能金額)を把握することから始めましょう。購入可能金額を確認するためには、住宅ローンシミュレーターを使うのが一番手軽です。実際に借り入れできる正確な金額を算出できるわけではありませんが、ある程度信頼できる目安にはなります。借りたい金額、住宅ローンの金利を入力すると、毎月の返済金額が算出されます。ここで示される金額が毎月の生活に無理のない範囲で借りる事を、一つの目安としましょう。>>住宅ローンシミュレーター購入可能な物件金額は「住宅ローン借り入れ金額」+「頭金(手持ちのお金)」で計算することができます。Step2:中古マンション探しの検討項目を把握し、希望条件を仮決めする
次のステップでは「中古マンションはどの項目で検討していくべきか」という基準について確認しましょう。具体的なチェック項目については、記事の後半でまとめてご紹介しています。中古マンション購入検討の初期段階では、完璧な条件を決める必要は全くありません。「譲れるポイント」と「譲れないポイント」の2つに分けておく程度で十分です。例えば、「現在住んでいる賃貸の部屋は50平米でとても狭く感じるので、間取りは3LDK、広さは70平米という条件は譲れない。最寄り駅からの距離は、10分以内が理想。ただ、自転車をよく利用するので駅からの距離は徒歩15分以内であれば問題ない。」というように、「譲れるポイント」と「譲れないポイント」をどちらも入れて、ざっくりと条件を整理しましょう。
Step3:実際にお部屋の見学に行き、条件を修正しましょう
希望条件の仮決めができたら、次は実際にお部屋を見学してみることをおすすめします。不動産仲介会社の営業担当からお部屋についての説明を受けながら、最初に設定した希望条件で十分なのか確認しましょう。実際にお部屋を見学してみると、「マンションの近くにバス停があるから、駅距離条件は緩めでもいいかも」「エレベーターの待ち時間は考慮してなかったけど、特に朝は大事だな」などさらに条件がシャープになっていくはずです。なかなか理想の中古マンションが見つからないという人もいます。理想の物件が売り出されていないだけ、というタイミングの問題もありますが、多くの場合は条件設定が厳しすぎるケースが該当します。予算と希望条件を照らし合わせ、「緩めるべきポイントは緩める」、「譲らないポイントは譲らない」という考えで条件を修正してみましょう。希望条件をより的確に絞り込む方法を知りたい方には、下記記事をおすすめします。>>>理想の中古マンションが見つからない!そんなときは「正しい条件整理」を行いましょう中古マンション選びの検討項目
ここからは、「Step2:中古マンション探しの検討項目を把握し、希望条件を仮決めする」で触れた中古マンション探しの具体的なチェック項目について、代表的なポイントを解説していきます。基本的な4つの検討項目
間取りと広さ
まずは一番わかりやすい部屋の広さについてです。家族構成によって、どの広さが最適であるかが変わってきます。- 子育て世帯:間取りは3LDK、広さは将来間取り変更もしやすい70㎡以上。
- DINKS:間取りは2LDK、広さは45㎡~65㎡の間。
- 単身:間取りは1DK~1LDK、広さは30~45㎡の間。
マンションの周辺環境
周辺環境を見極めるポイントとしては、- 商業施設や病院が近い
- 生活圏内の道のりにアップダウンがない
- 治安が良い
- 自治体の活動やサービスが盛んである
マンションの築年数
築年数に関しては、「新耐震基準」を満たしているかどうかを確認しましょう。1981年6月1日以降に建築申請が行われ、建設されたマンションであれば新耐震基準のマンションとして認められます。これは、震度6強~7程度の巨大地震にも耐えうることの証明となります。日当たり
眺望と同じく日当たりの良さも、住み心地に直結します。ただ、日当たり=部屋の向きというわけではありません。「バルコニーの向き、主要採光面は必ず南!」と希望する方が多いのは事実ですが、必ずしも南向きの部屋が住みやすいわけではありません。南向きでも「目の前に建物があって日当たりや眺望が阻害される」、「幹線道路や線路があって音が気になる」、「河川や工場、畑、運動場があり粉塵や臭いが気になる」などの理由で、同じマンション内でも南向きより東や北向きの部屋の方が人気の物件もあります。お部屋の向きだけで判断せず、周りにどんな施設があるかもあわせて確認すると安心です。共働き世帯向けの検討項目
ゴミ捨て可能な時間帯
マンションによってゴミを捨てられる時間は違います。「曜日指定」のマンションもあれば、「24時間いつでも」ゴミを捨てられるマンションもあります。夫婦共に朝早く家を出る必要があったり、忙しくてなかなかゴミ捨てができない場合は、24時間ゴミ捨てができるマンションを選んだ方が良いでしょう。一方、24時間ゴミ捨てが可能なマンションは、管理人がゴミ捨て場の管理をしっかりする必要がありますので、ゴミ捨てが曜日指定のマンションより管理費は少し高くなります。近隣スーパーの営業時間
マンションの近くにスーパーがあると、ちょっとした買い物に便利です。中でもあると便利なのが、夜の23〜24時までやっているマイバスケット、マルエツプチなどのスーパー。仕事で遅くなった時も、仕事帰りに寄れるスーパーがあると、住み心地は格段にアップします。遅くまで営業しているスーパーは貴重な存在です。子育て世帯向けの検討項目
小学校
ファミリー世帯の場合、エリアの教育環境は中古マンションを選ぶうえで注目すべきポイントです。お子さんを良い学校に通わせたいと考える方が多いため、名門と言われる公立小学校の学区内はとても人気があります。例えば、文京区の「3S1K」などは、名門公立小学校の代表格です。子供に通わせたい小学校の学区がマンションの住所と違う場合は、越境通学をすることになります。人気の小学校の場合、応募の生徒数が小学校の定員数を超えてしまい、目当ての小学校に通えるかどうかが抽選で決まることになります。もし抽選に外れた場合、他の小学校に通わせる必要があり、小学校によっては通学路の道のりが長くなってしまいます。そうならないためにも、もし特定の小学校を狙っているのであれば、小学校の学区内で家を検討した方が良いでしょう。保育園
また、子育て世帯の方が意識することが多いのは地域の「待機児童」の数です。待機児童が多く、保育園の確保が困難なエリアはどうしても人気が下がってしまいます。そのため、物件を探す際にはこの「待機児童数」についても必ず確認をとるようにしましょう。また最寄りの保育園の住所も要確認です。マンションに近い保育園だとしても行政区(区や市)が違う場合、保育園の審査ハードルが高くなり、入園できないこともありえます。そうすると、遠い保育園まで子供を毎朝送り届ける必要があり、住みにくさを感じてしまうことになります。タワーマンションの検討項目
洗濯物に関するルール
タワーマンションの場合、バルコニーで洗濯物を干すのが禁止されているマンションが数多くあります。その場合、マンションの屋上で干すか、浴室乾燥機、ドラム式乾燥機などで洗濯物を乾かすことになります。乾燥機は一般的になってきたので、気にならないのであれば全く問題ない洗濯物のルールですが、どうしてもお日様の光で洗濯物を乾かしたい!という方は管理規約で洗濯物のルールを確認しておいた方が良いでしょう。共用施設の充実度
最近の中古マンションには様々な共用施設が揃っています。駐車場やオートロック、宅配ボックスはもちろんのこと、コンシェルジュサービス、キッズルーム、ゲストルーム、ミニコンビニ、スパ、トレーニングルーム、レンタルサイクル、カーシェアリングなどがついているマンションもあります。充実した共用施設は生活の質を向上させますが、同時に維持管理のコストがかかります。当然、管理費はマンションの所有者が負担します。「これだけの施設があってこの管理費ならよし!」と住み始めてみたとしても、数十年後に施設の老朽化にともなう追加コストがかかってくる可能性もあることを考慮して選びましょう。眺望
「用途地域」の指定があるエリアでは注意が必要です。「用途地域」とは、都市計画法の一種で、「土地・建物の用途を制限する」法律です。この用途地域は12種類あり、大きく分けると「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分類できます。これにより土地に対して建設できる建物の大きさや高さも変わってくるので、窓から見える景色が変わってくる可能性があります。例えば、現在マンションの目の前が駐車場やゴルフ練習場、ガソリンスタンドなど見晴らしの良い施設であっても、検討中のマンションとそのような施設が同じ用途地域の場合は将来的に同規模の建物、場合によってはそれ以上の規模の建物が新たに建設される可能性があります。具体例として、勝どきの例を見てみます。東京都の用途地域を調べて見ると、勝どきエリアは工業系の用途地域が多くなっています。このように数多くの開発計画が予定されており、お部屋によっては眺望が遮られる可能性があります。用途地域に関しては各市区町村のホームページで調べることができますので、参考にしてみて下さい。例:中央区HP「中央区都市計画図について」資産価値を重視する方向けの検討項目
立地条件
マンションの立地を- 交通利便性
- 街の成長性
交通利便性
最寄り駅やバス停からの距離が近い、ターミナル駅までアクセスがしやすい、複数駅が利用できるなど、交通アクセスがいいマンションは確実に資産価値が高いと言えます。街の成長性
これからその地域が発展していく可能性がある場合、将来的な資産価値は上がる傾向があります。豊洲や有明など、街自体が再開発されるケースは、その最たる例です。また他の例では、再開発で駅前の大幅なリニューアルや、区画整理が行われている場合です。中野サンプラザと区役所の一体開発が行われている「中野駅」や、駅前を中心とした複数の商業ビルが開発されている「渋谷駅」、駅前にツインタワーマンション・商業ビルが開発された「目黒駅」、東口に東京ガス・三井不動産・三菱地所によるビジネス拠点を開発している「田町駅」などがあります。品川駅と田町駅の間のJR山手線・高輪ゲートウェイ駅周辺の開発も注目を集めています。マンションの管理状態
マンションの資産価値を重視する場合、エリア、立地だけでなく「マンション管理」についても見極めが必要です。「マンションは管理で選べ」と言われるほど管理状態は大切な項目であり、資産価値にも大きな影響を及ぼすのです。管理体制の良し悪しを判断するためには、お部屋の見学時に- 外壁にひび割れはないか?
- エントランスや掲示板、エレベータ内などに騒音に関する注意文がないか?
- きちんと清掃されているか?
- ポストまわりは整理整頓されているか?
- 掲示板に数ヶ月も前の明らかに古い情報が貼られていたり、破れたままになっていないか?
株式会社Housmart
マンションジャーナル編集部
マンションジャーナル編集部
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